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魔術師はありふれた魔法で呪文書を編む

こんにちは、ひやまです。

マジックザギャザリングというカードゲームを趣味で、中学生の頃から遊んでいます。1993年から販売開始したトレーディングカードゲームなのでゲームそのものの歴史は実に31年、しかし売り続けるにはやはりカードパワーのインフレは避けて通れません。新発売するカードは前回のカードより強くしないと売れないからです。最近はその傾向がより顕著になり、一枚あたりのカードがより強く、より複雑に、そして発売頻度がより早くなっていったため、正直ついていけなくなりました。

マジックザギャザリングは好きなカードを組み合わせて山札を作れるので、よく「駒を入れ替えられる将棋」と例えられてきましたが、それで言うとこんな感じです。

昔:レアカード「歩」この駒が取られたとき、他の駒を一手進めてよい。

今:レアカード「歩」この駒が差されたとき、すでに取られた駒を一つ回収する。さらに相手の任意の駒をひとつ取ってもよい。またこの駒が取られたとき、この駒を取った相手の駒を一手前に戻し、相手が駒を一つ生贄に捧げない限り相手の王将を破壊する。それは再生できない。この駒が相手の駒を一つ取るたび、取った駒をコピーし、自分の駒として盤面においても良い。

まあたとえが無茶苦茶なんですが、昔は「限られた状況でのみ能力を発揮するカードをどう組み合わせて有利を取っていくか考えるゲーム」だったのが、今は「一枚にいくつもの能力があり、放置しておくと勝ってしまうので相手は優先的にそれを除去しなければいけないゲーム」になってしまい、だったらこっちだって同じくらい強いか同じカードを入れて対抗するので、お互いに強いレアカードを叩きつけ合ってよくわからないけど必要以上に複雑なゲームになってしまっています。いいんですよ、インフレとか販売頻度とかは。商売なので売れてくれないとシリーズが続いていかないし。ただ、一枚当たりのカードが担う役割が限られた中でいかに戦局を打破するか考えるのが好きだったので、一枚に複数の役割があっておたがいにどの順で使うか考える複雑すぎるゲームになってしまった今は、何か違うかなあと違和感を感じるようになり、公式大会に出る頻度も少ないし価値あるレアカードは売ってしまいました。

ただマジックザギャザリングは好きなのです、ではどうするのか。
こうするのです。

「ありふれたカードだけでデッキを組む」


カードにはレアリティがあり、拡張パック(15枚入り)を開封した際にパックから出てくる可能性が変わります。
コモン:よく出る(10枚くらい入ってる)
アンコモン:まあまあ出る(3,4枚くらい入っている)
レア:出づらい(1枚しか入っていない)
やはり強くて複雑なカードはレアカードとして印刷される原則は今も昔も変わらないので、そこまでではないがちょっと強いカードはアンコモン、弱いとか単純なカードはコモンとして収録されます。

そこで、「コモンのカードだけでデッキを組んだら良いのでは?」と誰かが考え(えらい!)、コモン構築フォーマット『pauper』が誕生しました。
単純なカード、複雑すぎないカード、使い道が限られたカード。それらを駆使して有利を取りに行くゲームってこれ、私が好きだった古き良きマジックザギャザリングじゃないか(この表現は好きではないが残念ながらこの言葉が一番当てはまってしまう、もう歳ですなガハハ)!ということで、最近はそれで遊んでいます。

マジックザギャザリングの好きなところがもう一つあって、それは設定として「プレイヤーは魔術師で、カードは魔法」というものがあります。ということは好きな魔法を集めて呪文書(デッキ)を作るということか。ならば私は、ありふれた魔法(コモンカード)だけを集めて独創的で楽しい呪文書を作るぞ!
もう公式大会とかに出るつもりはないので、遊ぶのは仲間内だけ。なら勝ち負けにはそこそここだわりつつも、自分が楽しいと思うやり方で続けていこう。そう思ってから、この趣味に使う出費がだいぶ減って精神的にも楽になりました。レアカードが使えない分派手さは無いがいいもんですよ。
みんなも趣味とのよい距離感を保って長く楽しく続けていこうぜ!(いい感じのまとめ)

おまけ

この記事は一般の人向けに書いたのですが、もしマジックザギャザリングプレイヤーの人が読んでくれてたらあまりにも内容が無い話だったと思うので、自分が作ったpauperのデッキを載せておきます。

忍者デッキを作りたかったのですが、忍術によって戻す意味を何か作りたい。そう思った時、《マラキールの血僧侶》を使いまわすデッキを思い付きました。一見バラバラなクリーチャー編成に見えて、実は忍者以外は「戦士」「ウィザード」「ならずもの」と血僧侶のパーティー要素を満たす構成になりつつも、忍術のために攻撃を通す能力を持ち合わせています。線は細く打撃力も低いデッキですが、《蒸気の絡みつき》や《大牙勢団の襲撃》《不快な泉》などの搦め手の蓄積によっていつの間にか相手のライフを削っていきます。また、「一枚が複数の役割を果たすゲームが複雑すぎる」と先ほど書いたばかりですが、効果を選べる《君は近づいてくる護衛兵に気づいた》や出来事で二通りの使い方があり忍術で戻しても嬉しい《氷の女王》、黒マナからでもサイクリングでドローに置換できる《驚くべき発育》など、相手を翻弄する忍法のごとく状況によって対応できるカードを多く入れています。思ったより前のめりなので最終手段の《対抗呪文》はここぞというときにだけ使う3枚しかありません。あらゆる手で相手クリーチャーを欺き、除去をずらし、忍殺してください。サツバツ!!!!!!

弱点は相手の回復(《嵐の乗り切り》など)により対戦が長引いた場合か、全体ダメージです。やっぱりダメか、ガハハ!
サイドボードはすごく適当なので、遊ぶお相手によって適宜調整してください。
ファンデッキですが、重ねて重ねて勝ちに至る爽快感はあるので楽しいと思います。あとデッキ名は「搦め手ぃ(カラミティ)忍者」か「パリピ忍者(パーティの意味合いが違うが??)」かで迷ったのですが、パリピ要素を重視してかの名曲「にんじゃりばんばん」とさせていただきました。アディオス!

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