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病床使用率を確認するためのリンク集

 病床使用率について様々な情報が錯綜している。
 ここで、主に
首都圏1都3県の病床使用状況に関するデータの確認方法について、まとめて紹介しておきたい。

〜いますぐ確認したい方向けに、おすすめのページ〜
【東京都】特設サイトの「モニタリング項目」(「医療提供体制」の欄)
【神奈川県】特設サイトの「病床利用率」
【千葉県】
県公式サイト(表の中の「医療提供体制の負荷」)
【埼玉県】県公式サイトの「分科会モニタリング指標」(ページの一番下)

(冒頭画像は、厚労省特設サイトより全国の病床使用率グラフ)

政府が取りまとめたデータ

 厚労省が各自治体から報告を受けて集計したデータと、内閣官房が独自に自治体発表情報を収集したデータがある。

(1)厚生労働省サイト

 厚労省は、各自治体から週1回、木曜日0時時点のデータの報告を受け、毎週金曜夜に、とりまとめた資料をサイトで発表している。

▼都道府県別に病床使用率、入院率、前週比を確認できるページ(週1回更新)

都道府県別に病床数、患者数などの元データを確認できるページ(週1回更新

都道府県別に病床使用率の推移をグラフで確認できるページ(週1回更新

 厚労省の特設サイトにある「ステージの判断で参考とされる指標関連データ」のページ内に「病床使用率」のグラフがある。
 入院患者全体の病床使用率、重症用病床使用率の両方とも表示され、都道府県別に切り替えることも可能である。

 いずれも重症患者の定義(国基準)は、人工呼吸器/ECMOで管理されている患者とICU/HCUで管理されている患者の双方を含んでいる。そのため、自治体が独自の基準で発表している重症患者数とは一致していない。

 なお、厚労省が発表した東京都のデータに関しては、注意点がある。2月17日分のまで国基準の重症用病床数を正確に報告していなかったため、それまでの重症病床使用率は参考にならない。2月23日分から修正されている。詳報はこちら

 NHK特設サイトには、厚労省発表の病床データをグラフ化したページがある。

(2)内閣官房サイト(随時更新

 内閣官房の特設サイトには、ステージの判断の指標データの最新版が掲載されている。毎日更新ではないが、更新頻度は高い。
 ただ、全ての都道府県を網羅しているわけではなく、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の適用地域の都道府県に限られる。

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(7月20日時点の資料より)

 厚労省が週1回とりまとめて発表しているものとは異なり「各都道府県が集計した数値を内閣官房において収集し速報値として表にしたもの」と説明されている。

 難点は、データがどんどん上書き更新されているため、過去との比較がしにくい点であるが、NHK特設サイトが過去の発表情報をストックして公開しているので、参考になる。

東京都の発表情報

▼最新の入院患者数・都基準の重症患者数(毎日更新)

 東京都福祉保健局のサイトのトップページに最新情報が発表されている。
 新規陽性者数・重症患者数は毎日16時45分に発表されるが、入院患者数は数時間後に「新型コロナウイルスに関連した患者の発生について(第●報)」というページ内の別紙「新型コロナウイルスに関連した患者の発生について(追加情報)」で発表されている。
 だが、確保病床数の記載はないため、これだけでは病床使用率がわからない。

▼入院者の症状別内訳と確保病床数(毎日更新)

 患者数と確保病床数を併記したページはこちらである。

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(7月24日発表値より)

 ここで掲載されている重症用病床・重症患者数は、都基準(人工呼吸器/ECMO管理)で集計されたものである。
 「病床使用率」そのものは掲載されていないが、確保病床数が併記されているので、算出は容易であろう。
 難点は、データがどんどん上書き更新されているため、過去との比較がしにくい点である。

▼入院患者数と都基準の重症患者数の推移(毎日更新)

 前掲「療養者の状況」ページと同じデータは、東京都公式の特設サイトでも確認できる。

 入院患者数、重症患者数(都基準)の推移は以下のパネルで確認できる。

▼入院患者と重症患者の年代別割合の推移(週1回更新)

 入院患者・重症患者の年代別割合などの詳細な分析データ(グラフ)は、東京都モニタリング会議で発表されており、以下のページで確認できる(週1回更新)。

▼国基準の重症患者数と確保病床数(随時更新)

 国基準の重症用病床・重症患者数は次のページに掲載されている。都基準の重症患者(人工呼吸器/ECMO)に限らず、HCU/ICUで管理されている患者全てが含まれる。毎日更新ではなく、随時更新である。

