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映画『こんな夜更けにバナナかよ~愛しき実話🍌』感想文

はじめに

三浦春馬さんの作品で未見の映画の1つとして店頭でDVDを7月のうちに購入していたのだが、やっと観ることができた...観る勇気がでた。既にリアルタイムで観た過去作品も含めて集めに集めたので折に触れて、ここに綴ろうと思う。彼は作品の中で生きている。

映画予告編YouTube

相模原事件とやまゆり園を思う

相模原事件は障がい者施設で19名の犠牲者をだした凄惨な事件。犯人はそのやまゆり園の施設に入居していた障がい者に対して、「話せる・話せない」で線引きを行ったうえで凶行に及んでいる。「障がい者は不幸をつくりだす」というのも植松死刑囚の主張の1つだったと記憶している。

この映画の原作者、ノンフィクションライター渡辺一史氏がご登壇される新宿ロフトプラスワンのイベント『津久井やまゆり園事件の真相に迫る』7月24日オンライン配信を拝聴した。この映画DVDを観てから議論を拝聴するつもりが、封を開けるのにこんなにも時間が空いてしまった。

2020年7月24日  新宿ロフトプラスワンイベント            『津久井やまゆり園事件の真相に迫る』【主催】『創』編集長・篠田博之氏【登壇者】本作原作者・渡辺一史氏 作家・雨宮処凛氏 やまゆり園家族会前会長 精神科医 等々

私はツイキャス視聴者として、このイベントの質問を投げかけた。大西つねき氏に端を発した「命の選別」発言騒動があってからというもの、「優生思想」的なものへのハードルが一挙に下がってしまい、カネカネカネで福祉を片付けてしまう論調がTwitter上でも目立つようになってきたのを憂慮しつつ、一体社会がどうなってしまったのかという問い。それには雨宮氏が「日本社会が地盤沈下してきている証左であろう」と答えてくださった。

さらに最近、この事件に関して森達也監督が篠田博之編集長と対話形式の記事を書かれていたのでリンクを貼っておく。

自助共助公助

先日発足したスガ政権が掲げるものに、暗澹たる気分にさせられた。どこまで「小さい政府」を目指すのかと。日本型社会福祉論や新自由主義的なるものから、脱却することはできぬものだろうか。ここにも1つ印象的な記事のリンクを貼っておく。

映画感想

そのようなことを踏まえてこの映画DVDの封を開けた。

筋ジストロフィーを抱え、実在した人物〈鹿野さん〉を演ずる大泉洋氏の演技に何度も笑い泣きした。この世に与えられた命の時間が長くはないと知りつつ、「1日1日が勝負」と力の限り生き抜いた人間の生き様。

人に迷惑をかけて何が悪い?

困ったとき人の助けを借りて何が悪い?

この映画は植松聖死刑囚が日本社会に突きつけた問題提起へのなんらかの解を持ちうるのではないか。また、社会に漂う自己責任の閉塞感に風穴をあけるカウンターたりうるのではないか。人は1人で生きているわけではないのだからと。原作も読んでみたくなった。

そして、私は一体何に遠慮し、悩み、萎縮しているのだろうと、恥ずかしくもなった。自分を〈不自由〉にしてしまっているのは、どうやら私自身の考え方のようだ。努力を重ねれば何事も成し遂げられるかのような思い込み・驕りの中で結果がだせず、もがいている自分にも気づかされた。

悩む時間があれば、行動を起こせと発破をかけてもらった。

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