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近頃のマジック業界に思うこと

ご無沙汰しております。
マジシャンユウです。最近、久しぶりに恋をしておりまして、1日が楽しいこと多くなって充実した日々を過ごしております。

さて、今回記事にしたい内容は最近のマジシャンの「働き方」についてです。
なので、内容はプロについての内容となるでしょうか。

しかしながら、先に言っておかないといけないのは、マジシャンというのを職業にした時、自由度は非常に高いです。
誰がどういった形で稼ごうとも正解不正解などなく、ただ結果として、「またきてね」と言われるかどうかの差だと思っています。
例え「またきてね」とリピートされずともその1回稼げたら成功だぜ!って人もいるかと思いますがそれもそうだと思います。
それを踏まえると、ここから記述する内容はマジシャンユウの「超個人的偏見」からくるものなので、強く共感されるのと強く拒否感でる内容になるのではないかと思います。
そういう目で読んでいただけますと幸いです。

最近よく聞くマジシャンの稼ぎ方

2023年に入りまして、マスクは自己判断でとかコロナを5類に引き下げるなどということで「緊急事態宣言」や「まんぼう」「自粛」などの空気がどんどんと緩和され、イベントや飲食店も元の盛り上がりを取り戻しつつあります。むしろ、我慢の反発で2019年(コロナ禍前)よりも盛り上がりを見せるところもあるくらいです。

こうした中で、元々あったスタイルではありますが、最近になって「よく聞くようになった」マジシャンのスタイルで、飲食店でのテーブルホッピングというスタイルがあります。

ちなみに私もやっています。

飲食店へマジシャンが来店し、テーブルひとつひとつまわってお客様にマジックを楽しんでいただくというものですが、近頃ではマジシャン派遣事務所が飲食店と契約を交わし、マジシャンを派遣するという組織がちらほら増えております。

マジシャンの活動の幅を広げるとてもいい場ですし、成長のヒントもたくさん転がっている、間違いなく「現場仕事」です。

どの事務所も同じやり方をしてるわけではなく、各々うまくマーケティング営業していることを前提でなんとなくの一例をご紹介しますと

事務所とお店の契約については、お店から事務所に対しての「出演料」などはゼロ円。
マジシャンがまわったテーブルのお客さんと直でのやり取りで「チップや投げ銭」をいただくことで、店も利益を落とさない、マジシャンも損しないという方法があります。

まぁ、一見メリットだらけに思える仕組みで実際にはメリットだらけなんです。
ズルいくらいのマーケティングです。

さらにこういう手を広げておくことでクチコミが広がれば、契約していないお店からも依頼がくるなどにもなっていくことでしょう。

トラブルについて

ただし、当たり前ながらお仕事となっている以上はトラブルやクレーム、揉めることなども避けては通れません。
どんなお仕事でもなにかしらぶつかることは絶対にありますから。

このスタイルについてのトラブルの一例を上げておきます。
・マジシャンが「チップお願いします」と強要気味に請求をしてしまい、お客さんに不快な思いをさせる。
・ナワバリ争い
・そもそもマジックが面白くない

などです。あげればキリはありませんが、どれにおいても客観的に見ればわかるように「根本的」なことばかりです。
そんなん常識やん!って言われるようなことばかりです。
しかし、組織というのはいろんな人がいますから必ずこういうことは起こるのです。

先に私自身のことを話しておきますが、私自身は組織には所属しておらず、フリーのワンマンで動いているマジシャンゆえに全ての営業を自分でとっているという形になります。

この飲食店へのテーブルホッピングも自分でお店と契約し、自分でマジックをしに行き、自分で稼いできてるということです。

何故これを書いたかと言いますと、この組織タイプに対して言及することに私は「いろいろと個人としてすでに経験済み」ということを伝えたかったからです。

で、トラブルの話に戻りますが、ここからは偏見を加えた書き方になります。
マジシャンがお客さんに失礼を働いてしまい、トラブルになることについてですが、これは言わずもがな、あってはいけないことです。
とは言え、そういう失敗を重ねて、成長してほしいので「経験値」としてとらえてほしいことです。

が、お客さんにご迷惑をおかけしてることには変わりありません。

で、この場合ここで問題が出てくるのは、お客さんは「どこに」クレームをいれるのか。です。

これ、ほとんどはマジシャンに場を提供している「お店」にクレームが入ります。
何故なら、店の責任でマジシャンがテーブルをまわることを許可してしまっているからです。

ただ、派遣されてくるマジシャンはその飲食店の従業員ではないので、どういうことをしたら、お店の営業スタイルに差し障りがあるのかを理解していません。
お店の従業員なら、お店のルールの中で教育を受けているので、失礼を働いても、お店の責任下で謝罪をすることが出来ます。

しかし、派遣されてきてるマジシャンが勝手に失礼を働いても、これ、その場でお客さんに謝罪するのはお店の責任者になることが多いです。
もちろん、マジシャンも頭を下げた上でです。

