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#50 「日本人は礼儀正しい」は本当か?

日本人の礼儀正しさは、
おごらずに守らなければならないという話です。

日本がインバウンド景気真っ只中だったころ、
中国人観光客のマナーの悪さが、
大きく取り上げられていました。

余市のニッカウィスキーの蒸留所を訪れたとき、
お酒の試飲コーナーに、
飲む量の制限がつけられた理由が、
中国人観光客の宴会騒ぎによるものだと聞いたことがあります。

一方、日本人は、
「礼儀正しさ」や「おもてなしの精神」など、
その美徳が称賛される機会が増えましたよね。

でも、これって昔からずっとそうだったんでしょうか?


至る所で、たばこを吸い、吸いがらを捨てる。
とくに男性の団体客は傍若無人だ。
「カネを払うから、島巡り遊覧飛行の窓際座席を確保してくれ」
と要求する客もいる。
「先着順に着席です」と断る。
と、客は空港のゲートが開いたとたん、
全力疾走して行列を追い抜く。
それをアメリカ人が冷笑して見ている。


ある新聞記事の引用ですが、
どこの国の観光客を指した文章だと思いますか?

これは、今から28年前、
週刊誌『TIME』が日本人の観光客を特集した記事を、
『読売新聞』(1987年8月31日)が引用したものです。

1987年と言えば、バブル景気ど真ん中。
日本中が未曽有の好景気で、
舞い上がっていた時期ですよね。
日本人が「いい気になっていた」時期ともいえるでしょう。

そして、コロナ騒動以前の中国経済はというと、
かつての日本と同じように、
右肩上がりの経済成長を見せていた時期でした。

両者の行いに、
共通点が生まれてしまった理由は何でしょうか?

言うまでもなく、
「おごり」だと思います。

私たち日本人の祖先は、
八百万につながる自然崇敬をはじめ、
大陸から取り入れた儒教や仏教を、
独自に進化させることで、
自然や他者を敬う気質を育んできました。

しかし、経済的な成長が、
民族としてのおごり高ぶりを生んでしまったことも事実。

もちろん、
だから貧しいほうが良いというつもりはありません。

日々の生活に困るような状態からは、
優れた文化・文明が生まれようがないことは、
歴史が証明していますよね。

SDGsへの取り組みが、
欧米に比べて遅れていると、
取りざたされる今。

他国を批判する前に、
「日本人の礼儀正しさ」の根本を見直し、
大切に守っていく必要があるのではないかと思います。

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