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2024JFL 第4節 沖縄SV戦マッチレポート

ラピスタでのホームゲームは今季2試合目、相手は3試合を終えて2勝1分と負け無し、2位と好調の沖縄SV。我らがヴィアティン三重は二連勝で4位につける。

開始早々の37秒、㊶梁の50m超え超ロングシュートで幕を開けたこの試合、10分には㉟寺尾のフリーキックからこぼれ球に反応した⑩田村が押し込んで追加点を決め幸先良いスタート。しかし23分に1点返されて後半へ。さらに58分にも追加点を許し同点に。後半は相手に終始ボールを保持され苦しい展開が続いていたが、自陣で⑯稲福がボールを奪い㉙加倉→田村と繋いで82分に勝ち越しゴールを決める。そのまま逃げ切りたかったがわずか3分後に追いつかれて再び同点。互いに最後まで追加点を狙って攻め続けたがそのまま試合終了。良い時間、苦しい時間、そこから打開した強さ、最後に追いつかれた弱さとさまざまな要素が詰まっていて、お互いに質の高いフットボールを見せた見ごたえある試合だった。悔しさが残ることは間違いないが、圧倒的な攻撃力を誇る沖縄を相手に引き分けたその内容にはポジティブな部分も多く「収穫あるドロー」だったと言える。貴重な勝点1を手にして次節アウェイでのFCマルヤス岡崎戦に臨む。

ホームゲーム恒例・オレンジの円陣!

第4節・スターティングメンバー

GK:①森
DF:㉔池田・②谷奥・㉚篠原・③伊従・⑲児玉
MF:⑯稲福・⑦森主
FW:㊶梁・⑩田村・㉟寺尾
SUB:⑫折口・⑰野垣内・④饗庭・⑬安西・⑤菅野・⑪木戸・㉙加倉

スコア

ヴィアティン三重 3-3 沖縄SV
前半:2-1 後半:1-2

《得点者》
1分:梁 賢柱 (V三重)
10分:田村 翔太(V三重)
23分:青戸 翔(沖縄)
58分:有田 朱里(沖縄)
82分:田村 翔太(V三重)
85分:儀保 幸英(沖縄)

開始37秒、梁の衝撃ゴールでスタート

3月最後の日曜日、気温が20℃を超えやっと2024年の春がやってきた。桜の蕾がピンク色に色づき、薄曇りではあるもののサッカー観戦日和のLA・PITA東員スタジアム。開幕戦の大敗から立て直し、クリアソン新宿、ブリオベッカ浦安に勝利し調子を上げるヴィアティン三重。対する沖縄SVも2勝1分で負けなしの2位、開幕して間もない4節とはいえリーグ序盤の重要な一戦。

東からの弱い風が吹く中、ヴィアティン三重ボールでキックオフ。試合開始早々、ピッチ中央付近、バックスタンド側タッチラインから沖縄のスローイン。ルーズになったセカンドボールを回収したのは開幕から4試合連続でスタメンに入っているFW梁。センターラインよりやや手前、自陣でボールをキープ、顔を上げて相手ゴール方向へ視線をやる。相手選手を一人かわしつつ左脚に持ち替えた梁、力強く振り抜く。

㊶梁の開始37秒50m超先制シュート

大きく弧を描いて空高く上がったボールを目で追う梁、チームメイト、観客、カメラマン、実況の藤牧CC。そのボールは前に出ていた相手GKの頭上を超え、ゴールラインを越えたところでバウンドしてゴールに突き刺さった。天晴。ただの偶然ではない、事前のスカウティングでGKが前に出るという情報が頭に入っていたであろう梁がGKの位置を見て狙い、ど真ん中に突き刺した。なんとも天晴(二度目)。

50m越えの超ロングシュートに叫ぶ藤牧CC、雄叫びをあげながらベンチに駆け寄る梁、衝撃的なゴールに会場のボルテージが一気に高まった。

驚くチームメイトから手荒い祝福


10分、寺尾のFK・こぼれ球に田村が詰めて追加点

開始早々に先制したヴィアティン三重、得点したあとも積極的に前からのプレッシャーをかけボールを奪いに行く。前線の3人とボランチの2人が上手く連動し、両SBも高い位置を取って囲いこむ。奪ったところから素速く攻撃に転じ、相手のゴールに向かう。7分、梁が前から戻りながらプレッシャーを掛けたところに池田と森主が寄せてボールを引っ掛ける。こぼれたところに伊従が出て二列目中央にいる寺尾に出す。受けてターンした寺尾を相手選手が倒してフリーキック獲得。ゴールまでは30m超、やや遠い位置。