ちなみにこういうのは大概、マジシャン本人にはお客さんは何も言わず、後ほどお店にこっそりクレームをいれるパターンが多いです。
つまり、失礼を働いたマジシャンが知らないところで頭を下げている人がいるということです。

もちろんこの後は、お店からマジシャン事務所に連絡が行き、クレームとなるわけです。
これでそのお店との契約が切れるとか、誰々は二度と来ないでくれとか、まぁいろいろ動くわけですよね。

まずここで知ってほしいポイントは
マジシャンがお客さんに失礼を働いてしまった時に「その当事者だけ」が謝って終わりになってるわけでなく、そのことのためだけにたくさんの人と想いが動いているという「責任感」です。

どうしてもそこがブレやすい仕事なのです。
ひとつのテーブルまわって、例えば4人のお客さんがいて、1人1000円投げて下さったら、ものの10分~15分とかで4000円の売上になるんです。

正直、若手マジシャンにとっては「ボロい」商売なんです。
ギラギラしたゴリ押しで稼ぐタイプの人にとってはそれこそ1卓怒られたところで、10卓は喜んでもらえて3万円儲けたら勝ちやろ。で済ませてしまう人もいます。

これ、個人で営業とってたらまだ何も言えないんですが、要は組織で動いてるということを意識してほしいのです。
まずはお店にご迷惑をおかけしていること。そして、お店に派遣してくれた事務所にもご迷惑がかかること。

自分のために誰が誰に頭を下げるのかをよく考えないといけないということ。

ナワバリ争い

次はナワバリ争いの件に関してです。
先程書きましたが、こういう組織がちらほら増えてきているということから、すでに「A事務所」が契約をとっている飲食店に「B事務所」も契約をとってくるという件です。
まぁ、A事務所はいい気はしないですよね。

うちのナワバリだ!お前らはどっかいけ!
ってなるよね。というお話。

ここでまた私、マジシャンユウの場合に関しては、個人で動いているので、どっちにしろ大きいキャパのお店は疲れるしということで適度なお店を探して契約しているので、被ることはまぁありません。
仮に被ったら多分自分はその店からは引きます。

で、このナワバリ争いに関しては事務所同士の、マジシャン同士の争いなので、正直なところ、揉めるに揉めるでしょうけど、客観的には「どうでもいい話」です。
お客さんには関係のない話ですから。

で、ここで考えてほしいのは「欠落している考え」です。
A事務所が元々とっていたお店にB事務所が割り込んできた。
A事務所は気分が悪いですよね。B事務所に「ウチが先に契約していたんだ!B事務所さんは手をひいてくれ!」ってなりますよね。

ちょっと待って下さい。欠落しています。
それは、それを決めるのは「場を提供しているお店」なんですよってこと。
もちろん契約する際に「A事務所と契約をしたら他の事務所とは契約しないでください」のような決まり事はあるかもしれない。

ただ、根本的に違うのは決定権、裁量は飲食店側にあるということなんです。
何故ならば、お店が「場所とお客さん」を提供しているからなんです。

勘違いしてはいけない。そもそも何故その飲食店にマジシャンが派遣出来るのか。
それは、そのお店の「集客力」を利用しているからなんです。
で、なければマジシャンが自分らでお店開いてお客さんを呼び込めばいいだけの話なので。

わざわざ飲食店と契約するというのは、そのお店に「飲食をしに来ているお客さん」がほしいからですよね。
これも何故ならば、お店からの出演料はいただかずに、お客さんからチップをいただくスタイルだから。なのです。

お店に行くだけでは稼げないんです。
そのお店に行った際に、「その飲食店に来店しているお客さん」がいないことには始まらないんです。

これは、要は「飲食店の力で集めたお客さん」をマジシャン事務所が「貸してもらっている」んです。

そう聞いたら、事務所同士のナワバリ争いという言葉にすると、すごく「勝手なことしてるなぁ」ってなりません?
根本の論点が違うくね?ってなるんです。

B事務所が割り込んできて、「挨拶もなしに…」じゃなくて、場を提供してくれているお店に対しての失礼をいの一番に考えないといけないんじゃないの?ということなんです。

快く場を提供してくれているお店も不快になれば、どちらの事務所とも契約を切るなんてこともありえるわけです。

つまり、「優先順位」を間違えてはいけないよということです。
こう考えると、B事務所に問題はあるんですがね。
それはまたそれ。ということで。

事務所の教育体制

次に記述しますのは、事務所が抱え込んでいるマジシャンへの教育体制の話です。

お聞きした話の中でこんなことがありました。

事務所内で「このマジックはもう禁止ね」とあるマジックについて禁止令が出たという話。
これは、事務所からAさんというマジシャンからBさんやCさん、もっといるかと思いますが、要は複数のマジシャンが入れ替わりで来店してる中で、お客さんが「どのマジシャンからも同じマジックを見せられる」ということが起こったそうです。