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(7月24日発表の7月23日時点のデータより)

 こちらも難点は、データがどんどん上書き更新されているため、過去との比較がしにくい点である。

 なお、国基準の重症患者数の推移グラフは、東京都のサイトには公開されていないため、当プロジェクトで作成している(随時更新)。

▼東京都の病床数データについての捕捉

 ここで、東京都の確保病床数データについて補足する。上記で紹介したデータを見比べると、全病床数が一致していない。

(1)「療養者の状況」、特設サイトに掲載されたデータ
▽軽症・中等症用病床 5575床
▽重症用病床(都基準) 392床
▼病床全体 5967床(7月24日時点)

(2)「国ステージ判断のための指標」に掲載されたデータ
▽重症用病床(国基準) 1207床
▼病床全体 6406床(7月23日時点)

 確保病床数の合計値に400床近くの差があるが、それぞれの意味は、次のとおりである。

(1)「療養者の状況」や特設サイトに掲載されたデータ = 即応病床数
(2)「国ステージ判断のための指標」に掲載されたデータ = 確保病床数

 なお、厚労省には週1回、確保病床数と即応病床数の両方を報告しており、こちらの発表資料で確認できる。

神奈川県の発表情報

▼最新の病床利用率と推移グラフ(毎日更新)

 県公式の特設サイト内に、「病床利用率」「病床利用率の推移」「病床のキャパシティ」というパネルがある(毎日更新)。

▼ステージ判断のための指標との比較(随時更新)

 国のステージ判断の指標ごと病床使用率データがまとまっていて、特設サイトより字やグラフのサイズが大きく、見やすいと思われる。
 ただし、毎日の更新はされていない。

千葉県の発表情報

 千葉県の病床使用率は、県公式サイトの次のページで確認できる(過去1週間分)。

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(7月24日掲載データより)

埼玉県の発表情報

 埼玉県の病床使用率は、県公式サイトの次のページで確認できる。受入病床数のデータはPDFがアップロードされている。

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 分科会モニタリング指標ごとのデータも掲載されている。

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重症患者の逼迫状況(crisis.ecmonet.jp)

 日本集中治療医学会など複数の学会が共同運営しているNPO法人が、重症患者に特化して、都道府県別に患者数と受入可能数を発表している(毎日更新)。
 東京都や神奈川県が採用している重症者定義と同じ基準で集計されているもので、信頼性は高いと言える(国基準の重症患者とは異なる)。

NHKのサイト

 既に触れたが、NHK特設サイトには、次のページがみやすくて参考になる。

▼厚労省の週1回発表している病床使用率のデータをグラフ化したページ

▼内閣官房が独自にとりまとめたステージ判断の指標データを転記したページ

非公式サイト(stopcovid19.jp)

 コロナ禍初期から運営されている「新型コロナウイルス対策ダッシュボード」(個人運営)というサイトがある。
 だが、これは病床使用率を掲載したものではなく、誤解しやすいサイトなので要注意である。
 同サイトに掲載されているデータの分子・分母の値は、次の通りである。

分子「現在患者数」=「全療養者数」(自宅療養・宿泊療養・入院調整を含む)

分母「対策病床数」=「確保病床数」(厚労省が週1回発表している値)+「宿泊療養施設の確保居室数」(同)

 無症状を含む入院する必要のない陽性者も含めて、分子の「現在患者数」としてカウントされてしまっている。
 また、分母の「宿泊療養施設」は「病床」ではない。
 したがって、同サイトに掲載されている数値は、「病床使用率」とは全く異なるものであることに注意が必要だ。

まとめ

 東京・神奈川・千葉・埼玉の病床使用率のデータを手っ取り早くチェックするのに最も優れているページは、NHKの特設サイトではないかと思われる。

 内閣官房が各自治体の発表情報を収集してまとめたデータを転記したもので、首都圏を網羅し、過去の推移も含めて一覧性に優れている。ただし、毎日更新ではないため、最新データを入手できないという難点がある。
 しかも、内閣官房の手が入っている二次情報であるため、間違いがないとは言い切れない。

 元のデータをきちんと確認するには、各自治体ごとに最低限、以下のページを参照するべきであろう。

【東京都】都の特設サイト
【神奈川県】県の特設サイト
【千葉県】県公式サイト

【埼玉県】県公式サイト(ページの一番下「分科会モニタリング指標」


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