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#6 ベトナムに住んだらベトナム料理を食べるべき

私は日々の記録、そして終活の一環として、できる限りその日の夕食の記録を写真とともに SNS に投稿しております。
とはいえ、たいそうな食生活を送っているわけではございませんので、特にキラキラ感も高級感もない、いわゆる "バエない" 写真ばかりであります。
しかし、そのような地味な写真ばかりでありますが、大変ありがたいことに、「美味しそうですね」や「どこのお店ですか?」といったコメントをいただくことがございます。
そうしたコメントの中に、たまにではありますが「やはりベトナムに住んだらベトナム料理を食べるべきですね」のような内容があります。

なるほど、ちょっと考えれば地産地消ではないですが、地元の料理が一番美味しいということは間違いなく、その意味においては理解できるものであります。
しかし、私は『食べたいものを食べるのが一番』と考えておりますゆえ、ある時そのようなコメントをいただいた際に、「日本に住んでいる日本の方々も、毎日のように日本食を食べるわけではないので、好きなものを食べればいいと思いますよ」のような趣旨の返信をしたことがあります。
すると、どうもコメントをくださった方は気分を害してしまったようで、言い方には気をつけなければいけないなあと反省した経験がございます。

ホーチミン市では北から南まで、さまざまなベトナム料理をいただくことができます

一日に三食、人によってはそれ以上に摂られる方もいらっしゃるかもしれませんが、食事は日々において数少ない楽しみの時間であり、またストレスの解消、明日への活力となる重要な人の営みのひとつであると私は考えております。
ですから、何かのドラマのナレーションではないですが、そこに他人の意見などは必要はなく、思うがままに食べたいものをいただくのが正しい在り方であると思っております。
ただし、ダイエットをされている方については、私の経験の範疇外のことですので見当がつきません。

私は基本的に一日三食をきっちりと摂り、その都度、食べたいものを食べているので、食事に関してはストレスを感じることはなくなく日々を過ごしております。
そのおかげで、当地に住みはじめてからというもの、古い知人などからは私であることが認識できないくらいまでには成長させていただきました。

朝食は持ち帰りにして職場でいただくことが多いです

さて、私の食事事情についてですが、基本的には職場や自宅の近くで朝昼晩三食ともベトナム料理をいただいています。気が向いた時などは休日の昼食を自炊をすることもありますが、ほぼベトナム料理の外食という食生活であります。
そのようなわけですので、「日本食を食べたくならないのか?」といった質問をいただくこともありますが、そのような欲求が湧くことは稀であります。

というのも私は年に数回、仕事の関係で日本に一時帰国する必要があるため、その際に十分に日本料理を味わえることがその理由の一つにあります。
ゆえに、私にとって一時帰国の最大の楽しみは日本食を食べることであり、以前の一時帰国のおりに、取引先の方から「日本にもベトナム料理店が増えたから、その味を本場と比べてみてほしい」と請われ、ベトナム料理店で会食することとなった時などは、軽い殺意を抱いたものでした。

エビを発酵させた調味料でいただく Bún Đậu Mắm Tôm(ブン ダウ マム トム)

それに加え、当地で日本食をいただく機会が少ない理由として、私の生活圏内に日本料理店がないという事実、また、日本料理店のビールがどうも私には合わないといったことがあります。
ちなみに、私はお酒に関しては食事と同じく好き嫌いがほぼないのですが、特にビールが好みであります。ビールと一言で言っても、瓶ビールを一番愛飲しており、ついで缶ビール、生ビールについてはほとんど飲むことはございません。

