コアラ の赤ちゃんがお母さんのうんちを食べるのはなぜ?

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タンニン分解細菌をもらうためと考えられているよ!

コアラ はオーストラリア原産の木の上で生活する有袋類です。有袋類とはオセアニア地域に生息する哺乳類の1種で、未熟な状態の赤ちゃんを産んで袋の中で育てます。ユーカリの葉しか食べないことでも有名です。
ユーカリの葉っぱにはタンニンが多く含まれています。タンニンは可溶性フェノール化合物で、タンパク質と複合体を形成して分解されにくい物質になります。そのため、人間を含め多くの動物にとって有毒な植物です。

コアラ の赤ちゃんはジョーイJoeysと呼ばれ、生後2ヶ月くらいはミルクで栄養をとって、その後6ヶ月間はパップPapというものを食べて栄養をとります。パップPapとは、お母さんコアラ の出したうんこのことで、普通のものよりも栄養分や体に有益な微生物が濃縮されています。タンニンを含むユーカリの葉を食べられるようになるまではパップを食べます。コアラ のお腹からはStreptococcus sp.やLonepinella koalarumといったタンニン分解微生物が検出されています。パップにもこうしたタンニン分解菌が多く含まれていると考えられ、ジョーイ(赤ちゃんコアラ )のお腹にもタンニン分解菌が定着すると考えられます。

参考:Characterization of shifts of koala (Phascolarctos cinereus) intestinal microbial communities associated with antibiotic treatment , Dahlhausen et al. (2018), PeerJ, DOI 10.7717/peerj.4452

犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。