ボールを置いた梁、その横に寺尾。梁がまたいで寺尾が蹴る。直接狙うには遠いかと思われたが直接ゴールを狙った鋭いボールにGKが反応するがややブレていたのかキャッチはできない。前にこぼしたところへ田村が走り込んでシュート。開始10分、開幕から4試合目にしてエース田村に待望の今季初ゴールが生まれた。試合後インタビューで語った通り、寺尾がブレ球を蹴ることを予測し、相手GKのファンブルを狙って詰めた結果のゴール。ヴィアティン三重が2点リード。

待望のタムショー
今季初ゴール


23分、チャンスの後に速い攻撃を受け失点

2点リードのヴィアティン三重、その後も集中した守備で相手を自由にやらせない。前線・中盤がハードワークしてプレスを掛け続ける。19分、自陣で稲福がボールを奪い田村を経由して寺尾に預ける。顔を上げたタイミングで左サイドの広いスペースへボールを出す。駆け上がる児玉がタメを作って寺尾の上がりを待つ。ボックス内に入った寺尾、駆け引きをしながら相手選手を一人かわしたところで左脚を降る。コースは良かったが相手GKがファインセーブ、追加点とはならず。

その直後、相手左サイドから細かく繋いでヴィアティン三重陣内に持ち込んだ沖縄、中央で㉒池髙が受けて逆サイドへ展開。ワンタッチパスを繋いで一気にヴィアティン三重ゴール前へ持ち込む。相手右サイドの深いところまで持ち込まれ低く速いクロスが入る。DFラインの人数は揃っていたが流れるような攻撃に反応できずヒールであわせられて失点。あっという間の出来事だった。

その直後には相手の最終ラインから一気に前線へのロングボールが入りゴールに迫られる。シュートにはGKモリケンが反応しピンチを凌ぐ。1点を返したことで勢いづく沖縄、勝負どころと見たのか明らかにギアを上げて畳み掛ける。それと同時にヴィアティン三重のプレッシャーはうまくかわされ、長短のパスを使い分けられ相手がボールを保持する時間を迎える。何度もゴール前に迫られシュートを放たれるがなんとか凌ぐ。前半終了間際に一度攻め込む場面はあったが沖縄ペースで前半を終えた。

58分、再び失点し同点に

ハーフタイム、先制点を決めた梁に代わって加倉が入る。加倉の運動量としつこいチェイシングで相手に傾いた流れを変えたいところ。しかし後半に入っても相手がボールを握る展開が続く。またボールを奪って攻撃に転じる場面はあるものの、早い段階でボールを奪い返されまた守備に回る時間を迎える。

57分、ヴィアティン三重陣内でボールを奪ったが再び奪い返されて沖縄のカウンター攻撃。急いで戻った寺尾が相手選手を倒しペナルティエリアの外ギリギリのところでフリーキックを与えてしまう。相手のFKは壁に当たって跳ね返ったがセカンドボールを相手右サイドから運ばれる。篠原が寄せて対応するが、深いところで突破されえぐられて低いクロス。ゴール前では両チームの選手が密集する混戦。しかしこぼれたところを押し込まれて沖縄が追加点、試合は振り出しに戻る。

82分、加倉のアシストから田村の勝ち越し弾

同点に追いついてさらに勢いを増す沖縄SV。攻撃ではコンパクトな距離感から素速く繋いでボールを運び、守備ではボールホルダーにしっかりと人数を掛けて奪い取る。流れを変えたいヴィアティン三重、62分に森主→安西・児玉→饗庭の二枚替え。引き続き沖縄がボールを握ったまま試合が進む。

ヴィアティン三重はボールを奪ったところから相手の背後を狙った長めのボールを入れてチャンスを狙うが相手の守備が固く簡単にはゴールに近づけない。そんな中、自陣で相手ボールを奪った安西から田村に預け田村がドリブルで一気にトップスピードに乗る。相手DF一人をかわしボックスに入ったところで相手DFが横から引っ掛けて倒れる田村。しかしここはノーファール…。ピッチに倒れ天を仰ぐ田村翔太。

