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日本人がお米を食べても太りにくい理由。民族や地域によって体質は異なる|食の大切さと身体への影響 #7

前回は、生活リズムや食事環境が健康に与える影響についてお伝えしました。

今回は、日本と他の国々の食文化の違いや、日本人の体質について解説します。

※本記事は、ベジタブルテック(株) 代表取締役 岩崎の動画のリライトです。栄養学について解説しています。動画はこちら


体質は環境や民族によって異なる

民族によって体質には違いがあります。例えば、インスリンの分泌量や働きは、アジア人とアフリカ人・白人で大きく異なります。

インスリンは、糖質を摂取した際に分泌され、筋肉に糖質を取り込むホルモンです。インスリンの効きがよいほど、筋肉にどんどん糖質が入ります。

アフリカ人は糖質で太りやすい

アフリカ人はインスリンの効きが弱いため、糖質を摂取すると、より多くのインスリンが必要です。それが脂肪合成につながりやすいため、糖質を摂ると太りやすい特徴があります。

日本人は糖質が筋肉に使われやすい

一方、アジア人、特に日本人は、少量のインスリンで多くの糖が筋肉に取り込まれる傾向があり、糖質を摂っても脂肪として蓄積しにくい体質です。

欧米人は、アフリカ人とアジア人の中間で、糖質が筋肉よりも脂肪に取り込まれやすい傾向があります。


このように、糖質の摂取後にどれだけ太りやすいか、筋肉にどれだけ取り込まれやすいかは、民族によって異なります。日本人は歴史的に糖質を多く摂取し、動物性脂肪をあまりとらない食習慣があったので、糖質が筋肉に取り込まれ、エネルギーとして使われやすいことが研究から分かってきました。

食文化の違いが体質に与える影響

食文化は地域や環境によって異なり、その違いが三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)の摂取源や体質にも影響を与えます。どちらが良い悪いということではなく、環境によって食べるものや体質が変わるのです。

では、日本と他の国々では、食文化や身体への影響はどう違うのでしょうか?日本・アメリカ・オーストラリアで比較してみましょう。

日本人は脂質の摂取量が少ない

三大栄養素の摂取量を比較すると、日本・アメリカ・オーストラリアで、エネルギーと糖質・タンパク質の平均に大きな差はありません。

しかし、脂質の摂取量は、アメリカとオーストラリアが多いことが分かりました。日本は61g、アメリカは88gで日本の1.4倍、オーストラリアは91gで日本の1.5倍です。

量だけを見ると、脂質に大きな違いが出ています。

エネルギー比率の違い

次にカロリーの内訳を見てみましょう。
「糖質からどれくらいエネルギーを補給しているか」を表す糖質エネルギー比率は、日本は56%、アメリカは46%、オーストラリアは43%です。

アメリカ、オーストラリアは、日本よりも糖質エネルギー比率が少なくなっています。つまり、アメリカ・オーストラリアは低糖質食を摂っていることが分かります。

一方、脂質エネルギー比率は、日本は28%、アメリカは36%、オーストラリアは39%なので、アメリカとオーストラリアは日本よりも高脂肪食を摂っています。タンパク質のエネルギー比率には大きな差はありません。

肥満の多い国は低糖質・高脂肪食

日本に比べて肥満の多いアメリカ・オーストラリアでは、低糖質・高脂肪の食文化であることが分かります。
つまり、肥満の多い国は、低糖質・高脂肪食になっているのです。

次回は、日本の食文化の変化について解説します。お楽しみに。

P.S.民族によって体質は異なるので、海外ではやっている健康法がそのまま日本人にも合うとは限りません。このような科学的な栄養学を知りたい方は、初めての方でも基礎から栄養学を学べる「栄養コンシェルジュ」がおすすめです。
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