私がベトナムで一番好きなTiger Beer。オランダとシンガポールの合弁会社のビールで、ベトナムにおいても人気があります

さてそのビールですが、当地でビールを飲む際は、他の東南アジア諸国と同じく氷を入れて飲むのが一般的ですが、この氷がビールを美味しくいただく重要な構成要素となります。
ほとんどの飲食店は氷屋から氷を仕入れていると思いますが、この氷には小さく砕かれたような氷と、ビールグラスにすっぽりと収まるような大きめの氷があります。そして、ビールを飲む際に合う氷は後者の大きめの氷となります。
そして、多くの日本料理店でビールをいただく際において、氷を入れて提供されることは少なく、氷をもらうと小さく砕かれたような氷が出されることが多いのです。小さい氷ですとすぐに溶けてしまうため、ビールを美味しくいただくことができないのですが、日本料理店においてはビールといえば氷を入れずに飲む生ビールが勢力を誇っていると思われますので、これは致し方のないことなのかもしれませんが、どうにも足が遠のいてしまう理由となります。

ビールに合うおつまみも豊富です

そしてもう一つ、日本料理店で提供されるビールは日本のメーカーのものが多い、というのも理由になります。
当地で一般的に飲むことのできる日本のビールは、ほぼ『男はだまって』のメーカーの一種類しかないのですが、それが私の口に合わないのです。
おそらくベトナムの方々に合わせて日本のものと味を変えていると思うのですが、どうにも日本のものとの味の差異が私には受け入れ難いのであります。
と申しますのも、このメーカーのビールは私が長年日本で愛飲してきたものであり、一時帰国の際は、このビールが置いてあるお店を探すほどに好きな銘柄であったります。
そのため、これも日本料理店から縁遠くなってしまった理由のひとつではないかと考えております。

日本に帰国した際はまずは黒ラベルをいただきます

さて、そのような理由からベトナム料理店ばかりに足を運んでいるわけであり、決して『ベトナムに住んだらベトナム料理を食べるべき』といった考えからの結果では無いことをお伝えしたい次第でございます。

最後に蛇足ではありますが、先に夕食については写真撮影をおこない、せっせと SNS に投稿していることはお伝えしたとおりですが、その中でいただく否定的なご意見について、反省の意を込めてご紹介いたします。

一時期、私が食事の写真を SNS に投稿するときまって「なにベトナムに慣れた感を出しているんだ」とか「たいしてうまそうじゃない」など、結構な頻度で 𝕏(当時は Twitter)のダイレクトメッセージを送ってくださる方がいらっしゃいました。
そのなかなかの挑発的な態度に、はじめのうちは煩わしく感じていたのですが、そのうちにこれだけ熱心に毎度のことメッセージを送ってくださるその方に興味を持ってきました。というかいじりたくなってきました。

ホーチミン市では食事に困ることはありません

そして、今日はどのようなメッセージを送ってくれるのかと焦がれるよう感覚に変化し、ついには興が乗ってきた、というか私の性格の悪さが発露し、そのメッセージに返信をするに至りました。
まさかお相手の方も返信が来るとは思っていなかったのか、衷心から私を嫌っていたのかわかりませんが、なかなかまともな会話にならず、さらに私がネチネチと粘着的な返信をすればするほどお相手の返信は支離滅裂になっていきます。
何か打開策を講じなければ会話が成り立ちそうになかったので、「あなたと会話をしていると楽しいし、お互い気が合うのではないかと思うので、よければ食事か飲みにいきましょうよ」といったメッセージを送ったのですが、どうやらこれが決定的なミスとなったようで、この方は以降メッセージを送ってくださらなくなってしまいました。

夜風(排気ガス混じり)に当たりながらの食事は、リラックスのできるひと時です

捨て垢だったのでどこのどなたかわからず、その後アカウントも削除されてしまったため連絡を取ることもかなわず、無聊を慰める戯具をあっさりと失ってしまったという、痛恨の極みの思い出です。もし何かのきっかけでこの文章を目にすることがありましたら、またツッコミのメッセージを送ってもらえたらと願っております。
本当に SNS 上でのコミュニケーションとは難しいものですね。

みんな大好き Cơm tấm。人それぞれの "名店" があります


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