Cloud 100 2024 List解説
BessemerよりCloud 100リストのレポートが発表されたので解説致します。
Cloud 100リストは、毎年Forbes、Bessemer、Salesforce Venturesが作成のランキングで、市場でのリーダーシップ、推定評価額、経営指標、カルチャーなどの基準に基づいて評価された企業のリストです。
本年度の一つ目の特徴は100社の企業価値の合計が8,200億ドルと過去最高を記録したことです。これはAI企業の貢献だけでなく、IPO市場の停滞により大規模な企業群が未だ未上場でいることも影響しています。
次に、ARRが1億ドルを超えるまでの期間が短くなってきていることです。2024年のリストの平均では8年未満しかかかっておらず、2016年の10年よりも短縮されています。AI企業はその中でも6年とは役、短縮化に大きく貢献しています。
ハイライトは以下です。
・総額は8200億ドルで、23年の6540億ドルより25%増加
・カテゴリーとしてはAIがトップの1760億ドルで、次がフィンテックの1730億ドル
・ARRマルチプルは昨年の26xから23xに低下。ピークは21年の34x
新規参入は19社で、その大半はAI企業で、Perplexity、Glean、Mistral、Runway、Cohereなどが並んでいます。
上位4社は去年と同じだが、5番目にはClaudeが広く活用されているAnthropicが大幅なランクアップで入っています。
IPOは23年はKlaviyo、Rubrikの二社だけでしたが、今年や来年にはさらに幾つかの上場が報じられています。
カテゴリーでは1位はAIの1760億ドルで、モデルレイヤーのMistral、Cohere、フルスタックのPerplexity、Glean、Runway、コンピューティングのCoreWeave、Lambdaなどが加わりました。2位はフィンテックの1730億ドルで、RampやBrexの評価増が貢献した。両社とも法人カードからスタートし、現在は会計自動化、経費管理、ベンダー管理等の製品を提供し、しっかりとクラウド企業として位置づけられています。
AIは現在、未公開市場でも各社急成長しており、Open AI、Anthropic、Perplexityなどが急速に収益を拡大させています。
この背景には、AI企業が既存クラウド企業と連携して様々な製品のAI化を進めており、インフラからアプリケーションまで、またB2BからB2Cまで、全方位でSaaSの再定義を進めています。こうしたAI企業は収益の成長率向上にも貢献しています。
こうした収益貢献があるからこそ、マルチプルが下がっているにも関わらず、全体の評価額合計を押し上げている理由となります。24年は23xに低下し、また平均的な公開企業は現在ARRの6xほどで取引されています。
依然としてIPO市場は活発でなくマルチプルも低い状況が続きますが、にもかかわらずAI企業の成長により今年のリストは多くのポジティブな数字を示してきました。引き続き、目が離せない状況ということで、レポートは締めくくられます。
【出典】
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