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新しい春に向けて、読書のすすめ

こんにちは。多くの大学で合格発表が行われ、そろそろ春らしい気分になってきました。

環境の変化は心境の変化を誘うもの。ここらあたりで新しい趣味に手を出して見るのも一興です。

というわけで本記事では、新しい春に向けて万人に、特に新大学生に読書のプロパガンダをしたいと思います。

こんなご時世だからこそ、お家で楽しめる娯楽を!

○読書はコスパがいい

飲み会やら友達との付き合いやら洋服やら、大学に入るとお金がかかることがいっぱいです。

もしかするとバイトで稼いでがっぽがっぽということを考えているかもしれませんが、バイト代なんてものはどんどん出ていってしまうと思ってください。

何かと入り用な大学生、趣味にもコスパが求められます。そこで読書!
古本屋に行けば、100円ほどで映画化した本や昔話題だった本を買うことができます。

本を読むスピードは人によって違うとはいえ、1冊で2,3時間くらいは楽しめるでしょう。100円で2時間でも1時間あたりの単価50円!しかも本は消耗品ではないですから、2周目以降読むのはタダです!

その上、小説にしろ新書にしろ、作者の方は数ヶ月とか時には数年かけて本を書いているわけです。それが数百円で買えてしまう。信じ難いようなコスパです。

というわけで、コスパ重視社会の現代においても読書は合理的な趣味であるといえます。

○読書は場所や時を選ばない

いま、多くの人が暇な時間にはスマホを見ています。電車、待ち合わせの空き時間、授業のあいだの休み時間……。

僕は読書が高尚な趣味だとは思っていないので、スマホを見て楽しんでいるなら全然そっちでも構いません。一度きりの人生、楽しいことして過ごしたい。

ただ、最近はスマホゲームでも広告や競争が多いですよね。無料ゲームと言いながら広告を見ないとまともに進まなかったり、ソシャゲをすれば周回とガチャで疲れ果て……。あるいはSNSも、悪口や批判ばかりが飛び交って、それがまた炎上したりして。スマホ、本当に楽しめてますか?

また、スマホで時間を潰すと充電や通信量も気になるところです。wifiが飛んでて充電もできるような場所は、なかなか限られてきます。少なくとも移動中は苦しい。

読書なら充電要らず、wifi要らずです。もちろん買い切りなので、読んでいる途中に広告が入ることもありません。イベントの時間に合わせてあくせく周回する必要もありません。

「でも満員電車で本を取り出すのはちょっとな……」という方には、電子書籍もオススメです。

多少充電は喰いますが、スマホでkindleなどのアプリを入れれば、カバンが重くなることもないですし、込み合った車内でもスムーズに読書に移れることでしょう。

また、寝る前にスマホを見るとブルーライトで睡眠が浅くなるというウワサもあります。その点も本なら安心です。枕もとに難しい本を一冊用意しておくだけで、とてもよい睡眠導入剤になります。一時期僕は小林秀雄で眠りについてました。

時間と場所を選ばない趣味は、現代社会において意外に貴重。本、読みましょう。

〇読書は役に立つ

大学に入ると文系理系を問わずレポートを執筆しなければならない機会が多々あります。高校の時には書く機会の少なかった2000~4000字くらいのレポートを、取った授業の数に応じて、数本は書かなくてはなりません。

ふだん文章を読まない人が、長い文章を書こうと思ったらなかなか大変です。文章を書く上で役に立つ言い回しや文の形、段落を切るタイミング、タイトルのつけ方、接続詞の使い方……。

大学では、レポートを書けという課題が出る割に、レポートの書き方そのものはあまり詳しく教えてもらえません。読書感想文を課題で出す癖に作文の技術は教えてくれない中学校高校と同じですね!

