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葛藤の物語(変化)


前回の続きで、”ボク”が長年続けてきたことに変化を起こす、つまり新たな道へと進む物語になります。


 当初ボクは闇に堕ちたと思っていた。暗闇の中で差し伸べられた手を取り、その手が血塗られた手だとも知らずに盲目的に掴んだ。掴んだ先の世界、そこもまた闇の世界だということは入ってみて気づいたことだ。そんな状況をこのまま継続していくのか。それとも新たな道を探すのか。耐えることで変わるものだと思っていた。

 このままだと何も変わらない。そう悟ったボクは今を変えるべくどうすればいいかを考え抜いた。仕事と寝るだけの生活に考えるという行動を起こした。



本当にこのままでいいのか?

新たな道はないのか?


 まるでロボットのような生活から人間の思考というプログラムが組み込まれボクは新たな道を探し始めた。探すには時間が足りない。時間を作るにはどうしたらいいか。なにか削る部分はないか。なにか変える部分はないか。必死になって探し始めた。仕事中に探すことはできないか。食事中に考えることはできないか。1日の時間の中で代替できる時間はないか。

 こんな仕事の職場にも休憩時間はあるみたいだ。ボクはその休憩時間を使って未来の新たな道を進むことで見える世界を想像した。今と同じように、いや今以上に苦しい状況になるかもしれない。そんなことも全て想像した。半年ほどそんなイメージを膨らませる作業をしていた。

 「ちょっといいかな?」

 突然あの男性に話しかけられた。特に仕事をサボっていたわけでもなく、毎日毎日クレーム対応の日々で精神的苦痛に耐えていたが新たな道を探し始めてから苦痛に耐えることから苦痛を受け流すようになっていた。

男性「最近表情が無い気がするけど、何かあった?」
ボク「いえ、何もないですけど。」
男性「ならいいんだけど、クレーム件数も減って来てるし目標も未達続き。本当にちゃんと仕事してる?」
ボク「はい。あなたの視界に入る範囲にいますし、目標に近い実績は上がっていますが、未達という部分では私の努力不足ではあります。」
男性「これだと会社の存続が難しいのはキミも知っているだろう?我が社はクレームを増やすことで売上を上げているんだ。だからもっと売上を上げて会社に貢献していることを証明してくれ。」
ボク「・・・」


 今まで好調だったせいか、少しでも成果が落ちると目の敵にされる。前もそうだった。その前も、そしてその前も…



!?


 ふと何かに気づいた気がした。今までの経験が同じことの繰り返しだとしたら、ボクはずっとこの闇の世界にいたまま抜けられない。好調の時は知らんぷりだが不調になれば指摘する。つまり悪いことに目を向けることがこの闇の世界に縛り付ける要因なのかもしれない。


 珍しくボクは仕事帰りに1冊のノートを買ってきた。まだ何も書かれていない真っ白なノート。そこに今までの経歴を書き綴った。幼少期、学生時代、社会人、会社ごとの記憶。書いた内容を読み返すと嫌なこと、ダメな部分、愚痴、悪口。まるであの男性がボクにしていたことと同じだった。ボクは書き綴った部分を破り捨てゴミ箱に捨てた。そしてもう一度ノートを向き合う。



 そこで得たものは何か?


 闇に落ちる。何もない世界。そう思い込んでいたが過去を振り返って新たな発見があった。所々に見える光の部分。日が暮れるまで友達と外で遊んだこと、体育祭リレーで逆転1位を取ったこと、ひたすら部活で先輩たちが来る前に練習準備をして後輩ができても彼らと一緒に練習準備をして感謝されたこと、自分には無理だと思っていた記録を達成できたこと、他府県の友人との出会い、新たな趣味を持ったこと、困っていた同僚を手助けしたこと、自分の提案が受け入れられたこと…


 そしてボクは再び暗い闇の世界へと落ちた。道を外れると真っ暗な部屋から抜け出すことに必死。

出口はどこ?出口はどこだ?


誰も答えてくれない。なぜなら誰もいないからだ。

助けてくれ!助けてくれ!

 叫んでも虚しく声が響き渡る。
耳を澄ましてみると上の方から笑い声や楽しそうな声が聞こえてくる。しかし人の姿は見えない。

手の届かない世界。ここから二度と出られないのだろうか。

 この思考が最初は駆け巡った。しかし、もう一度周りの状況を静観した。そこで見えてくるもの。

手を差し伸ばそうとしているがまごまごしている人がいる。


 ここから二度と出れない?いや何も見えていないだけだった。再びこの世界に戻ったから見えてくるものがあった。暗闇に落ちたショックと目が慣れていないから何も見えなかっただけ。

 手を差し伸ばそうとしている光。世の中は光があるから闇がある。そして精神的ダメージは視野を狭め闇の部分を拡大して見てしまう。だから何も見えない。それを理解した今、ボクにははっきりと手を差し伸べる人の光が見える。その人の手はとても綺麗だ。その手を見ているだけでは出口は見つからない。自分で探さなくては。

 一歩ずつその手の方へ近づく。どんどん近づいてみると手の輝きが弱まっていることに気づいた。そして差し伸べている人の容姿が確認できるようになった。その人は不吉な笑みを浮かべていた。

「あぁ、なるほどね。」



 その人からボクは離れた。他に輝いているものはないか。周りを見渡しても見つからない。しかし暗闇だと思っていた空間はいくつもの扉に囲まれた一室だと理解できた。なぜなのか。動き回ると時折目に飛び込んでくるドアノブ。物が光を発することはない。ということは光源がどこかにある。



「そういうことか!!!」



 自分自身が光り輝いていることに今まで気づいていなかった。多くの扉が存在するが故に選択に迷いが生じる。今までは人の手を取って抜け出そうとしていたが、彼彼女らの光は自身が放っている光ではなく小さな輝きを集めている場合もある。また誰かの光を反射して自らが輝いている場合もある。それは近づいてみないことにはわからない。選択肢は多くある。

 ボクは一つの扉を開いた。向こうの世界はまだ見たこともない世界が広がっている。”未経験”という世界。今その世界で七色に光り輝く可能性を秘めている。成功や幸せは多くの道の選択によって積み重なった上に成り立つものだと気付いた瞬間だった。



最後まで読んでいただきありがとうございます。序章→継続→変化と流れてきましたが、経験によって気付きがあるとボクは思っています。例えば仕事ではこの仕事は自分に合わなかったというのは経験してわかることですし、恋愛や結婚では、この人とはうまくいかなかったと付き合ったり結婚してわかることだと思います。頭で考えずに行動せよ!という人がいますが、その人がいうことを否定する気は全くありません。しかし人のタイプによっては熟考するタイプであれば様々な不安を想像してそれを踏まえた上で行動する人もいれば思い立ったが吉日とばかりに後先考えず走り出すタイプもいます。それに良い悪いはありません。
 「捨てる神あれば拾う神あり」なんて言葉がありますが、今までの経験を捨てるか拾うかは自分次第。その選択は誰にも影響されてはいけないものです。今自分は七色に輝く世界に進んでいます。少人数ではありますが友達にも恵まれ、職場環境にも恵まれ、自分のタイプにあった働き方ができています。まだまだ障害は立ちはだかりますが、じっくり考え込むタイプなので自分の納得いく方法でこの障害を乗り越え、世界を動き回ります。

物語を書く事は初めてなので表現方法や言葉の言い回しなど、読みづらい部分が多数あると思います。その点も含めてボクの世界観を知っていただきたいです。


心の支えとまではいきませんが、少しでも不安が和らげばいいと思っています。そしてなにより、賛同していただけると、とても感謝します。