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春の日差し


「暖かな春の日差しを浴びて私たちは今日○○中学校に入学します。」

もう20年以上前のワンフレーズなのだが、今でも鮮明に覚えている。そう、これは私が中学校入学式の日に新入生代表で挨拶をした時の最初の出だしだ。

普通が一番、みんなと一緒は安心する、と常々思っていた小学生時代。私のそんな密かな願望はなかなか思い通りにはいかなかった。端的にいうと、当時、私はわりと勉強ができた。学級委員や生徒会役員に推薦されることはしばしばあったし、何より大人受けのいい良い子だったと思う。一歩間違えると嫌な奴になりそうなものなのだけれど、幸いなことに勉強に対して運動は苦手だったので、そういう典型的な不完全さもあいまって、先生や同級生の支持を得ていたのではないかと今ではそう思っている。

実際のところ、本当に頭が良かったのかというと別にそういうわけではなかった。勘の良さ、運の良さ、そして少しの負けず嫌いな性格がそうさせていただけ。でも、もし勉強ができなくて困っている小学生にアドバイスできるとしたら、一つだけ伝えたいことがある。

読書感想文は伝記を選ぼう。同じ人物について書かれた伝記を異なる出版社で複数冊用意しよう。すべてのあとがきを読んで視野を広げた後、伝記になるほどその素晴らしいお方の小学生の頃のエピソードと自分を比べて400文字。その素晴らしいお方が大人になった頃のエピソードを参考に自分はどういう大人になりたいか想像して400文字。これで原稿用紙2枚あっという間に書けます。

まぁ、ずいぶん話はそれてしまったが、
無事小学校を卒業し、いよいよ夢にまでみた平凡な中学生になれる!
と思ったのもつかの間、小学校生活の最後の宿題として中学校入学の時の新入生代表の挨拶をやれと仰せつかってしまい、出だしから暗雲の立ち込める12歳の春を迎えた。

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