テーブルホッピングあるある、いや、マジシャンあるあるとも言えるのですが、お客さんに見せた時に反応の良いマジックのチョイスがかぶるということですね。
その中でもとある有名なカードマジックは本当に誰もが習得していて、かつ、やっぱりどこでやってもお客さんの反応が良いものがあるのです。

なので、そのマジックそのものが悪いわけではなく、あくまでチョイスの問題です。

特にこの問題は事務所が派遣するマジシャンへの管理、教育の問題だととらえています。

例えば、事務所がマジシャンを送り出す前に、本当に人前でマジック出来る腕なのかをテストしてみたり、どういうことが出来るなのかをみておくこと、または、スクールを開いてあげ、レベルアップを予め行っておくなどをしているようですが、そこが甘すぎると言えるんです。

例えば、AさんというマジシャンをXというお店やYというお店、Zというお店などの「1人のマジシャンを複数のお店」に送り出す分には問題ないのですが、逆に「複数のマジシャンを1つのお店」に送り出すのであれば、マジックのネタやキャラかぶりを起こしてしまうということは、避けておかなくてはいけません。

何故ならば、先述にありました通り、お店の集客力を借りているわけですから、当然にその飲食店様の「常連様」がいることも忘れてはいけません。

つまり、同じお客さんに当たることはあるということです。
ここで、マジシャンという職業は「同じマジックを同じ人に見せるわけにはいかない」のです。

ジャグリングや音楽なら「同じ人から同じパフォーマンスを何度も見たい!」になり得るのですが、マジックだけはなかなかそういかないんです。
ネタバレしたマジックは楽しめない人が多いからですよね。

と、なると、事務所が抱えるたくさんのマジシャンを同じ店に派遣するのであれば、マジックのネタをズラすという配慮はするべきです。

つまり、接客に必要なお客さんへの「気遣い」を忘れているにすぎない。
つまりは、「人にマジックを見せてチップをもらう」という主観にとらわれ、「お客さんに楽しんでいただく」という根本を忘れているわけです。

この配慮を最初から教育出来ていれば、「このマジックはみんなやっちゃうから禁止ね」なんてことは起きないハズなんです。
マジシャン1人1人の個人の判断でネタのチョイスを任せてしまうから、そうしてかぶるのはもはや必然です。
「事務所がわざわざ管理している意味がない」んです。

お店の事務所へ対するニーズをくみとれていないのです。

で、詰まるところ、「禁止令」もナンセンスだと感じます。ネタのチョイスの見直しをそれぞれのマジシャンと事務所で話し合い、より良い物へとショーアップさせればいいだけです。

それが、事務所のマジシャンへの役割です。

コンビニにいる店員にそれぞれのやり方で勝手に営業してくれたらいいからなんて言わないですし、アイドルを抱える事務所なら、各々勝手に売れる行動をなんて言わないわけです。

言わばそれこそ「プロデュース」しないといけません。それをマジシャン派遣事務所は「出来ていないとは言いません」が激甘なんです。

特にその最近聞く事務所は若手が多いというところでも仕切っている運営者も若い傾向にあります。
だからどうだって話ではないですが、勉強不足にすぎません。

最後に

いろいろ書いてきましたが、まずは「目的」や見失ってはいけない「本質」、目には見えないところの「人の動き」など。
これをしっかりと理解出来るようになれればいいんじゃないかなと思います。

で、事務所側はせっかくそうして組織的に動くことをし、たくさんのマジシャンを抱えるのであれば、しっかりとそのあたりも教えてあげてほしいなと思います。

ただし、初めに記述した通り、全てにおいて私の見解が正しいわけでもありません。

否定をするわけではないです。

何故ならば、こんなめんどくさいこと、別に知らないまま世を渡ってもなんとでもなるし、成功する人はするからです。

ただ、こういうことを「知ってる」のと「知らない」のでは行動が変わります。

例えばこういった私の書いた理念を初めから念頭においてホッピングにのぞんでいたなら、チップをいただく際のお礼の態度の変化。
お店への挨拶の仕方。横のつながり。

必ず変わるはずです。

逆に言えば私の書いたことを真っ向から否定するのではなく、何か1つでもここから自分をパフォーマンスを向上させるヒントを探す事が出来る人こそ、もっと成功するのではないかなと思います。

肯定すればいいって話ではありません。
否定的な意見があったなら、じゃあ自分はそれを反面教師として、どう行動すればもっと成功するかというのを考えるということです。

事務所から派遣されているからといって、自分の行動に理由や意志がないままでは成長しません。

何度も言いますが、私、マジシャンユウは上記のことをフリーの個人で自分1人で運営して営業をしています。

どうか、なにかひとつでも誰かに響いてくれたなら幸いです。

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