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 日頃よりベルテックス静岡を応援戴き、厚く御礼申し上げます。新型コロナウイルスの猛威による緊急事態宣言は、更に1ヶ月延長されました。長引く外出自粛、休業やダウンサイジング等で、経済活動が停滞し、国民一人一人の心身が疲弊しかねない状況が続いております。また、医療に従事されている方々や、生活物流、小売業等、私達の生活に必要不可欠な事業を営んでいる方々におかれましても、同じく心身にかかる大きなご負担を思うと、胸の張り裂ける思いであります。夫々の方々が持ち場立場で、コロナブロックのために今出来る最善を尽くしつつ、ご自愛専一に過ごされることを願って止みません。

 皆さん、「逆境力」という言葉、聞いたことありませんか。もうダメだ、という状況から盛り返す力のことですね。たやすく身につくものではありませんが、身につかないわけでもありません。この力を爆発させるには幾つかの要因が介在します。以下はスポーツ事業に絡めてお話し致しますが、あながちスポーツだけに限ったことでもありませんので、ご笑覧下さい。

 一つ目の要因は勿論「逆境の存在」です。不要不急業種としてのスポーツ事業は、今まさにその状況にあります。加えて、これでもかと言わんばかりに、先日Bリーグより「来季のB2昇格はなし」との通達が出されました。本件、リーグの在り方として思うところは多々ありますが、それは本日の幹ではありませんので割愛するとして、ただでさえ練習環境に制約を受け、現場を支える収益の見通しが必ずしも明るいものではなく、そこに追い打ちをかけるように昇格なしとは…では一体何のためにプロ事業を営んでいるのか、と途方に暮れてもおかしくない状況は、まさに逆境以外の何ものでもないというのが、今のVELTEXではないかと考えます。

 2つ目の要因は「はっきりとした会社ビジョンの存在」です。私達は何のために戦うのかという目的。昇格のため?昇格すれば嬉しいでしょうし、上のカテゴリーでまたレベルの高い戦いを皆さんにお見せ出来ることは誇らしくもありますが、それはあくまでも手段です。本当に私達が求めているのは「皆さんの笑顔」です。昇格は出来ませんが、目の前の試合に集中して、必死な形相で勝ちをもぎ取りにいく。その連続でシーズンを戦い、結果優勝を果たす。これなら昇格なき優勝でも、皆さんが歓喜に湧く回数は変わらないはずです。私達はそこを徹底して拘ります。皆さんにワクワクして戴き、そして勝利の喜びで豊かな時間を共有すること、それが会社のビジョンですから。

 この2つが揃わなければ、逆境で力は出せませんし、この2つの総和の大きさ強さが逆境力の強さを左右致します。私はサッカー業界から来た男ですので、サッカーでしか例えが出来ない事をご容赦戴けるのであれば、2009年にJ1昇格後、2011年3月11日の東日本大震災に遭い、壊滅的な打撃を受けながらも同年4位、そして翌年2位と大健闘をしたベガルタ仙台を思い出さずにはいられません。当時、サッカーどころではない土地で、満足な練習も出来ない中、「被災された方々に少しでも喜んでもらいたい」の一念で戦い抜いた彼らの凄まじさは、J1他クラブの誰もが感じたはずです。財力では到底太刀打ち出来ない彼らが、一桁順位を記録したのは、後にも先にもあの2年間だけでした。まさに逆境力の極みを見る思いでした。また、J2町田ゼルビアの2018年は、最終節迄優勝争いをし、2位と同勝点の4位と過去最高成績で終えています。しかも、その年の9月にJ1クラブライセンスが降りない裁定が下った後も、ギアを一段と上げ、「昇格なき優勝」を目指した姿は、クラブの垣根を飛び越え、そしてメディアさんも含め誰もが清々しく戦う町田の健闘にエールを送ったものでした。

 ならば、今のVELTEXも勝利のみに拘り、この暗澹たる状況の中で、皆さんに満面の笑顔を取り戻してもらうこと、それこそがスポーツ事業の本懐と腹を括っております。そしてこの逆境力、2年というスパンで見れば、VELTEXの飛躍に直結する大いなる可能性を秘めているものと考えております。

 来季、昇格のないB3他クラブは、クラブ存続を第一義に置いて堅実な規模、もっと言えば減量経営に舵を切るかもしれません。その方が確実ですから。しかしながら一度停滞した財力を元に戻したりかち上げていくのは、並大抵のことではありません。いきなり強いチームを作ることは財力の裏付けなしでは出来ず、それを一年でも緩めれば、待っているのは主力の放出や不満足な補強ですから。VELTEXは、そこを踏ん張って右肩を上げて乗り切る腹を固めました。この状況では大変なことだと思いますが、B2に手が届くところまで会社のサイズを大きくしてきたからには減量には走りません。そのために、「地元を守る意識」の強い静岡の法人の皆さん全部とは言いません、静岡に満面の笑顔を取り戻そうとしている私達のことを、精一杯の誠意でご説明し、少しでもご支援を戴く努力をして参ります。個人の皆さんにも、共に戦う選手達が誰一人欠けることなく、ベストな布陣で臨めるよう、少しずつでもご協力を戴くためにチケットをお買い求め戴き、魅力的な商品開発でグッズのご購入を戴ければの思いでおります。そして、首尾よく来季を乗り切った折には、同一リーグでの地力差はついているはずでしょうし翌々季の浮揚に力強く繋がっていくことでしょう。

 そして、結果的には、2年越しのB2昇格…視座はそこに持っていきましょう。そのために、今から事業計画を練り、方策のブレークダウンをし、来る外回り解禁に向けて、その準備に磨きをかけて参ります。何度も何度も申し上げて恐縮ですが、皆さんとこの難局を乗り切るのではなく、この難局をチャンスと捉え、一回りも二回りも逞しくなりましょう。チームもフロントも、皆さんも、オール静岡で長い夜を明けさせましょう!

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