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後ろ姿の女/ヨハネスフェルメール(Back view of a woman)

後ろ姿の女/ヨハネスフェルメール(Back view of a woman)

いままでフェルメールの絵画制作当時の話をメインで取り上げてきましたが、今回は視点を変えて『フェルメールに影響を受けた絵画』について語ってみたいと思います。

今回はフェルメールに影響を受けている画家として19世紀デンマークのヴィルヘルムハマスホイ(ハンマースホイ)を取り上げてフェルメールの絵画と比較していきたいと思います。

背を向けた若い女性のいる室内/ヴィルヘルムハマスホイ

フェルメールもハマスホイもどちらも室内の静けさの中で時が止まったような情景が広がっています。

特に今回発見されたばかりのフェルメール本作品『後ろ姿の女』はまさに後ろ姿や無人の部屋の絵を大量に描いてきたハマスホイの作品に直結するものです。そして後ろ姿であるからこそ想像が広がり鑑賞者に神秘的な印象さえ与える絵画となっています。

フェルメールにおいては画中画によって状況を推測させるところもありますが、ハマスホイは画中画も非常に判別しにくく、より不思議さを感じさせるものとなっています。それはハマスホイが人物でなく部屋をメインで描いていることによるものだと思われます。

ちなみにこの『後ろ姿の女』の画中画で左のものは『受胎告知』の部分画ではないかといわれています(有名なダヴィンチのものではなくオランダ画家ヤン・ファン・エイクのもの)。おそらくはフェルメールの妻が身籠ったことを記念して描いた作品と考えられます。ちなみにフェルメールの子供たちは皆聖人にちなんだ名前をつけられていることや、通常の注文絵画であれば登場人物の顔を全く描かないことはないというのもその根拠とされています。
未公開作品。制作年不明。収蔵元非公開。


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