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ネットリンチ~DJ社長セクハラ騒動やくつざわ氏活動休止等にみるネット社会の不寛容さ~

レペゼン地球DJ社長のパワハラ騒動のざっくり概要

活動休止していたDJ集団レペゼン地球が驚くべき行動を起こして復帰した。

レペゼン地球のDJ社長が事務所の後輩ジャスミンにパワハラをしたとしてメディア等の注目を集め謝罪した。しかし後日パワハラ騒動は台本であり、世の中全体を巻き込んだ炎上商法(後輩や新曲のプロモーション)だったことを明らかにした。そしてその勢いでネタばらしを兼ねたミュージックビデオをも公開するという破天荒さだった。

そのスケールの大きなショーにレペゼン地球のファンたちは湧いたのだが、その手法に批判の声も相次ぎ、炎上となる。

・パワハラセクハラといったデリケートな問題をネタにするとは何事か

・ほんとに苦しんでる人がこれから声をあげづらくなる

・苦しんでる人への配慮が欠けている

・善意で心配した人を騙した

などなど
中にはパワハラ・セクハラを助長している!というツイートまで…
それに関しては いや、どこをどう捉えればそうなるのか という感じだが。

結果レペゼン地球はそのネタばらし兼ミュージックビデオの動画を削除した。

そしてその炎上は飛び火し、今回の復帰(炎上商法)を賞賛した人々までも批判された。
いろいろいるが、僕は1人くつざわ氏という女子大生をとりあげる。
くつざわ氏は男女間のあるあるとかをツイッターに動画で投稿していて、僕もたまに見てたのだがなかなか面白いしかわいらしい。笑
最近勢いのあったプチ有名人物だった。

その子もレペゼン地球の行動を賞賛したツイートをしたことを、配慮が欠けている~とかいろいろ追及され、
結局謝罪文を出して活動休止に追い込まれることとなった。(※現在進行中の仕事のみ片付けてから休止するとのこと)

レペゼン地球の炎上プロモーションを見たときの僕の感想

正直に、DJ社長すげえな!と思った。
一個人でありながらSNS上のファン達を驚かせるのみならず、メディアをも掌のうえで転がしてお金を使わず世間の注目を集めるとは…
まさに"個"の時代を象徴する存在でありながら、やることのスケールがでかい!
こういうビジネスをやるうえでの天才じゃないかw

例えるならONE PIECEのドレスローザ編で、ドフラミンゴがルフィ達数人をはめるためだけに、CP0を利用して全世界を欺いたあの感じ(ONE PIECE好きなのでちょいちょいこういう例出してしまう笑)を現実世界でやったような、すごい衝撃を受けたわけです。
こいつらすげぇ、、と。

平たく言えば、まさに批判されたくつざわ氏と同じような感想を率直に抱いたということ。

そんなに人を追い込み、反省させるべき事案なのか

問題はここから。
一気に注目を集めたはいいが、その手法への批判が上記のように相次いだ。

僕はネットを見てるとつくづく思うのだが

少しでも不快なことやグレーなことをするとみんなしてリンチのように叩く。
"正義"を口実に人を容赦なく追い詰める

これって正しいことなの?
そんな人たちの方が僕は末恐ろしく感じる。

ちょっとした行儀の悪いことくらいするくない?
きわどい冗談やドッキリとか、人生ふざけることくらいあるじゃない?
間違えることだってある。
叩いてる人は過ちを犯したことはないの?

それが本当に悪いことであればもちろん徹底的に批判していいと思う。
例えば刑事罰的な犯罪や飲酒運転による交通事故とか取り返しのつかないこと。
もう一線を越えちゃってる、それをしたらおしまいよ、ってやつ。
いわゆる重大な犯罪。こいうのはほんとに憎むべき
あとは故意に、明らかに人を傷つけることを主目的にした攻撃。名誉毀損とかね。

殺人、レイプ、窃盗、詐欺、本物のパワハラセクハラ、いじめ…等々明確に被害者がいる理不尽な事件…
そういうのは叩いても叩き足りないくらいだと思う。
(それほどの事さえ当事者の関係や事情、状況を理解し考慮してからだと思うけどね。元農水省事務次官の息子殺害事件みたいに、刑法上は100%悪いけど、批判するかどうかについては一概には言えない、というような場合もあるし)

話がそれた

言いたいのは、
今回の件って本当にそこまで怒るほどのことなの?
人を傷つけることを目的にした言動では決してなく、注目を集めるための手法の影響にすぎない。

だって批判理由を一つ一つ冷静に見ていくと、本当は
騙されたのが腹立ったから…
生理的に嫌いだから…
皆叩いてるし便乗しよ…
みたいな別の理由があるだけなのに、もっともらしい理由を後付けして叩きたいだけなやつが大半にみえてくる。
冷静に考えてそこまで叩くことじゃないとしたら、世間が人を叩く方向に傾いた時にその勢いにのっかり
冷静に自分の軸で物事を考えられず感情的になり、むきになって叩いている思考停止型の大部分の人たち
の方が、炎上プロモーションした人やその手腕をすごいと表明した人よりもよっぽど末恐ろしく感じる。

ではひとつひとつみていく。

①パワハラセクハラといったデリケートな問題をネタにしたことがおかしい

パワハラとかのデリケートな社会問題をエンターテイメントのネタにしたらだめっていうのなら
いじめを題材にした映画やテレビドラマとか、痴漢もののAVとか、世の中には物凄い数あるけど全部だめなはずじゃん
今回だけそこを厳しく指摘するのは、無理があるのでは?
その社会問題を助長したわけでもないし(ここ重要)

