音楽以外の音楽と純粋な音楽(VTuberな話)

バーチャルYoutuberをお楽しみの皆様、いかがお過ごしでしょうか?
俺としてはまぁ何が起きてもいつも通りって感じです、何が増えても何が消えても何も変わっていないならそれがいつも通りなんだなって感じで。
好きなヤツ嫌いなヤツチェックしてなかったヤツ、まるでデトックス効果で体内を綺麗にしてるんじゃないかってぐらいの代謝速度で何かが生まれては育って、何かが消えて死んでいく。
世代交代なのか弱者淘汰なのか、優しい世界とかもてはやされてたのがウソみたい。
所詮は人間の集まりでVTuberという文化がそれを逸脱できていないってだけなオチかもしれない、まぁそれを携わっている人や楽しんでいる人が望んでいるのならそれでいいんじゃないかな、俺がここで何を言ったところで何も変わりはしない。

響木アオのプロモーションが話題になっていた。
引退をほのめかすような動画や文章、突然の生放送や動画のサムネが白紙へ差し替わる等のネガティブな動きが突然起こり、ファンがかなり慌てふためいていた。(一部のファンは出演ドラマのキャンセルが無いことを理由にそれを否定していたが)
その後に発表された新曲には新衣装おと披露目も含めて"そこだけなら"絶賛ではあったが、この引退詐欺めいたプロモーションには納得いかないという声もあった。
運営は過去にも「100万再生いかなかったら…」的な告知を大々的にしてた経歴があるのでそういう点ではファンを不安にさせてアオちゃんに視線誘導させる的なことをするのが普通に手段の一つとして考えてる運営なのかもしれない。

VTuber楽曲大賞なるものが先日あった。
ファン投票自体は前々からツイッターの方で公募していて、それの集計結果が上のツイート。
くわしくはこっち
個人的には誰がランクインしたかというより、VTuberの楽曲ファンや比較的コアなファンが投票総数の分母として多そうだなぁという点で分かりやすいなぁと思った。
特に花譜ちゃんやMarprilが食い込んでいる辺りにそれを感じる。
結果としてこれが食い込んだから何がどうなるという話ではなくて(実際これもファンイベントでしかない)、〇〇が1位だよっていうとこで見ても「わーすごい」以上のことはない。
ランキングの面子を見ても珍しい顔ぶれっていうほどでもなく、いつものメンバーに音楽系がチラホラという感じだった、 羽子田チカが入ってるのはレアだなぁってぐらい。
そんな中で俺のTLでチラホラ見受けられたのが"〇〇入ってない問題"、恒例ですね。
特に見受けられたのはミソシタ、これに関しては個人的に一理どころか100万理ぐらいあるのだけれども単純に「ミソシタを好む層が票入れてないだけ」ってオチでしかない、実際ここのランキングに入れたければ投票するよう地下二階メンバーにもっと呼びかければよかったってだけ。
VTuber楽曲でVTuber自身が作詞作曲MV制作まで全部やってのけたのがミソシタで、ある意味クリエイターの鑑みたいな存在と思っていただけで求められていないのかなと言う風にも取れるしコアなファン層でも派閥があるのかなという風にも取れる。

同じものを見てるのに見えてるものが違うってのは中々悲しいもんですがね、いかんせん横にだけは妙に広いっぽいから目線がばらけてるんだと思う。

VTuberの楽曲に対する俺のスタンスはこのnoteからブレていない、と思う。
もっと「粗削りながら書きました」的なものがあってもいいし、それこそプロの作曲者に頼むのもどうなんだろって気持ちでもある。
例えば夜乃ネオンの曲なんかは「夜乃ネオンの曲」ってより「IOSYSの曲」って感じが強かった。(一部例外があるけれどもIOSYSっていつもあんな曲調だよね)
あんまり作曲部分を外部に頼むのが普通になるとVTuberの楽曲がただのキャラソンにしかならないような気がする、ってかキャラソンになっちゃう。
別にそういう見方(聴き方?)をしてるならそれでよし、オタクらしく「推しが歌っとる~」的に楽しんでガンガン消費してくれって感じ。

