孤独
友達もいなくて
いつも一人ぼっち…
孤独のイメージは大概寂しい
私の場合は少し違う
子供の頃
スポーツ大会など
代表を選出する場面で
いつも私は特別枠というものを
友人たちからあてがわれた
あなたは特別だから!
私の名前は黒板の隅に置かれ
チームの力が拮抗するようにと
一番弱くなったチームに半ば
強制的に入れられた
だって月ちゃんが入ったらダントツで
強くなっちゃうじゃん!
委員長の選挙だって
私の学校は全て
全員の記名投票で行われた
たとえやりたくなくても選ばれたら
やらなくてはならない
村社会の掟のようなものだった
みんなに囲まれながら
いつも笑顔で
優等生を演じることが
自分の使命のように思っていた
優等生は
弱音を吐いてはいけなかった
弱いものを守らないといけなかった
そんな私を
思春期が襲った
低くハスキーな私の声は
無駄に人々の好奇心を誘った
悪気の無い冗談が
胸に突き刺さるようになった
周りは何も変わってはいないのに…
コンプレックスとは
そういうものだろう
ある日突然
昨日までの私は居なくなった
私は殻に閉じこもり
人との会話に怯えるようになった
誰にも
私の変化は見えない
誰も本当の私を見てはいないから
必要とされるのは
いつだって
元気でたくましい私だから
それは今でも変わっていない
人間の本質はそうそう変わらない
ただ
長い年月を経て
変わったことはある
私は今の私を嫌いではなくなった
本当は出家しようとずっと考えていた
でも
夫と知り合ってしまったから…
彼が私を
地獄から救いだしてくれたから
その恩を返すためだけに
私は此処にとどまっている
孤独とは
一人でいることじゃない
独りだと思ってしまうことだ
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