【備忘録】こだまでせうか
よいことがありましたので共有させてください。
実は先日、同学年の方とお付き合いを始めました。
そして、昨日父にトラウマを掘りかえされるようなことをいわれて塞ぎこみそうになりました。そこで、恋人を頼ることにしてみました。
lineで「電話繋いでもいい?」と聞いてみました。とにかく、安心できる人に近くにいて欲しかったのです。少しして「自分の部屋に移動したから、いいよ」とかえってきました。
今まで、なんども小さな段差で、いや、なにもないところでも、転んで。痛みをごまかしながら、ひたすら怯えて、塞ぎこんでいました。だから、lineを送るのも大変でしたし「いいよ」といわれてからも「ありがとう」とだけかえして、しばらく電話をかけられませんでした。その葛藤の間も、相手は待っていてくれました。
電話を繋いで、私がわかりやすく弱っていたので、相手は驚いていましたが、詮索せずにとりとめのない小話をしてくれました。そして、ただただ心細かった私は、一時間超もの間なにも話さずにそのまま電話を繋いでいてもらいました。
「ねえ」
二十二時になって、そろそろ寝なくてはいけないので、その前に少しだけ話そうと思い、声をかけました。
「どうしたの」
「なんの教科やってたの?」
電話しておいてなんだ。と思われるかも知れませんが、私たちは受験生なのです。
「数学。誠は?」
「漢文読んでた」
「漢文……」
「『凡天下禍簒怨恨、其所以起者、以不相愛生也。……(墨子『兼愛』より)』って感じ」
「なにもわからなかった」
「愛情がないとだめだよね~みたいな意味」
「えらくざっくりだね」
「詳しくいおうか?」
「いや、いいや」
塞ぎこんでしまったときに文章を読めただけで、かなりの前進で、いつもと違っていました。
「誠、声に元気がでてきたね」
「うん、息が吐けるようになってきた」
「今日はなにか嫌なことでもあったの?」
ずっと気になっていただろうに、元気がでるまで待っていてくれました。
「うーん、あったようななかったような」
「どっちなの」
相手が笑ったのにつられて、私も笑うことができました。それから、もう少しだけ話して「おやすみなさい」と電話を切りました。
心の底から、この人と付き合うことができてよかった。と思いました。
私にはもう頼る勇気があるし、相手には受け止める度量がありました。この関係が続いていくように、努力しなくては。そう決意しました。
この記事の題である『こだまでせうか』は、金子みすゞの『こだまでしょうか』からつけました。
今まで、挨拶してもかえってこなかったり、友達と軋轢が生じたときに謝ったら私だけ悪者にされたり。一人で消耗してしまっていました。
だからこそ、今回の話ではややわかりづらいかも知れませんが、相手と「おはよう」とか「またね」とか「ありがとう」とか「ごめんね」とか。
いろいろな場面のさまざまな言葉を、もらってかえして、あたえてうけっとって。そのやりとりの一つ一つがとてもあたたかくて、きらきらと輝いているのを忘れたくなくてこの題にしたのです。
最後に、見出しの素敵なお写真はUyenoさんからお借りした『2003年の写真』より「金子みすゞの書斎」です。ありがとうございました。