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利益を残すならズバっと見切れ!!スーパー担当者が経験則を数学的に証明してみた

スーパーの現場で10年以上働いてきたSt.Mです。賞味期限の短い加工食品を扱うデイリー部門(パン・豆腐・練り物・漬物・ハム・ピザ・麺・牛乳・デザートなど)を長く担当してきました。スーパーでは賞味期限が近づくと値引きして売り切ります。デイリー部門では、賞味期限までが数日しかない商品を扱っているのもあって、毎日商品の賞味期限をチェックして見切り作業をしています。ですが、安売りしすぎてしまうと利益が残りません。仕入れ値が50円の商品を100円で売ったら50円の利益が出ますが、半額で売ってしまうとプラスマイナスゼロ、人件費などの経費がかかる分実質赤字となります。
 この値引きした額(売変:売価変更の略・バイヘン)が大きいということは、発注する量が適切でないし、利益が残らないことを意味しているので、売変を抑えるよう厳しく言われます。そしてパートさんたちは上から厳しく言われると、10%引きを貼って様子を見て、20%引きを貼って様子を見て、、、30%、40%と刻んでいく人が現れたり(人件費のこと全く考えてない)、10%引きで様子を見た結果売れ残ってほとんどを半額で売り切るといったおかしなことになりました。みんなのやり方に疑問を抱いた僕は、結局どうやって見切りをしたら利益が残るのかを数学的に計算してみることにしました。

10%引きで様子を見るか、20%引きから入るか?

 10%引き、もしくは20%引きをはって、売れ残ったものを半額処分する場合を考えます。お客さんは半額よりも安くならないことをご存知なので、半額を貼るとすぐに完売します。10%引きを貼った結果多く売れ残って半額処分する数が増えると利益が残らなくなります。20%引きを貼っている間にたくさん売れて半額処分になる数が減れば、利益が多く残ります。

・商品の価格:A円
・商品の原価:B円
・見切りが発生した個数:Y個
・10%引きを貼った場合に半額を貼るまでに売れる個数:X個
・20%引きを貼った場合に半額を貼るまでに売れる個数:X´個

として、20%引きを貼ることで10%引きを貼った時よりもたくさん売れて利益が多くなるにはどのような条件なのかを立式すると、以下のようになります。

となり計算するとYを含む式がなくなり、見切り発生数Yは関係ないことがまず分かります。続いて、、

となりBも両辺から消えるので、原価Bも関係ないことが分かります。続いて計算すると

となりAが両辺から消えるため、商品の価格Aも関係ないことが分かります。A>0より、両辺をAで割っても不等号の向きは変わらないため最終的に

が導き出されます。20%引きを貼ることで10%引きを貼った時よりも1.33倍多く売れれば、利益が多く残ることが分かります。この式の凄いところは、何個見切りが発生したかも、商品の価格も、商品の原価も一切影響しない公式だということです。この3分の4というのは「50%ー20%」分の「50%ー10%」という数字ですので、興味がある方は30%引きの時と比べてみてもいいかもしれませんね。
 20%引きを貼った時の売れ行きは10%引きを貼った時と比較にならないぐらい増えます。20%引きでたくさん売れればその分半額シールを貼りなおす手間が減るので、人件費的にさらにお得です。

まとめ

 いかがだったでしょうか、利益を残そうと10%引きで様子を見ようとすると逆に利益が残らなくなるということが実質的に証明できました。見切りのやり方を変えるだけで、作業を楽にしつつも最終的なもうけを増やすことができるので、工夫してみると面白いかもしれませんね。ではまた!

お金はご自身やご家族のためにお使いください。みなさまに幸せの訪れを願っています。