なんとなく感じるのは「楽曲に対する装飾がゴテゴテ」っていうところ。
結局誰が歌ってるのかという点やハイクオリティなMVなどなど、楽曲以外でのプロモーションが強すぎて音楽の純度が低い。
音楽活動以外での活動をするにしてもそれが強すぎて「楽曲がサブ」みたいになるのはどうなのかとは思う、それは純粋な楽曲に対する評価なのか?それとも推しが歌っていたからなのか?と問いかけたくなる。
この辺の評価の仕方をいい感じに表現したものがDJテクノウチの書いた「読む音楽」という本に出てくる"音楽以外の音楽"という考え方。

テクノウチ本人の音楽人生を振り返りながら、音楽以外の音楽というものに対してメスを入れていく(メインは同人ハードコアテクノ関係の話だが)。
何故人はCDを買うのか、楽曲の何に惚れるのか、普通に聴いてるその曲に対する純粋な音楽の評価はどのくらいなのか、何故その曲を聴こうと思ったのか。
音ゲーとタワレコ漁り、そして音楽の歴史本から入り、二次創作楽曲やジャケ買いの心理などをDJ活動や同人制作の経験、そして音ゲープレイヤーとしての楽曲の触れ方から語っている。
その中であるのが「世界売り」という考え方、これがVTuber楽曲の楽しみ方のメインストリームという風に当てはめられそうと考えられる。
エヴァンゲリオンとかフロムソフトウェア作品みたいな説明が不十分なストーリーの背景を考察することによって"消費する"という考え方、ビックリマンや神羅万象チョコのシールの裏面に書いてあるフレーバーテキストからその世界を考察して楽しむ的な考え方で、とってもオタクって感じがする。
それに近しいのが本誌でも例として取り上げられている初音ミク、イラストとキャラ設定だけだったものが楽曲や二次創作によって新たなキャラ設定や背景が生み出され、それを消費していく。
「VTuberと初音ミクは似ている」の正体の一部が恐らくこれ、Youtuber活動で広げられたキャラ設定や背後関係をファンの脳内で世界として拡張していく、その拡張パーツの一部がVTuber楽曲なんだと思う。
俺がキャラソンと言ってるのはこの辺も関係している、商業的な意味合いもあればファングッズとしての意味合いも含めてそういう認識でいる、ポジティブな意味でも逆でも。
消費者に徹するファンであるならこれはある意味正しい、音楽そのものを楽しむではないのかもしれないが、楽曲を通してVTuberにどっぷり漬かることのできるならそれは本来とは別の意味で正しく消費していると言えるのかもしれない。

その考えがある上で言うが、俺はそういう楽しみ方は好きじゃない。
俺はもっと純度高く音楽を楽しみたい、それこそ愚直に。
楽曲に込められた意味とか歌詞とかぶっちゃけどうでもいいし、それこそVoの声質と楽曲のマッチ具合とかそういう音で聴いていたい。
確かに「事務所の先輩に言われたことに対する怒りのアンサー」だとか「亡くなった友達に対するメッセージ」とかのその楽曲に込められた意味を知るのはその楽曲への理解をさらに深める重要なポイントではある。
でもそれは純粋に音として聴く上では邪魔でしかない、まず純粋な音の評価をしたいという考えのもとで言えばその"フレーバーテキスト"はいらない、まず何もつけずに味わいたい。
そういう考えであるのでどうも楽曲に対して装飾がゴテゴテな感じのするVTuber楽曲はどうも好きになれない。
花譜ちゃんみたいにストイックに曲で勝負してるならまだしも他はどうにも「世界観の延長」というイメージがまとわりついて違う気がする。
あくまでも俺自身の価値観考え方の話であって他のファンの楽しみ方をdisるわけじゃない、そういう楽しみ方も全然いいと思う。
他人がタバコ吸うのは別に構わないけど俺は吸わないよ、みたいな。

もっとストイックに音楽をぶつけてきて欲しい、と個人的には思ってる。
それこそ他の要素は要らないぐらい、数か月に一曲出しますでも全然構わない。
「普段とのギャップが云々」はもう食べ飽きた、知らんわ。
そのやり方が現状のファンに対して刺さってるから続けてるんだろうが、それでも俺は嫌だと感じる。
ただそれをここで吐いたところで何も変わりはしない、キャラや世界観消費の流れに流されて掻き消えるだけ、市場に対する俺の存在なんてそんなもんですわ。

そんなことよりもっとみんなspotifyに曲あげてさいよ~せっかくプレミア会員になってるのに有名どころの曲ばっかだし全部あるわけじゃないし~

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