インタビュー実施時のポイント 〜インタビュアーの心構え〜

サービス改善のために行うデプスインタビューやグループインタビュー、ユーザビリティテストにおいて、
進行や質問をする役割を「インタビュアー」と呼びます。

インタビューの様子自体は対象者とただ会話をしているように見えるため、
「世間話スキルや雑談力があるからインタビューもできる」と思ってしまったり
逆に「会話するだけで本当にいいの?!何を気をつければよいの?!」と気をつけどころが分からず必要以上に不安になってしまうという相談をよく受けます。


そんな方に対してインタビュアーをするときのポイントをまとめました!
このnoteでは調査デザインや質問設計、実査後の分析等については述べず、実査時のインタビュアーとしてのポイントのみを記載できればと思います。

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意識すべきことは2つだけ!

細かいテクニックや留意点は後ほど述べますが、そのほとんどは下記2つを達成するためのものです。
全てのテクニックを駆使するというよりは、下記2つの指針が守れているかを常に意識しておくことが重要です。

1:対象者の本心を引き出す
2:検証項目を明らかにする

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1:対象者の本心を引き出す

インタビューという慣れない形式の中、初対面の人にいろいろと話を聞かれるというイレギュラーな状況の中、100%の本心で会話をしてくれる人はかなり少ないです。
できるだけ100%の本心に近づけるために下記のことに気をつけましょう。

1−1:安心安全な場を提供し、リラックスしてもらう

緊張や不安を感じる環境では、本音を話せないのは言わずもがなです。
ネガティブな感情を取り除き、精神的に安心安全な環境を整えましょう。

・自己紹介する
相手の事を何も知らないまま、自分の話をさらけ出すのはなかなかに難しいです。インタビュアーも自身について自己紹介しましょう。
紹介内容はさして重要ではなく、「インタビュアー側から自分の情報を開示してくれた」と感じてもらうことが大切です。

・趣旨説明をする
自分がやらされている事の目的が不明だと人は不安になることが多いです(特に大人)。
この場の目的を対象者に説明しましょう。細かく説明する必要はありません。むしろ細かい説明が誘導につながってしまうこともあります。
「私共は△△をサポートするサービスを作っています。今日は○○さん自身の△△についての体験をお伺いすることでサービス改善に活用できればと思っております。」程度でOKです。

・情報管理についての説明をする
インタビューでは踏み込んだ個人的な事情をお伺いすることもあります。
その際に不安を感じられることがないように、この場で得た情報の管理の仕方について説明します。
基本的には下記2点を説明しましょう。
「個人が特定できる形で情報は保存されるのか」
「情報の公開範囲はどこまでなのか」

特に顔写真や動画については気にされる方が多いので、「発言はメモにとっていますが映像は記録に残していません」など補足すると安心感が増します。

情報管理については各所属組織の方針に則り進めていただくのがよいとおもいます。私も所属会社でリサーチするときは、基本的に会社方針に従い適切に扱っています。

・アイスブレイクをする
上記の一通りの説明が終わっても対象者に緊張が見られた場合は、
アイスブレイクとして世間話をしてあげましょう。
個人情報と無関係で、考えなくても即返答できる内容が良いです。
おすすめなのは、「会場まで道わかりました〜?」「最近急に寒いですよね〜」「もうお昼ごはん食べられたんですか〜?」あたりです!

1−2:誘導しない

特定の方向へ対象者の回答を誘導しないことも、重要です。
無意識に誘導してしまっていることも多々あるので、常に「こう問いかけると誘導にならないか?」考えつつインタビューをしましょう。

・オープンクエスチョンで問う
はい/いいえで回答できるクローズドクエスチョンではなく、
5W1H(だれが、いつ、どこで、なにを、なぜ、どうやって)を問うようなオープンクエスチョンをしましょう。

・否定しない/訂正しない
対象者の意見を否定したり、間違いを訂正したりしないようにしましょう。
本心を聞くことが目的であり、意見の正しさを問うことは目的ではありません。
また、間違った認識をしている事自体も重要な情報なりうるので、進行に問題がなければ訂正せずに続けましょう。

・共感しすぎない
否定せず共感することで本心を徐々に開いてくれますが、インタビュアーが共感を示しすぎてしまう事もよくありません。
本心を話すことよりも、共感してもらえそうな事を話してしまう方向に対象者を誘導してしまうからです。

・不用意に情報を与えない
何を知っていて/何を知らないのかを把握することもインタビューの重要な目的です。
もともと対象者が知らなかった情報を不用意に与えてしまうと、その後のインタビュー結果に影響がでることもあります。
自社サービスの使い方や不明点を問われても「う〜ん、どうなんでしょうね〜」「どうだと思いますか〜?」とふんわり切り返しましょう!

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2:検証項目を明らかにする

サービス改善におけるインタビューの目的は会話を弾ませることでも、対象者の半生を聞くことでもありません。
調査デザイン時に設定した検証項目を明らかにすることです。
「現時点で検証項目はどこまで明らかになっているか、不明な箇所はどこか」をインタビュー時は常に意識しておくと無駄な質問が少なくて済みます。

・検証項目を言語化しておく
そもそも何を検証するためのインタビューなのかを言語化しておきましょう。(これはインタビュー前までに終わらせておくべきタスクですが、重要なので記載)
検証項目が不明確だと、対象者に何の話を聞くのかの判断ができず「なんとなくユーザーの考えている事は分かった気がするが、ネクストアクションにつながらない!」という事態が発生します。

・検証に関係ない内容は切る
たくさん話してくれる対象者の方だと、検証項目とは関係のない方向へ話が弾んでしまうことがあります。
検証項目と無関係な話は1-2分聞いてみて終わらなさそうであれば、勇気をもって切りましょう。
話が終わるまで〜、キリがいいところまで〜と思ってるうちに10分経過します!(経験談)
「お話してくださっているところすみません!〇〇についてもお伺いしたいのですが〜〜〜」と話を進めましょう。
話が終わってなくても、キリがよくなくても、勇気をもって切る!
インタビュアーの役割は対象者に気持ちよく話してもらうことではなく、調査をスムーズに進行し検証項目を明らかにすることです。

・本人主語で話してもらう
対象者が思っていることや体験したことの中でも「本人の考えや体験」をお伺いするのが重要です。
友人は〜〜〜、一般的には〜〜〜、のように主語が本人以外の話は深堀れないのであまり発見がありません。
主語が他人の話になったら「ご自身はどう思いますか〜」と問いかけましょう。
インタビュー冒頭に「一般論ではなく○○さんご自身の話を聞かせてくださいね」と説明しておくことも効果的だと思います。

・行動や事実に基づいて話してもらう
以前の体験を振り返ってお話を伺う場合、時間の経過と共に記憶が曖昧になっていることが多々あります。
思い出せる情報同士の論理性を繋ぐために、「たぶんこうだったはず〜」の曖昧な情報を脳は作り出そうとします。
そのため行動や事実に基づいた問いかけが重要です。
当時の行動を事前にお伺いしておいたり、事前にサービスを触ってもらっているところを観察するなどしておき、
「その行動をしたのはなぜか」「今の話とあの時の行動はどう関係しているのか」など行動をベースとして問いかけをするように心がけましょう。


以上、細かい注意点をたくさん書きましたが意識すべき方針はたった2つ!

1:対象者の本心を引き出す
2:検証項目を明らかにする

この2つを満たす問いかけや進行がでいているかを意識すれば基本的には問題ありません!

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