見出し画像

単なる記録ではない!オンライン商談を成功に導く議事録術とは?

リモートワークがデフォルトになるこれからの世の中で、対面の商談を主としていたセールスの時代も終わりを告げようとしています。

対面でできていたことが、オンラインでは難しく、いかに情報を聴覚だけではなく、視覚で補っていたのかに気付かされます。

これまでと同じようにオンラインで商談していても時間通りに終わらない、うまく案件が進まない、など商談がうまく進まない状況に直面している人も多いのではないかと思います。

こうした状況を救う手段はドキュメント、その中でも特に役割の価値が急上昇するのが議事録となります。

議事録が?と思う人もいるかもしれません。もう少しお付き合いください。

議事録の用途は、訪問が終わった後の記録としてだけ活用するものではなく、もちろん修行という名の新人イジメの道具でもなく、訪問前の準備から活用でき、商談を成功に導くモノなのです。

そういう意味で、「議事録は戦略そのもの」と下記にツイートしました。

リモートワークで会社の同僚とすらコミュニケーションギャップは生まれやすい環境になっているので、対顧客だけではなく、対社内でも活用できる優れモノでもあります。

このnoteを読んで、これだけは伝わって欲しいな、と思うことは

議事録の作成目的は記録ではなく、
事前準備とアクションプラン作り

ということです。

では、議事録マスターになるための具体的な手引きを以下で詳しくご紹介します。

1. 事前準備のこだわりは議事録にこめよ

最高のパフォーマンスを引き出すのは準備の質です。

自分以外の関係者である同僚やパートナーの外部企業の方と行動する際であれば、パートナーと準備で打合せたり、訪問前に同僚に時間をもらってface to faceで準備することができましたが、いまや全てオンライン。

オンラインでのコミュニケーションコストは高いので、時間もかかるし、コミュニケーションギャップも生まれやいということもあり、ドキュメントで補う必要が出てきます。

そこで準備用のドキュメントとして議事録を活用するのです。その際に書く項目は

①背景
②企業情報
③参加メンバーと訪問する担当者情報
④訪問で達成したい目的
⑤目的達成のためのアジェンダ

となります。

私は下記のテンプレートを作っていて、まず③の参加者と④の達成したい目的から書き出します。ここがブレると他が全てブレるので。

スクリーンショット 2020-05-28 23.24.10

③はオンライン商談だと、ビデオはオフで、名前すら書いていない参加者もいるので、最後まで誰が参加したのかわからないこともあります。

挨拶くらいせい!と思ってると、実はテレビ会議慣れしていない50代の責任者だったりするので要注意です。誰がどんな役割を持って参加するか事前確認をマストにしましょう。

【Tips:わからない場合の聞き方】
事前にメールや電話で顧客と会話しましょう。

 「オンライン商談は難しく、顔も見えないこともあるので、せめて事前に名前と、簡単に役割を教えていただけませんか?」

と丁寧に意図を伝えれば、大体は教えていただけます。

また、④の訪問目的が定まらない場合は、情報が足りないサインなので、直接顧客と電話などで相談することも考えましょう。

【Tips:顧客への相談の仕方】
「お打合せについて考えてみたんですが、XXという観点で考えてみると、YYの情報次第では会議の内容が大きく変わってくるので、YYについて教えていただけませんか?」

ちなみに、この会話をして断られたことはありません。顧客も無駄な時間を過ごしたくはないので、しっかりと意図を伝えることで、事前のやり取りは可能になります

ここで十分な情報が得られれば、④が固まり、その他の思考に移ります。完成イメージは下記です。

スクリーンショット 2020-05-28 23.34.07

次に考える内容は⑤のアジェンダ。目的を達成するために、どんな内容を、どんな順番で進めることのが良いのかということです。

特に順番は軽視しがちですが、下記の2点を意識しすることはむちゃくちゃ重要です。

・相手が理解しやすいストーリー
何を理解していないと、この議論が成り立たないのか、参加メンバーそれぞれの立場にたって、ストーリーを構成する

場合によっては、自分たちに情報が足りないこともあるから、ヒアリングすべき内容やタイミングと、顧客にインプットする量の偏りを考えながら、ミーティングのストーリーを練る。

・相手が納得しやすい流れ

Yesを積み上げて、議論や難しい話題は最後にするなど、もっとも注力すべき論点に集中できる流れにする。

脳内シミュレーションを繰り返しながら当日の雰囲気を頭に思い浮かべ、アジェンダを組んでいくことです。この点は重要なので何度でも言いますが、上記のポイントを含めて今まで以上に深く考えてみてください。

スクリーンショット 2020-05-28 23.43.00

①の背景と②の企業情報は同行者がいるときにだけ記載しましょう。無駄にドキュメンテーションすることは、仕事をやった気になることなので、必要最低限に抑えることがポイントです。

