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中学校教師 #50 中2数学 1年間指導を振り返る


4月から中学校で勤務しています。
いずれは小学校に戻ることを考え、この経験を記録に残そうと思います。
異動の経緯や考えは下記参照


中2数学 1年間の指導の振り返り

中学2年生の数学は1週間あたり3時間の授業です。
私は今年度2クラスを担当しました。
初めての数学の指導でしたが、7つある章ごと自分なりに挑戦ができたと思うので、きちんと言語化して振り返ります。

①どのような挑戦をしたのか
②成果
③課題
④来年度に向けて

この3点を意識してまとめます。

1章 式の計算

①どのような挑戦をしたのか
初めての数学の授業。1時間ずつ、しっかり授業をしなければならない。教えるべきことは教え、考えさせる時間も作る。人間関係もつくっていく必要があり、戸惑っていたことをよく覚えている。
工夫したことといえば、カレンダーを使った授業か…

②成果
数学で扱う用語はしっかり覚えてほしい。そんな願いを込めてkahoot!に挑戦した。なんなら4月の授業参観でも実施した。子どもたちの学ぶエネルギーを引き出そうとしたことは成果と言える。
③課題
単項式、多項式、2年生以降の数学の基礎となる知識を理解させるために、単純な授業ではいけないと感じている。工夫が必要。
④来年度に向けて
ICTの活用、そして生徒が自ら学ぶベースとなるような単元構想をする必要があると感じた。年度が始まり、いきなり受け身になるような授業では面白くない。


2章 連立方程式

①どのような挑戦をしたのか
2つの1元1次方程式を立式するための基本的な内容はしっかりおさえる導入をしました。遊園地でのチケットの使い方やハンバーガーショップでの買い物など、具体的な場面が教科書で提示されているため、数学が苦手な生徒でも馴染みやすい様子でした。
章の前半で扱った課題は「情報不足の問題です」男子と女子、それぞれ情報が不足したカードを配付しました。それぞれのカードの情報では、解を1つに決定することができません。カードを配付後、「あれ?できなくない?」とつぶやきながら、互いのタブレットを見合います。そこで、情報が違うことに気づき、互いが持っている情報を交換することで解を求めることができました。2元1次方程式になったからこそ解を求めることができることを理解できました。その後、単元の後半は自由進度学習っぽく進め、基本問題を中心に、時間と達成度を自分で調整しながら連立方程式の応用問題に取り組むようにしました。問題がどんどん解けるようになり、満足げな様子と早く解けた生徒のアドバイスが温かい雰囲気でした。

問題はこれ
男子にはこのカードのみ配付
女子にはこのカードのみ配付
3元1次方程式に挑戦。ムーブノートで多様な解き方に気づきます。

②成果
数学が苦手な生徒が「俺はこれならできそうだ」と笑顔になった瞬間が忘れられません。学びとの出会い方が大事だと感じました。学習課題、教材の提示、工夫は今後も継続したいです。
③課題
章の後半、応用問題は文章問題をたくさん扱いました。題材が速さや人数、濃度に関する問題は連立方程式の応用でも有名なものです。問題文からどのように情報を抜き出すか、整理するかについて指導が甘くなってしまったため、苦手意識を持ってしまった生徒がいるように感じました。
④来年度に向けて
多様な考え方に出会うことができる授業は、数学の醍醐味でもあると思います。連立方程式の章で「数学の面白さ」「できる喜び」を実感することは、今後の学習を前向きな気持ちで取り組む上でも大切だと思います。ICTを上手に活用しながら、先ほどの点について挑戦をしてみたいです。


3章 1次関数

①どのような挑戦をしたのか
基本的な知識、技能については講義形式で授業を進めていきました。
章の後半、1次関数の応用では自作問題を課すことで理解を深めようとしました。

②成果
日常生活における問題を数学の問題として捉えて解いたり、考察したりすることができるのが1次関数の学びの良さだと考えています。自作問題を生かした挑戦は私自身も楽しむことができました。
③課題
この章は前半の学習内容がかなり多く、理解できないと後半にキツさを感じることがあります。また、1次関数は「数式」でもありますし、「表」でもありますし、「グラフ」でもあります。この3つを関連づけて理解すると良いのですが、簡単なことではありません。3年生の関数の学習にもつながることを考えると、しっかり理解して次に繋げたい章でした。
④来年度に向けて
数式・表・グラフを関連付けて理解できるように指導することが重要です。現状、具体策はまだ浮かばないのですが、1、2章をスムーズに進め、少し時数を増やすことはできそうです。


