『サルたちの狂宴 上 ーーシリコンバレー修業篇』を読んで

『サルたちの狂宴 上 ーーシリコンバレー修業篇』を読んで

私が心から尊敬するキャピタリスト兼起業家の方から紹介頂いた本。

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著者はUCバークレーで物理学の博士課程からウォール街のゴールドマン・サックスでクオンツとして働き、2008年の金融危機を機にシリコンバレーへ移り、ウェブ広告のベンチャーを立ち上げ、その後ツイッターに売却。

上巻では立ち上げたベンチャーをツイッターに売却するまでが描かれています。(下巻では売却後が描かれています。)

実話です。

著者の経歴だけをみると、賢い人がサクッと起業して売却した話に見えますが、読んでみるととんでもない。事業以外のほぼ全てを我慢して犠牲にして、それでもうまくいかないことの方が多いこの世界が赤裸々に描かれています。嘘、ハッタリ、訴訟・・・。実名でここまで書いて訴えられないか心配になるほどです。

この本の中で私が印象に残った箇所は、創業者に必要な資質と、深い谷(キャズム)を越えられない理由についての2点。

創業者に必要な資質

スタートアップの規模にかかわらず、すぐに忘れ去られるちっぽけな会社に終わるか、時代を動かす画期的な会社になるかの道を分けるのは、創業者が持つ二つの素質による
として、その素質とは、

-マニアックなまでに一つのことに集中し、人生におけるその他いっさいをすべて犠牲にできること

-果てしなく続く苦悩、苦境、苦しみを受けとめ耐える力

であると述べています。

私もVCとしてスタートアップと関わらせて頂く中で、この二つの資質は、多くの困難を乗り越え、他社に勝ち、突き抜けるために必要なものだと感じます。
一方で、投資家として、起業家が事業に集中できるようにし、可能な限り困難を予見し、取り除き、苦しいときは寄り添い、解決に向けてサポートする存在になれているだろうかと自問し、そのような存在でありたいと思っています。

深い谷(キャズム)を越えられない理由

深い谷を越えられずに消えてゆく理由は無限にあるが、ほぼすべてに共通するのが、金を出して購入してくれるユーザーの拡大を阻害する要因がある

スタートアップにとって最も重要なのは「金を出して購入してくれるユーザー」をどう獲得・維持するかだと考えています。無料会員も技術力も広告宣伝もそのための手段です。
技術力が高いからといってスタートアップとして成功するとは限らない、と技術系スタートアップに関してよくいわれていますが、まさにその通りだと思います。ユーザーがモノやサービスに価値を認め、お金を払ってくれなければ生きていけません。スタートアップの経営者は数え切れないほど多くのことを考え、意思決定していかなければならないと思いますが、その中でも常にユーザーのことを第一に考えていてほしいと思います。

最後に。
この本はシリコンバレーが舞台ですが、日本で活動している私も大いに共感できました。きれいごとだけではないリアルに興味がある方には是非おすすめです。


おまけ。
本の注記に、規律正しく意欲はあるが実際に役立つ才能はない人間にとっての最後の砦がベンチャーキャピタルと述べています。実際に役立つ才能はない、とバッサリ斬られてます笑
これまで以上に謙虚に生きていきます笑

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慶應イノベーション・イニシアティブというベンチャーキャピタルに所属しております。