訪問直前の議事録には下記のようなイメージで、事前に流れも想定して、書けるところ書いておきます。

スクリーンショット 2020-05-28 23.49.06

どうでしょう?上記をみていただくと、議事録は訪問前にある程度出来上がっているように見えます。議事録は「最終形を意識して書け」とはまさにこういうことなんです。

2. 訪問後の議事録作成の目的はアクションプランの練り上げにあり

訪問後は1で作り上げた準備用の議事録に、商談内容を記載していくことになります。

作成時での注意したいことは3点です。

1)アクションプランを考えながら、議事録作成
目的はあくまで次のアクションを練ること。記録をとることではないんですよね。 

リスクを考え、それを抑制するためのアクションだったり、受注への最短ルートを考え、実現するためのアクションプランを練ることが議事録を作る意味です。

スクリーンショット 2020-06-07 0.21.59

2)事実と所感はわけて記載
議事録は「事実」を記載する役割と、その事実から感じたことや違和感を記載する「所感」の二つから構成され、それを混ぜて書くことはフィクションであり、営業界ではもはや犯罪レベルです。

スクリーンショット 2020-06-07 0.18.55

特に所感は上記のイメージのように分けて書くことで、他人からの指摘が入りやすいので、下記のツイートのように、自分の感情や過去の経験によるバイアスを排除しやすいのです。

【Tips:感情やバイアスを排除する質問】
「それは楽観的すぎじゃない?」
「なぜそう考えたの?」
「XXの可能性は考えた?」

など、「所感」に記載したものを第三者から質問を浴びせてもらえれば、自分の「所感」を修正することができるのでオススメです。

3)重要部分は一言一句で記載
新人のうちは先輩や同僚のスクリプトを盗むことが売れる近道でもあるので、全ての一言一句をとることをお勧めします。

そのうちスキルが上がれば、ポイントを掴め、重要なものだけ一言一句に残します。例えば残すのは、価格に対するコメントや、顧客の部下や他部門とのやり取りなどです。

・「価格『は』気にしてないんですけどね」
 →他は何が気になってるんだ?

・A部長「これBさんの部門でやっておいてね」
 B部長「あ、はい」
 →同じ役職なのに、どういう関係性なんだ?

私も重要な訪問は極力一言一句を今でも残しています。

3. 顧客訪問後のメールに議事録を活用して、顧客の信頼を勝ち取れ

ただ漫然と送る定型の御礼メールは本当に必要なのか?と思って、送ること自体にしっくりきてませんでした。

そんな中、イシコさんのリツイートを目にしたことがきっかけで、次の日の商談後の御礼メールから試してみたところ、非常に効果がありました。

今は自分流にアレンジして、下記の構成を取っています。

議事録を作っていれば、上記私のツイートに記載の2のサマリーも、3のアクションプランもほぼコピペでいける内容なので、お勧めです。

オンライン商談によって、コミュニケーションギャップが生まれやすくなっている今、このような内容のメールで事実を顧客と確認しておく行為は非常に重要です。

また、ここまでやっている営業は少ないので、差別化になります。こうした地道な積み上げが、後々非常に効いてくると確信しています。

まとめ🌮

議事録は記録のためだけに作成するというところから、

・訪問前の徹底的な準備
・訪問後のアクションプラン作成
・訪問後のメールに活用

ということをご理解いただけたのではないでしょうか?

商談の質を上げるためにキーとなるのが議事録であるということがこのnoteを通じて読んでいただいた皆様に少しでも伝わって、明日の商談から議事録にこだわる人が1人でも増えたら嬉しいです。


★おまけ★ 議事録作成にどんなツールを使っているの?

・iPadとApple PencilとNoteshelfアプリ
商談中に頭を使わなければならないので、議事録は長らく万年筆&ノートでメモをとるというのが自分のスタイルでした。

紙を無くしたいという想いから、iPadに手書きはどうだろうとApple Pencilを試したら、もう紙と一緒だ!という感動だったので、そこから一気に紙はリストラしました。

Apple PencilにNoteshelfというアプリであれば、万年筆の筆跡も再現でき、編集も万能なので、慣れると紙よりも数倍便利です。欲を言えば、もっとiPad自体を軽くして欲しいですが。

ここで書いたものを、商談後にテキスト化していきます。商談中にPCでメモる人もいますが、どうもあれをやると頭が全く動かない古風な人間ので、そこは諦めています。

・Paper(by Dropbox)
議事録を事前準備で使っているとき、商談後に内容をテキスト化するときはPaperを使います。

また、社内ミーティングであれば共同で編集することが可能なので、iPadは使わず、直接Paperにミーティング中に複数人で作り上げていきます。

Paperを愛して止まないのは、とにかくUXが良いこと。

・Googleカレンダーと連携し、スケジュール登録された人にすぐシェアできる
・コメントなどインタラクティブにやり取りしやすい
・Google spread sheet, keynote, pdf, パワポなど様々なファイルも貼り付けてもプレビューも美しく、連携も滑らか
・ToDoリストなど簡単に作成
・共同編集も履歴がすぐ確認でき便利

など、まぁバーっと思い付く限りでもこんな感じなので、気になった人は検索してみてください。結構特集記事もあるので、詳しくはそちらにお任せします。


サポートいただくよりも、Twitterでシェアいただいたり、Twitter↑で絡んでいただく方が喜びます!