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今更ながら読みました『裁判官の爆笑お言葉集』

2007年に出版され、巷で話題になった新書『裁判官の爆笑お言葉集』をやっと読むことができました。
図書館はありがたいですね。
今更ながら読んでみて、やはり色々と興味深かったので、noteに上げることにしました。

かつて司法浪人の日々を送り、現在はライター業の合間を縫って裁判傍聴に通っているという、著者の長嶺超輝氏。
「量刑相場」その他「大人の事情」に苦しむ本音が垣間見える発言や、血の通う人情を切々と滲ませた説諭、時には被告、時には原告に寄り添う付言等々、裁判官が実際の法廷で発した言葉の数々を、ウィットに富み、かつ、とても分かりやすい文章で紹介してくれています。

特に印象に残ったものは以下の三つ。

1 少ない額でも、きちんと納税している人を馬鹿にした行為だ。
遺産相続にあたり、約9億8千万円を脱税した被告人に対する判決での一節です。
今話題のパーティー券代キックバック事件ほか、様々な不祥事も思い浮かびますが、あまりにもその類の行為が多すぎて、国民はもはや感覚が麻痺してしまっているのが実情かもしれません。

2 本当に謝るべきは、県民に対してではないですか。
贈賄と競売入札妨害の罪に問われた被告人(土木建設業元役員)が「(現金を贈与した相手方の)県職員や、警察の皆さんに迷惑をかけた」と述べたのに対して、疑問を呈した言葉です。
昨今、おかしな「謝罪」がまかり通っていますよね。
「遺憾に思う」だの、「誤解を招いたとしたら」だの、到底謝っているとは思えない言葉遣いとか、この件のように謝る相手が見当違いとか、見苦しい言い訳ばかりとか…。

3 「野球も人なり」という先人の言葉がある。この言葉は、選手としてのプレーはもとより、人間としての在り様を意味している。これがなければ、本当の意味でのフェアプレー、スポーツマンシップとは言えない。
プロ野球選手の脱税事件での判決における説諭です。
「〇〇も人なり」といういい方は、元々、唐の文人・韓愈の言葉「彼も人なり、予(われ)も人なり」に由来し、「芸も人なり」「文も人なり」など、様々なバリエーションが派生していったものだそうです。
いろいろなスポーツ選手の実例を思い浮かべて深く頷くとともに、己自身をも省みることになるような「お言葉」ですね。

さて。
先日、ロウバイが見頃との情報をネットで見て『府中市郷土の森博物館』を訪れました。
寒さが緩んだ日で、明るいお日様色とほのかな芳香を、じっくりと楽しんできました。
一足早い早春のお裾分けです。

3種類が植わっている「ロウバイの小径」
これは少し白っぽかったです
明るい黄色が青空に映えます
早咲きの梅 玉牡丹
ぷっくりした形が愛らしいです

なお、トップの写真の紅梅は『八重寒紅』。
寒の只中に、早春の息吹を感じるのも、なかなかいいものですよね。


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