アニメ映画「きみの色」【紹介と感想】「アメリ」「YMO」「テルミン」「リズと青い鳥」「聲の形」が好きな人に
こんな人におすすめ
お気に入り監督の一人である山田尚子 (「リズと青い鳥」「聲の形」「けいおん!」「平家物語」) の音楽・思春期ものオリジナル作品。初日に観るべく会社も休んで IMAXレーザーGT にてとハードルを上げて臨みましたが、観終わった後ジワジワ来ました。ラストのいくかの場面でもウルっと。良い映画観たな、もう一度観たいなと思いました。二日たっても引きずってます。
ジャンルにハマらない名作「アメリ」 (2001 フランス映画) や新海誠作品が好きな人には特におすすめしたいです。音楽的には YMO や UNDERWORLD、Yann Tiersen (「アメリ」サントラの人)、The Durutti Column、Virgina Astley あたりが好きな人にも良いかも。(最近の同傾向のは把握してません)
ガールズロックバンドものじゃない音楽だよ
宣伝としては流行りのガールズロックバンドものと思われがちですが、違います。 確かにバンドものでもありますが、それにとどまらない詩的で繊細な感覚に満ち溢れた音楽と、人の個性を色彩 (ここ大事) として表現し、登場人物それぞれならではのあり方をテーマとした、映像作家寄りの作品だと思います。
思春期の少女たちと少年が、特に音楽の達人でもなく、内省的ながらゼロから音楽創作を自由な発想で取組み、ジャンルを超えたスタイルと楽器編成 (テルミンまで..)。これは山田監督の相棒である牛尾憲輔 (「リズと青い鳥」「聲の形」「平家物語」「チェンソーマン」) が手がける音楽。
しかも今回は歌入りバンド風というのが絶品で、気持ちの良い環境音やノイズがブレンドされることで素晴らしい完成度 (もちろん買い) です。フルアルバムこれで出して欲しいくらい。
劇場でバンドスコアを売ってたのでつい買ってしまいました。作詞が監督、作曲は牛尾憲輔、vo は CV の高石あかり、ギターは永井聖一 (相対性理論、やくしまるえつこ、高橋幸宏/METAFIVE のサポート等)。
人はみんなそれぞれ違う色彩で、自由
そんな音楽制作とバンド活動を軸にしながらも、家族や学校との向き合い方、人生の楽しみ方、自分らしさのあり方、それらはみんなそれぞれ違う色彩で、自由なんだ、という肯定の物語でもあります。その意味で「メイキング・オブ・○○」という印象であり、「音楽」「青春」「仲間」と言った多様な言葉が当てはまる感じ。脚本は吉田玲子 (山田監督作品の大半、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」「ガールズ&パンツァー」シリーズ) というのも鉄板です。
山田監督と川村Pのコメント
とのことで、アヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門にも出品と海外でもかなり注目されており、人気原作ものや異世界転生ものの強い日本でどう伝わるか気になるところではありますが、多くの人に観てもらいたい作品ですね。
素敵な時間をもらいに劇場へ
悪意の出てこない、繊細な音と色彩を大切にした手作りなタッチの映像美とぬくもりに浸る事のできる素敵な時間をもらいに、劇場で観ることをおすすめします。
リンク集
公式サイト
PV (劇中のバンド曲が含まれてない宣伝 ver.)
(映画で聴いてねということてすね)
山田尚子 監督インタビュー動画 (東宝)
牛尾健輔 音楽監督インタビュー (東宝)
山田尚子×新海誠 対談 (創作論から、スタッフ取り合いネタまで)
山田尚子監督×牛尾憲輔 インタビュー (濃い内容です)
言葉にできないことを、誰かと分かちあう。 その体験が、生きる術となる
山田尚子監督 短編作品「Garden of Rememberance」(2022) (約18分) (2024/8/30 より各配信サイトにて配信開始)
舞台挨拶とインタビュー記事
アヌシー国際アニメーション映画祭コンペティション部門の記事
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