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「奇跡の社会科学」(中野剛志著、PHP新書)E・H・カー②

今日もお布団でぬっくぬく♪
ぽんニャンです🐱

さあ、E・H・カー編その②😃
ウクライナ戦争はなぜ起きたの?

自民党の元防衛大臣(軍事通)「ロシアが突然攻めてきた」
国滅ぶだろ💢

それではどーじょー😊

E・H・カーは、『危機の20年』で、国際政治学の潮流をユートピアニズムとリアリズムとに分けた。
第一次世界大戦後の平和秩序は、ユートピアニズムに基づいたため崩壊したと分析した。
二大潮流はリベラリズムとリアリズムとして継続している。

しかし、現代の世界は再び戦間期の失敗を繰り返している。
1989年にベルリンの壁崩壊。
1991年にソビエト連邦瓦解。
アメリカは覇権国家となったなっことを信じ、リベラリズムに基づく平和秩序を目指した。

【リベラリズム】
民主主義や貿易の自由などの普遍的な価値観を広め、国際的なルールや国際機関を通じた国際協調を推し進めれば、平和で安定した国際秩序が実現するという理論。

これに対してリアリズム。

【リアリズム】
国際秩序を成り立たせているのは、民主主義や貿易の自由といったリベラルな制度や価値観ではなく、軍事力や経済力といったパワーのバランスであるという理論。

【リアリズム論者の批判】
歴史上、民主国家は戦争をしないとは言えない。
非民主国家を民主国家にするのは極めて困難。
自由貿易による経済的相互依存も戦争は止められない。
リベラルな価値観を非リベラリズム国家に推しつけるには、強大な力が覇権国家の力が必要だが、冷戦終結後のアメリカにはその力がない。しかし、無理にリベラルな国際秩序を作ろうとすれば、アメリカは疲弊するだろう。

結果、2003年にイラク戦争を起こしたが、更なる中東の混乱を巻き起こし、アメリカは疲弊した。 
1990年の湾岸戦争は、フセイン政権を打倒するというリアリズムの戦争だったため成功(アメリカ側から見れば)した。
しかし、イラク戦争はイラクの民主化というリベラリズムに基づいた戦争だった。
さらにリベラリズムによれば、自由貿易は平和をもたらすとしていたが、アメリカと中国は経済と軍事とで対立するに至った。

そしてら2022年、ロシアはウクライナに侵攻した。
プーチンがソ連復活を企んだとか、精神的におかしくなったとか言われていた。
しかし、リアリスト達は、アメリカのリベラリズムの失敗と考えた。
アメリカは東欧諸国をNATOに次々と加盟させていた。
しかしこれを有名なリアリストであるジョージ・ケナンは、「NATOの拡大は、ポスト冷戦時代全体を通じて、アメリカ政策の最も致命的な過ちとなるであろう」と指摘。さらに「このような決定は、ロシアの世論の国粋主義的、反西側的、軍国主義的傾向を助長し、ロシアの民主主義の発展を逆行させ、東西冷戦の雰囲気を復活させ、ロシアの対外政策の方向性を我々の望まない方向へと向かわせるだろう」と予言しており、見事に的中した。
西側諸国からすれば、ウクライナの平和と民主化という善意の行動。つまりリベラリズム。
しかし、ロシアから見れば安全保障上の脅威に過ぎない。つまりリアリズム。
だからロシアはウクライナに侵攻した。

リベラルな世界を作りたいと思う行動が、かえって衝突を生む。
しかし、カーが指摘したように、人間は本質的に、非現実的な理想や願望に駆り立てられて動く。
リベラリズムに従って行動し、リアリズムの壁にぶつかる。
そんなことを何百年も繰り返してきたというわけである。

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