複数のオーディオインターフェースを所有するメリット

2024年現在、オーディオインターフェース業界はとてもカラフルな状況になっています。

家庭用・エントリー用として需要の高いアンダー3万円のAIFがごろごろしている。

24bit 48kHzどころか96kHz・192kHz対応のAIFも少なくない。海外テスターの報告を見るとダイナミックレンジやRTL(ラウンドトリップレイテンシー)の値も優秀。

(乱暴な言い方ですが)ホームユースの規模であればどれを選んでも大きな支障はないと言っていいくらい。すごい時代になったものです。

さてそんなAIF、基本的に1台あればOKなシロモノですが、個人的には複数持ちするのが良いと考えています。


転ばぬ先の杖

僕は妖怪機材ポチリなので気になった機材はどんどん買い込みます。

「同クラスの機材をいくつも買ってどうすんの?」

「その予算でハイエンド買ったほうがいいのでは?」

よく言われます。でもそういう妖怪なので仕方ないんです。そういう生態なんです。

それはそれとしてニンゲンの部分から言わせてもらうと、これはひとつのリスクヘッジでもあるんです。

多くの場合AIFはOS標準ドライバーではなく専用ドライバーを使って運用するのですが、ここでコンピューターとの相性問題が発生することがあるんですよ。

例えばAのパソコンでトラブルなく使えていたAIFを新しく買ったBのパソコンに繋いだらドロップダウンノイズが入るようになってしまったり。

BのパソコンはAよりもハイスペックなので性能不足ではない。考えうるかぎりの最適化も施した。それなのにAの時と同じサンプルレート・バッファサイズでノイズが走る。

ドライバーの再インストール、ダウングレードも効果なし。AIFの故障ではないことも分かった。ケーブルは正常。USB3.0問題でもない。

AIFのメーカーに問い合わせても「再現性なし」

つ、詰んだ…

みたいな。実話なんですけど。

しかしそこは顕現して長い妖怪でありPC機器オタク。こらもう別のAIF使うしか無いな、そこで詰んだら調伏されよう…との覚悟でAIFを差し替えたらあっさり解決。納得いかないかもしれませんがPC機器ってそういうものです。

これはパソコン買い替えだけでなくOSのアップデートやドライバー以外のソフトのアップデートでも起こり得るトラブルなのでいかにハイエンド機材を使おうとも未然に防ぎきれるものではありません。

つまり転ばぬ先の杖ということ。そのために手が届く価格帯で複数のAIFをキープしておくのは決してムダではないと考えています。


経験値稼ぎの視点

リスクヘッジの観点ぬきで考えても多様な製品に触れることはいい経験値稼ぎになります。

  • 本体のビルドクオリティ

  • ノブの配置、重さ、効き方

  • ジャック配置による利便性の違い

  • アンプのキャラクター

  • 付属ソフトの違い

どれもAIFひとつでは得られない経験、体験です。

レスポール1本しか持ってない人はそれがどんなに優秀なレスポールだとしてもストラトキャスターの使用感やシングルコイルピックアップのキャラクターを知ることが出来ません。逆もしかり。

知らない方のギターを買って始めて実体験を得ることが出来ます。ホンモノではない、安いSTモデル・LPモデルでも経験値ゼロから一歩進めます。

そういう経験の積み重ねが審美眼を育み、次の機材選びをより豊かなものにすると思うワケ、妖怪的には。

気になるAIFがあるのなら思い切って買ってしまいましょう。よほどのことが無い限り「なにも得るものがなかった」とはならないと思います。


おすすめのオーディオインターフェース

実際に使ってみたAIF、仕様と実演を見た限り大きな問題がないAIFの中からオススメをいくつか紹介して終わりにします。広告乙?ははは子安め。

Presonus Studio 24c

  • 国内外問わず人気のAIF

  • 最も無難な選択肢のひとつ

  • Studio One Artist付属 バンドルDAWの中では頭一つ抜けた性能

  • スイッチ操作なしでマイク、楽器、ライン機器を入力できる

  • 入出力ともに素直で使いやすい

  • ヘッドホンアウトが背面にあるのは不便

  • インジケータの挙動がやや粗い

Focusrite Scarlett Solo 3rd Gen

  • 海外で特に人気のAIF

  • ビルドクオリティが高く、数年運用したが故障ゼロ

  • プリアンプの質感が良好

  • AIRスイッチによる味付けは様々なシーンで役立つ

  • ノブが重く止めたいところでしっかり止まる

  • 出力ボリュームが全出力共通なのは痛い

  • Gen4発売に伴い値下げされコスパが更に向上

Universal Audio VOLT 176

  • UA謹製のプラグインが付属するAIF

  • 生活空間に馴染むナチュラルレトロなデザイン

  • 木製パーツの裏は抜かりなくシールディングされている

  • VINTAGEスイッチによるマイルドな味変

  • 1176ベースのコンプレッサー内蔵。

  • 上面にコントロールが集中しているのでデスクによっては置き場に困る

  • 各LEDが明瞭で状態の把握が容易

Arturia MiniFuse1

  • USBキーボード等を接続できるUSB-Aポート搭載のAIF

  • 目に刺さるようなLEDが苦手な人にぴったりの淡色LED

  • 個人的にAIF界さいかわデザインだと思う

  • ノブを余裕あるレイアウトで配置しており操作性良好

  • 高評価プラグインAnalog Lab Lite付属

  • Arturia FX、GuitarRig LEなど粒ぞろいのバンドル

  • 価格を考慮するとほぼ隙がない

ROLAND Rubix22 USB

  • 国内普及率の高いUA22後継機種

  • スマホDTMで活きる電源供給ポート搭載

  • 付属ソフトのお得感は薄い(サブスクサービス利用権付)

  • 前面コントロールは余裕があり操作性良好

  • ダイレクトモニタリングをステレオモノラル選択可能

  • ↑このスイッチを背面に配置した判断は疑問

  • メーター未搭載のため動的な確認は難しい

  • USB-B接続の安心感はデカい


Shades Guy


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