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秋の香りと、イタリア仕込みの分析と…

異常な暑さがようやく収まり、秋らしくなってきました。
私の住んでいる東京近郊では、金木犀(キンモクセイ)の甘~い香りが漂い始めました。
澄んだ青空に爽やかな風、散歩が気持ちいい季節ですね。

散歩中に出会った金木犀

私にとって欠かせないのは、食欲の秋芸術の秋、さらには読書の秋、でもあります。
このところ続けて、イタリアと所縁の深い女性の作家さんの著作を読んで、大いに刺激を受けました。

お一人は塩野七生さん。
一人の外交官の人生を通してルネサンス世界の興亡を壮大に描いた歴史小説4巻シリーズを通読しました。
このイタリア・ルネサンス4部作の1部から3部までは1990年代前半に発刊された『緋色のベネツィア』、『銀色のフィレンツェ』、『黄金のローマ』の改題で、4冊目は2020年に出版された新しい作品です。
シリーズを通して、著者が考える、ヴェネツィアの国としての強みの秘密が解き明かされます。
国が活き活きと繁栄するためのカギは、国民が自身の自由な意志に基づいて自由な言動をできているか、にあって、独裁か寡頭制か多頭制か、あるいは君主制か共和制か、など政体の違いは関係ない
という趣旨の記述が、とても印象に残りました。


もうお一人は、漫画家であり、文筆家であるヤマザキマリさん。
コロナ禍の為、長期にわたり家族と別居して日本で暮らす中で気づいたことなどをエッセイにされた本を読みました。

Keep moving(ヤマザキマリさんの知人のおじいさまの口癖)
常に好奇心と感性を動かし続けろ、という意味あいを持つ言葉だそうです。

自己とは自分にとって最良の友人である(哲人・アリストテレスの言葉)

この二つの言葉に、特に惹き付けられました。


塩野七生さんとヤマザキマリさん、ぴしっと一本筋の通ったお二人の著作を読んで、今の諸々の状況を悲観せずにはいられませんでした。

ウクライナ戦争の、先の見えなさといい
パレスチナでの古くて新しい紛争といい
中国とアメリカ、それぞれの独善的な振る舞いといい
我が国の政財界のリーダーたちの「『身内』の利益至上主義」といい
最近見聞きした「記者会見」の、あまりといえばあまりな質の低さといい

呆れ返って「自分の好きなもの」に囲まれた世界に逃避したくなります。

そういえば、ヤマザキマリさんも
「日本人は、世間体や同調圧力等に押しつぶされそうなストレスを発散するために、諸外国の人に比べ、エンタメに依存しているのではないか」
という趣旨のことを書かれていました。
確かに、そうかも!
と我が身を振り返って思ったのでした。

世のあれこれに思いを巡らせる、秋の夜長です。




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