78分、寺尾に代わって今季初めてメンバー入りを果たした菅野が入る。簡単にはやらせてくれない沖縄、その後もボールを保持してヴィアティン三重ゴールに迫る。しかし諦めずにチャンスを伺うヴィアティン三重の選手たち。80分、自陣のペナルティエリア付近まで攻め込まれたところで稲福が対人の強さを見せてボールを奪う。奪ったところからカウンター発動、力強く前に運びそれに呼応するように左の加倉、中央の田村がトップスピードで走り出す。

ボール奪取から度々チャンスを演出した⑯稲福

相手選手二人を引き付けた稲福、左の加倉にはたく。走りながらそれを受けた加倉はワンタッチで中央の田村が走る前方のスペースへスルーパス。フリーで受けた田村がドリブルでボックスの中まで運びそこへ相手GKが飛び込む。それを華麗にかわした田村、トップスピードのまま右に流れながら難しい体勢、そこから右脚を振る。鋭いシュートはカバーに入ろうとした二人の選手が追いつく間もなくゴールに突き刺さった。苦しい展開のなか訪れたわずかなチャンスをものにするエースらしい働きで勝ち越しゴール。


85分、縦に一気に繋がれて失点

残り時間はアディショナルタイムをあわせて10分程度、まだまだ気を抜くわけにはいかない。83分、沖縄はMFを二人下げてFW登録の⑨儀保・㉝小田垣を投入。84分、相手のシュートをキャッチしたGKモリケン、時間を使いながらディフェンスラインを上げさせる。そしてモリケンのパントキック。セカンドボールを回収した沖縄、相手左サイドから縦パスを繋いで一気にDFの裏を狙ったボールを入れる。ヴィアティン三重のDFライン3人は揃っていたが一歩早く抜け出した沖縄SV⑨儀保が胸トラップで篠原をかわしそのままボレーシュート、再び同点に。攻撃の枚数を増やした沖縄の狙いがハマる。

89分、稲福に代えて野垣内が入る。アディショナルタイムは4分、互いに最後のチカラを振り絞って追加点を狙う。意地と意地がぶつかり合う。最後も二度三度とゴール前に迫られる場面を迎えるが全員で身体を張って跳ね返す。そして5分が経過し試合終了。死力を尽くしたヴィアティン三重の選手たち。ピッチに膝を落とし両手をつく谷奥。2得点をあげるも勝利に繋がらなかった田村、悔しさを噛み殺す。ピッチ上には勝ち切りたかった思いと強力な攻撃に押し込まれた悔しさが混ざりあったような空気が感じられた。

文字通りの激闘、全てを出し切り崩れ落ちる②谷奥


どれだけ強い相手でも、超えてゆけ。

サポーター席への挨拶を終えた指揮官は複雑な表情をしているように見えた。いや、複雑というより試合の中で突きつけられた様々な課題を受け止め、頭の中を整理していたという感じだろうか。いずれしても良い部分も多くあり、良くなかった部分も露呈した試合だった。そして「相手が我々のプレッシャーを超越してきた」と試合後のインタビューで間瀬監督が語ったように、沖縄SVは強かった。昨シーズンは最下位で入替え戦を戦ったチームは今季15名の新加入選手を迎えて全く別のチームになっていた。攻撃力、守備力、試合の中での対応力、どれをとっても素晴らしかった。

しかしその相手に対し先制し、追加点を奪い、追いつかれたところから勝ち越すことができたのは間違いなくポジティブな部分、進化した部分である。また、われわれヴィアティン三重も多くの新戦力を獲得し、新しい指揮官・スタッフを迎えたことで、終わった試合で出た《課題の解決力》、次の試合に対する《分析力》がアップしている。それはここまでの4試合を振り返るだけでも明確だ。更には、今シーズンはここまでの4試合で全30名の選手のうち22名がピッチに立っている。30試合ある長いリーグ戦を勝ち抜くには選手層の厚さが絶対条件になる。ここからの試合でも誰がポジション争いを勝ち抜いてピッチに立つのか、その闘いにも大いに期待したい。

今シーズンのJFLはライバルチームたちも戦力を高め、勢力図も変化しつつある。しかしどれだけ相手にボールを握られても、どんなに強い相手が立ちはだかろうとも、優勝への逆算からそれらを超越し勝ち進んで行こう。僕らの選手たちと共に《協闘》を続けよう。

熱狂の後、死力を尽くした選手たちにエールを贈る子どもたち

第4節 公式記録


試合後コメント・フォトギャラリーはこちらから

試合後コメント
・間瀬 秀一監督
・田村 翔太選手
・加倉 広海選手
・森主 麗司選手

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