②パワハラに苦しんでる人たちがこれから告発しづらくなる

もっともらしく聞こえるけど、考えてみてよ。
ほんまにそうなる?
パワハラってそもそもネットに告発するもの?
まずパワハラに本気で悩む人はSNSでパワハラを受けてますって見知らぬ相手に告発するよりも、適切な窓口(家族でも労働団体でも弁護士でもなんでも)に相談するでしょう。
そこの窓口の人がこの一件以降、「レペゼン地球みたいに嘘でしたーとは言わんやろうな?」って言うようになると思う?ほんとにそう思う?
それこそ脳内お花畑でしょう。
SNSに告発する人に対しても、「どうせ嘘でしょ?」なんて言う人いるかな?
嘘だったとしたら虚偽のパワハラ告発という名誉毀損案件なんですが…


会社の社長が部下にパワハラしたって記事がでたら、「うわ!この会社レペゼンの真似かもしれねーぜ!?🤣」ってなる??エンターテイナーでもないふつうの企業が。上司と部下揃ってパワハラごっこをする?

本気で苦しんで告発を決意した人が、レペゼン地球の件があるから辞めておこうってなる?

●●があると■■がしづらくなるっていう短絡的な考えじゃなくて、もう少し現実的に思考を巡らせてよ。

③苦しんでる人への配慮が欠けている

ちなみに僕はパワハラを受けたことがある。会社にそういうどうしようもない上司はもちろんいる。
被害にあったときはとても憤ったし、そういうのを許せないという思いは強くある。
パワハラセクハラはダメ。そんなの当たり前である。
だけど、個人の体験とネット上でのショーは違うでしょ。
なぜ第三者がパワハラをネタに注目を集めたからって全然関係ない人にその影響がある?
中にはそのワードでセンシティブな気持ちになる人もいるかもしれない。

でもほんとにパワハラに悩んでる人こそ、
あ、なんだ。DJ社長はパワハラしてなかったのか、よかった。ジャスミンはパワハラ受けてなかったんだ。安心した。で終わるじゃん。
真にパワハラに苦しんだひとならそう思うのが自然じゃない?
僕は1パワハラ被害経験者としてそう思うのですが…
なんでそう思えないんだろ。

④善意で心配した人を騙した

実際に心配して声かけた人がそう思うのは、これはまだわかる。ただ、金銭的な損害が出たわけでもないのにまるで詐欺をしたかのように関係ない人まで叩くことは理解できない。
世間を巻き込んでおちょくったことがそもそもが悪い?
それなら少し前のZOZOTOWN前澤氏も同じじゃん。100億円(だっけ?)キャンペーンの時に、まるで確率論で当選するかのような印象のフリで多くの人のリツイートを稼いで注目し、その実選考基準が確率とは全く関係なかったんだから。
なんであのとき叩かなかったの。てなるでしょう。


反響のある批判ツイート

このツイートが支持されている。
電車で痴漢だー!て騒ぎになって、駅員もきて、大事になったのに結局痴漢した男もグルでドッキリでした。
レペゼンのやったことはこれと同じだというツイート
なるほどたしかに、しっくりきそうな例えだ。
これが実際にあったら炎上するだろうしその場に僕がいたら、とんだ迷惑野郎だと怒るだろうなぁ。
事実、実際痴漢なんて絶対やったらあかん犯罪です。

だけど冷静に考えて、
実際に目の前で痴漢ですー!て叫ばれたときの状態となると、今回のようなネット完結型の告発とは
事の緊急性や重大性が全く違うわけです。
それを同列に比喩するというのは浅すぎない??
なぜネット完結の問題と実際に目の前で現在進行形の犯罪を一緒にする?
どうして現実とネットで完結してるものを分けて考えられない?

こういったなんでもかんでも現実を度外視した正義の理屈を掲げ、不愉快なジョークやグレーな遊びを許さず鉄槌を下そうとするネット社会の不寛容さと凶暴性こそ、真に危惧するものだと僕は思う。

じゃあ批判してる人たちは全員悪いのか

とはいえ今回の件、下品なのはわかる。レペゼンはそういう集団だし、それが気にくわない人、不愉快に思う人がたくさんいることは事実。そう思うのは自由だし、その感性は何ら悪いものではない。

だけど僕が一番言いたいのはここ。


"正義"を盾に
レペゼン地球の行動を賞賛しただけのくつざわ氏みたいな人までも追い詰めるのはどうなんだ
「この件を面白いと思う人は最低だー!」っていうその風潮。
そういうのは、僕は行きすぎたマナーポリスみたいなものだと思う。
だって彼女らがしたことは、DJ社長の手腕を、しでかしたことのスケールの大きさ、前代未聞さをすごいと言っただけであって、当然パワハラやセクハラ等を肯定・助長したものでは決してない。

こうやって軽はずみな冗談も言えなくなったりちょっとした失言でも鬼の首をとったかのように批判されるような息苦しい、不寛容な社会になっていく。

その結果、ネット上ではほぼなんの生産性もない匿名の人ら(匿名じゃない人もいるけど)が、ある種エンターテイメントを作ってくれているネット上で生産性のある人を追い込み潰していく。
それこそつまんないし、いきづらい世の中やなあと正直思います。

結論、よってたかってちょっとしたグレーな事案を叩くのはネットリンチそのものであって、恐ろしい。
多くの"正義"の仮面を被り、思考停止した人たちが"正義"でない人間を見つけては袋叩きにする構図が出来上がっている

くつざわ氏、かわいそうだな。

こんなネット社会に、せめてグレーな冗談くらいは通じる寛容さが生まれることを願います。

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