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上海留学日記 其の二十七 下

ミャンマー半日観光の朝、ヒガシくんも何とか復活し、7:45頃に青年旅行社前に集合した。もうすでに中国人の団体客10名ぐらいが集まっていた。
8:00にバスは出発した。
中国の方々は、日本人がこんなところまで来るのは珍しいと、色々と話しかけてくる。私の中国語はまだまだなので、ヒガシくんに通訳してもらいながら話す。
彼らによると中国では「どこから来たの?」とか「どこの出身?」と聞かれるのとともに「どこの民族?」と尋ねるのも普通なのだそうだ。
さすが54の民族を擁している国だけある。とりあえず大和民族だと答えておいた。

国境が近づくと、人々が「ここからは日本語は絶対話してはいけない。」と言ってきた。❓と思っているうちにおとといのお姉さん(今日の添乗ガイドさんも彼女だった)が、みんなにビザの書類を配る。私たちにも配られたが、知らない中国名になっている。みんなのには顔写真が貼ってあるが、私たちのには提出していないのだから当然ない。どうやら今日当日キャンセルした人のか、団体客でこのツアーに参加しない人の分もビザを取っておいてそれを流用しているらしい。日本人客が来たら、いつもそうしているらしく、お姉さんは平然としている。
国境でライフル銃を掲げた警備兵がバスに乗り込んで来た。
一人一人ビザの顔写真と本人の顔と名前を確認していっている。
えぇ?私たちはどうしたらいいの?相手銃持ってるし。車内が緊迫した空気に包まれ、ヒガシくんはビビッて噛んでいたガムをよだれとともに書類の上に落してしまった。私は???となっているだけだった。兵隊さんが私の書類に手をかけたまさにその時、ガイドのお姉さんが兵隊さんに「私たち時間ないから、もういいでしょ?」みたいな声をかけた。兵隊さんはガイドさんの方を振り向いてうなづくとバスを降りて行った。車内の緊張が一気に緩んだ。それならそうと最初から言っておいてよ!これって密航ってコト?
ガイドさんは国境を走り抜けるバスの中から、「バイ、バーイ!」と国境警備兵たちに明るく手を振る。しょっちゅうやっていることなのだろう。
後日、新しい版の『地球の歩き方』を見たら、『ミャンマー半日観光』の記述は消えていた。不正が発覚したのか?

そんなこんなで何とか入国し、国境の村を散策した。お坊さんの格好をした子供がたくさんいて、鄙びた田園風景が広がっていた。


鄙びて埃っぽい
お寺の境内で遊ぶ子供たち

安心して下さい。出国時はノーチェックでした。


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