4章 図形の性質の調べ方

①どのような挑戦をしたのか
追究用紙としてワークシートを用意して、授業を進めました。
多角形の角については、一つの答えに対して多様な考え方が挙げられる問題に取り組みました。ムーブノートでお互いの考えを共有することで、より良い考え方について学ぶ機会が持てました。

xの角の大きさを求める方法を考えます

②成果
平行線の角の性質、多角形の内角や外角について新しく性質を身に付けることができたので、解ける問題が増えて充実した表情の生徒たちでした。また、多角形の角の大きさについては小学校の学習との関連があります。この辺りの話ができる点も私の強みかと思いますので、強みを生かして授業を進めました。
③課題
2年生の授業はここから図形単元が続きます。図形の学習において大事にしたいことを明確にして、生徒と共有しながら章の学びを進めることができたら良かったと思います。
④来年度に向けて
ICTの活用(デジタル教科書、ミライシードアプリ)は図形の学習を支えるツールです。今後も有効に活用できるように挑戦したいです。


5章 三角形・四角形

①どのような挑戦をしたのか
三角形については2学期の終盤、四角形については3学期の序盤に指導することになり、冬休みを挟む形になりました。どちらも、追究用紙としてワークシートを用紙して、1時間ずつ新しい知識や技能を身に付けたり、身に付けたことを生かして問題を解いたりするような学習をしました。
②成果
追究用紙を用意することで、計画通りに学習を進めることができました。また、定義や定理を身に付けるために、一つずつ順序立てて証明することについて考える時間を確保できたと思います。
③課題
この章の学びは、かなり教師主導に感じられるようなものでした。確実に学習は進みますが、生徒主体となって学ぶような機会が確保できなかったことが課題だと感じています。
④来年度に向けて
証明問題について、図形の性質を生かして順序立てて説明する力を高める学習が、生徒主体となるような実践に調整したいと考えています。


6章 確率

①どのような挑戦をしたのか
「個別最適な学び」を目指して章の学びを組み立てました。前半と後半に分け、基本的なことは講義形式で進め、練習問題についてはプリントで課題を提示しました。時には具体物を用いてという授業も行いました。

②成果
基本的な知識・技能を身に付けながら必修問題が載っているプリントにこつこつ取り組む姿が見られました。
③課題
問題演習の時間と量をもっと確保できるような展開をしたり、指導したりすることができたのではないかと思います。抽象的な事柄を扱う場面が多い章なので、挑戦する量でレベルアップを図りたかったです。
④来年度に向けて
今年度の実践をベースに、問題量を多くすることと、確率の考え方の良さを生徒が考えることができるような課題を扱うことに挑戦してみたいです。


7章 データの分布

①どのような挑戦をしたのか
教科書から与えられたデータだけでなく、実際の数値をもとに箱ひげ図で表現して考察する授業を行いました。詳しくは↓

②成果
本物のデータだからこそ、整っていない部分があり、データの収集や整理に時間がかかりました。しかし、目的意識があったからこそ生徒は意欲的に学び続けました。1時間で終わる授業ではないと割り切って、何時間もかけて少しずつレポートを仕上げた姿が印象的でした。また、レポートを提出後は実際に試合映像を見て、自分たちの結論と異なることに気付きました。つまり、数学的な思考はできるが、実際の場面ではさらに広い視野で考える必要があるし、結論を出す難しさも感じることができたと思います。
③課題
レポートの仕上がりに時間がかかったのは、経験不足も影響しています。数学においても、学んだことを振り返りながら自分の考えを文章で表現する機会を設けるべきだと感じました。
④来年度に向けて
生徒が本気になっている姿が見られました。年度末の章だからこそ、きちんと時間を掛けて取り組むことができるようにカリキュラムマネジメントを考えていく必要があると感じました。

全体を振り返り、力を入れて実践した章については、自信を持って良い挑戦だったと言える。その一方で、私が勝手に難しさを感じ、指導のしづらさを感じた章についてはイマイチだったと言える。
改善のポイントも挙げられる。
・ICTの有効活用
・基礎をしっかり教える割合と生徒に学びを委ねる割合のバランス
・数学を生かす場面の引き出しを増やす

2番煎じの授業などやる予定はない。
きちんと言葉で振り返ることができたら、次の学びは充実するでしょう。
私の挑戦はもう始まっている。


【「えがお」を大切に  焦らず、誠実に、前向きに】

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