さらに、就活の時期になると書類審査というものがあります。自分の誕生日や長所短所を書くだけならともかく、しばしば200字程度で志望理由やガクチカ(学生の時に力を入れたこと)を書かなくてはなりません。その時もやはり、文章を読みなれていない人は書くことにも苦労します。

書くことも読むことも高度な技術であって、母語だから楽に書ける/読めるというわけでもないのです。また、母語での読み書きが拙い人は外国語を使って国際的な活動をしようというときも躓きます。あるいは、広告や宣伝をしたいときも、魅力的な文章が書けなければ読んでさえもらえません。

というわけで文章力は、動画やSNSでの発信が容易となった現代社会で最も「役に立つ」スキルの一つであり、読書はそのスキルの重要な礎となります。こんなに有益な趣味があるでしょうか、いや、ない。

〇読書は楽しい

ここまでどちらかと言えば功利的な観点から読書のよさをアピールしてきましたが、もちろん読書は楽しいものです。

たしかに現代では、映画やテレビ、アニメ、漫画、動画サイトなどなどたくさんのコンテンツがあります。ただしよく考えてみれば、それらはできてから100年も経っていないものがほとんどです。若造です。

しかし本に関しては、1000年以上も前から作品の蓄積があります。これから何を読むか、よりどりみどりであり、自分の好きなものに出会いやすくなるのも必然というものです。

しかも世の中には図書館というものがありますから、最悪お金を払わなくても好きな本が読めます。映画や漫画の無料貸し出しが基本的にありえないことを考えれば、これは破格の待遇というものではないでしょうか。

以上のように、読書はコスパがよく、有益で、楽しい、すばらしい趣味であります。

〇おわりに―では、なにから読んだらいいか

ここまで、読書がいかにすばらしい趣味であるか力説してきました。読者の皆さんも、さだめし本が読みたくてたまらなくなってきたことと思います。

では、具体的にどんな本を読んでいけばいいのでしょうか。ブックリスト的な記事も後日アップしようと思うのですが、ここで少しだけアドバイスしておきましょう。

まず、肩ひじ張って純文学から入るのは間違いです。夏目漱石、芥川龍之介、川端康成、太宰治……。多くの純文学作家の作品は、「これから本読むぞ!」という人が読んでも面白くないと思います。いや、もちろん面白く読める可能性もありますが、確率的には低いです。こういった作家は書き方が上手いという点で偉大なので、現代人からするとストーリーや内容については「なんだかよくわからん」ということになりがちだからです。

僕は文学研究者ですから、できれば多くの人に漱石や太宰も読んでほしいですが、ものごとには順番というものがあります。自分が中学生高校生だった頃のことを思い出しても、圧倒的に面白く感じたのはライトノベルやミステリといった、内容の面白さで引っ張るタイプの小説でした。

というわけで、最初のうちは読みやすい現代ミステリあたりから入るのがいいのではないでしょうか。謎があって犯人を捜すというミステリの形式は分かりやすく、ワクワク感もあります。具体的な作家名で言えば、東野圭吾、宮部みゆき、伊坂幸太郎、米澤穂信あたり。

あるいはSFも純粋に楽しいと思います。最近話題の『三体』や、伊藤計劃、星新一、有川浩、森見登美彦、変わり種で貴志裕介『新世界より』とか。有川浩は恋愛小説のイメージが強いかもしれませんが、デビュー作は『塩の街』という世界が塩に征服されるSFで、恋愛小説としてもSFとしても出色の出来です。『塩の街』が気に入ったら、それと合わせて「自衛隊三部作」と呼ばれる『空の中』『海の底』と読み進めてもいいですね。

いや、それでも自分は純文学を読むんだ、ということなら、漱石の長編がいいかもしれません。もともと新聞連載小説だったものがほとんどなので、毎日読者を引っ張っていくための謎や伏線が細かく引かれているミステリ形式になっているものが多いです。本当はあの『こころ』も、なぜ先生があんなに鬱屈しているのかという謎を追っていく小説なのですが……。教科書の収録の仕方はひどいですね。ミステリのオチの部分だけ載せるという。

読書で教養を身に着けたい、という方には、新書がおすすめです。普通の文庫本より細長くて薄めのやつです。岩波新書なんかは表紙が真っ赤なので、意識していなくても目にしたことが多いはずです。最近の新書だと、斎藤幸平『人新世の「資本論」』、今井むつみ『英語独習法』あたりが売れ筋ですね。

とはいえ最終的には好みの問題ですから、表紙が気に入ったやつとか、あらすじや内容紹介を読んで面白そうだと思ったやつから入ればいいと思います。もしはずれを引きたくないなら、図書館で数冊借りて、序盤で引き込まれたやつだけ続きを読むとかでもいいです。

とにかくなんでもいいので本を読みましょう。

新しい春に向けて、楽しい読書の時間を。人生にちょっとした潤いを!


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