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【未曾有の危機の中でみたスポーツ事業の本質】

 新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」がついに全国を対象とすることになりました。各地域に於ける感染者数の大小に拘らず、その増加ピッチが加速していることからの判断ということです。弊クラブは皆さん、そして社員、チームへの感染防止を第一義に置き、いち早く在宅ワーク主体、公式練習、皆さんとの交流等、濃厚接触機会の可能性の高い活動を見合わせて参りました。今後も先日リリースさせて戴きました通り、「STAY HOME STAY SAFE それでも私達はONE TEAM 」の思いで更なるコロナストップ活動を継続して参ります。

 この感染防止策としての濃厚接触防止は、皆さん一人一人の生活に大きなストレスをもたらすとともに、各企業活動にも大きなダメージを与えています。緊急時に先ず優先されるべきは「生き抜くために必要な産業」です。例えば、食べるため、病にかからないため、病を療すためのスーパー、ドラッグストア、宅配、医療、一定量の公共交通機関等々、今後も皆さんの生活を守るため、事業を続けて行かねばなりません。従事されている方々には格段の敬意を払うとともに、ご自身をよくよく守って戴くことを願ってやみません。

 一方、飲食関係、旅客、レジャー関連事業等、多くの業種で、感染防止上不要不急対象事業ということで、緊急事態宣言発令以前より相当な打撃を被っています。私達の携わっているプロスポーツ事業も同様に大きな負の影響を受けています。試合が出来ないことは、応援して戴いてる皆さんから観る楽しみや仲間と分かち合える感動や喜びを奪い、選手達がモチベーションを維持することを難しくしてしまうばかりではなく、クラブの規模や人気度によりその差は異なりはしますが、入場料収入や会場での物販、飲食等の収入機会を絶たれてしまいます。また、スクールに通えなくなることは、お子様達にとって大好きなスポーツが出来なくなる悲しさばかりでなく、会費収入機会を逸してしまいます。更には、スポンサーさんの中でも、試合がなくなることで、自社名や自社製品名の露出機会が減ってしまうことへの対価返還を求めてくるかもしれません。それら負の影響は、クラブ規模の大小、スポーツ業種別に異なる対象試合数、また比較的損失補填を受ける可能性の高い大手企業を親会社に持つクラブとそうでない市民クラブにより差が出てきます。その規模は数千万円から中には10億円をはるかに超えるクラブも出てくるでしょう。

 今後、どの業種もそうですが、企業存続のためにありとあらゆる策を講じなければ、このコロナ減益に打ち勝つことは出来ません。特に先に述べた濃厚接触、不要不急業種は、そうした策を講じたとしても、悲しいかな万策尽きて倒れてしまうかもしれません。私達のスポーツ業種も同様です。各クラブは例外なく今後の損益減少規模を見積り、皆様に試合をお見せ出来なくなったお詫びの気持ちと同等の大きさで、これからの難しいクラブ運営について思考を張り巡らせているはずです。

 私達スポーツ業種に、この危機を乗り切る上で効果的な突破口はあるのか…この仕事を20年近くやってきて私は一つの思いに至っています。それは今更ながらではありますが、やはり私達の業種の原点である、「地域の皆様にどれだけ豊かな時をもたらしているかどうか、言い換えれば、ここに住んでいて良かった、もっと根源的に言えば生きていて本当に良かった、と思って戴けるような存在になれているかどうか」にかかっているのだと。そうした観点で、私達は単なる利益追求の法人とは一線を画し、地域に於ける公共財の如く存在してこそ、存続の意味があると強く思っています。コロナにより、私達の存在意義の重さがあらためて計られ、そして問われる…私はそう考えています。

 それでは人間として生きている価値、本当に生きていて良かったと思えるとはどういうことか。それは生きているからこその喜怒哀楽がもたらす感情の多様性だと思っています。辛い経験をした人ほど他人に優しくなれます。悲しい経験があってこそ、喜びもひとしおなのでしょう。大好きだから怒ることってありますよね。私達は喜びも哀しみも怒りも楽しみも表裏一体だからこそ豊かな時間を過ごせているのだと思います。そして、その象徴的なものがスポーツだと考えます。スポーツは、真剣に戦えば戦うほど、真剣に応援すればするほど、皆さんの喜怒哀楽を思いっきり増幅させることが出来ます。そしてそうしたアスリートが、皆さんの身近な存在であるとわかれば尚更です。その原点こそ、私達の業種がこの難局を耐え抜いていく羅針盤になると私は考えています。

 そのことをよくよく踏まえながら、以下のことに努め、具現化していきたいと思います。それは選手だけに言っていることではありません。フロント職員も同じです。私はこれらのことがキチンと出来ているかどうかが存続の鍵だと思っています。これらのことが、今更ながらですが、ファン、ブースター、スポンサー、株主、スクール生とその親御さん達、ホームタウン全ての人達、私達に関わる全ての人達に対して、事業で営業で広報でアカデミーでチームで本当に出来ているのか…それが目に見える形で出来ていれば、皆さんからの支持に繋がり、「このクラブをなくしちゃダメだ」と思って戴けると信じています。この羅針盤を信じて、既に行なっている活動も含め、今後ともブレずに具体的方策出しと迅速な実行を行なって参ります。

「勝負(課題)は絶対勝つ(やり切る)」
「必死の形相で戦う(取り組む)」
「(失敗しても)負けても下を向かない」
「ミスを恐れない」
「相手が満足するまで何度でもトライする」
「目の前の相手をリスペクトする」
「いつも相手に寄り添う」
「自分から相手に歩み寄る」
「相手の勉強をし、理解に努める」
「相手の苦しみや悲しみを一緒に背負う」
「発信は頻繁に丁寧に心を込めて」
「血を通わせながらデジタルを活用する」
「感謝/誠意/情熱/思いやりを持ち続ける」
「何時も思いっきりの笑顔を」

 そして、こういう時期になると必ず不特定多数の方々から募金等の浄財を募る方法が活用されます。夫々のクラブが未曾有の危機を迎える現在の状況では、大変心強いサービスと思料しますが、ベルテックス静岡は現在一年目のチームです。先ずは前述したスタンスで取り組み、その努力やサービスをご評価戴けたという信頼関係を築けるまでは、真摯に自立経営と向き合って参りたいと考えます。

 最後に、このコロナクライシスをもう一度皆さんに選ばれるクラブとしてブラッシュアップする千載一遇のチャンスと捉えています。そして、皆さんの喜怒哀楽の増幅剤となるスポーツの灯を、ここ静岡で絶対に消してはいけない。皆さんから豊かな感情のほとばしる源となるスポーツの灯を決して絶やしてはいけない。そんな思いで長い長い戦いを企業として踏ん張り抜いて参ります。いつの日か、また皆さんと肩を組んでの再会が叶う日まで、今は皆さんと心の中で、時には声を出して、渾身の力で叫び続けて行きましょう。
『We will be back ❗️』

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