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 日頃よりVELTEX静岡をご支援戴き厚く御礼申し上げます。静岡県は新型コロナウイルス感染防止のための緊急事態宣言対象地域から外れましたが、ワクチン等の恒久対策も不透明な中、まだまだ予断を許さない状況が続いています。皆さん、是非引き続きご自愛専一にて過ごされることを願ってやみません。

 さて、今回は少し私ごとの話をさせて戴ければと思います。仕事柄、人前で話すことが多いのですが、私はこれまで事前に話す原稿(所謂カンペってやつですね)を用意したことがありません。決算発表や事業計画の記者会見、スタジアムやイベントでの挨拶等々、必ずカンペなしで話しています。また、大学での臨時講義やメディアさんからのインタビューも、頂戴したお題について考えはまとめておきますが、やはりその場の雰囲気を感じながら、言葉を選ぶようにしています。カンペを読めば楽ですが、話を聞いてくれる相手のその場での気持ちを考え考え言葉を選ぶ方が、例えたどたどしくても相手と心のこもったコミュニケーションがとれると信じているからです。結果、概ね長い話となりひんしゅくをかうことも多々ありますが、それでもその場の皆さんのことを考えながら話す方が、自分の言葉による本意として「発信力」の基本になると考えています。

 話しながら、皆さんが何を知りたいのか、何を求めているのか、思考を張り巡らせることは、経営をしていく上でとても大事なことです。これは社員や現場と話す時も全く同じです。経営の基本は「お客様(社員、現場)に納得して戴くこと、喜んで戴くこと」にありますので、様々なお相手との話の中で、そのことを必ず念頭に置きながら話していれば、経営として対処していかなければならないものも自ずと見えてきます。

 例えば、ファンの皆さんとチームのことについてお話しする時には、時として何故弱いのか何故負けたのかということに言及しなければなりません。選手の能力、戦術、相手チームとの差等々を、頭の中で整理しておかなければなりません。また、経営者の皆さんと経営のことについて話す時には、収益、費用、損益、各事業の状況、懸念点や場合によってはお願い事項等を整理しておかなければなりません。社員と話す時も同じで、話した内容を通じて、上司や職場環境、仕事の内容等々に対して満足しているのかどうかということを予め意識しておかなければなりません。こうした話すべき内容は、相手一人一人、またその場の状況で千差万別です。特に大勢の方々への挨拶時のカンペなどは、安易で失礼だと思っています。皆さんの表情や、ざわつき方、ちょっとした言葉に反応しながら言葉を選び選びで頭がフル稼働していますので、緊張している暇などあろうはずがありません。

 そうした話を通じて見えてくる大事なもの、その筆頭格は「数値化」です。数字は嘘をつきませんし、ごまかしもききません。競技力、経営の良さ悪さ加減、社員や現場の満足度等々、数値化が評価の第一歩になります。そして、皆さんや社員、現場がわかるように「可視化」しておくことです。また、その数字は他のクラブとの比較や、リクルートにもかかわる報酬等、他産業とも比べながら、競争力があるのかないのかを見ていかなければなりません。こうした「相対化」情報は、相手が話してくる内容に応じてこちらが持ち出すものとして、とても大事だと思っています。更に、皆さんとのやり取りで得たものをもとに、必要な情報、分析方法、使うタイミング、それを用いる対象の相手や会議体等を順次「標準化」しておけば、どの引き出しに何が入っていてどういう時に使えば良いかいちいち悩まず仕事を進めることが出来ます。そして、それを「デジタル化」しておけば、会社業務や皆さんへのサービスのレベルという点で満足度レベルは上がると考えています。

 こうした「発信力」の源を司る「数値化」や「可視化」「相対化」「標準化」「デジタル化」は、「経営力」を上げていく上でのキーファクターであり、言わば皆さんが会社経営力を高めていってくれていると、私は頑なに信じています。世の中で「お客様は神様」と言われる所以は、何も皆さんからお金をいただいているからだけではなく、会社の発展に大きく寄与してくれているからです。それが私が常々皆さんを「仲間」と感謝し、最大限の敬意を払ってている所以です。また、社員や現場も然りです。読んだこともありませんが、皆さんは有名な経営者のどのハウツー本よりも宝の山です。その想いをこれからも持ち続けながら、そこから得たモノをこの会社に丹念に還元していくことが私の最大の使命だと思って戴ければ幸いです。

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