【短編小説】クリスマス会議~ついに12月がやってきた!クリスマスの料理といえば…!?~

 
 外で息を吐くと白く、厚手の上着、マフラー、手袋を身に着ける。冬となったこの季節には大きなイベントがある。それは―――

 円卓の席に4人の人物が真剣な面持ちで着席していた。

 「これより、クリスマスで食べる食事を決定する会議を実施する!派手にしたいがこの物価高の中、我々には"金"がない!選ぶメニューはチキン、ピザ、ケーキの中から1品のみだ!」

 議長は小さなハンマーをカンカンッと叩くと会議は始まる。

 「やはりクリスマスといったらチキン!あの複雑なハーブでカリっと揚げたフライドチキン…あれ以外に何を食べるのでしょう!」

 フライドチキンの魅力を言い伝えると眼鏡をクイッとあげ、ニヤッとする。

 「フライドチキンの意見は説得があります。しかし!クリスマスで食べるピザこそ格別なのは間違いありませぬ!ピザ一択です!」

 フライドチキンはピザの意見を聞きグヌッ…と怯む。

 「2人のおっしゃる事はよ~く分かります。しかし、特別メニューと言ったらケーキ以外に何があるのでしょうか!?プレートにはちゃ~んと『Merry Christmas』と書かれているのですぞ!?クリスマスだからこそ販売されているのであります!」

 ケーキの圧倒的な説得力にフライドチキンとピザは同時に怯む。だが、めげずにフライドチキンは席から急に立ち上がる。

 「そ、それなら!フライドチキン店もクリスマスにしか無い特別なセットメニューがあります!ピザこそ無いに等しいでしょう!」

 ピザに向い大声を出すフライドチキン。ピザは顔を俯け一見からすると負けた…と誰もが思うがクックック…と小さな声で不気味に笑い顔をあげる。

 「ふふ…。私目が新たな情報を入手致しました。このチラシをご覧ください!クリスマス限定のメニューです!」

 ピザは席から立ち上がりチラシをバァン!と叩く。そして、前へ突き出し全員に見せる。メニューの内容はクリスマス限定ピザ!と大々的に文字が強調されていた。

 「ケーキが無いクリスマスなんてもはやクリスマスでは無いのですよ…。プレートに『Merry Christmas』と書かれているケーキこそがクリスマスなのです!チキンもピザもいつでも食べられますぞ!」

 フライドチキンとピザは机を両手でバンッ!と勢いよく叩く。

 「チキンが無いクリスマスこそクリスマスではありませぬ!フライドチキンこそが一番!」

 「クリスマスに食べるピザこそが格別なのです!ピザ一択ですぞ!」

 フライドチキンとピザが大声で叫ぶとケーキは頭を抱える。

 「あ~~~!ケーキだけじゃなく物価高かつ金欠で無ければ全て購入できるのにー!」
 「ケーキ殿!全くそうであります!チキンだけではクリスマスとは言えませぬ…いつもやせ細り何と寂しい財布!!」
 「ケーキ殿~~!チキン殿~~!私もピザだけでは無くやはり全て揃ってこそ『クリスマス』なのですぞ~~!物価高のバッカヤローー!給料を上げろー!」

 カンッカンッ!

 「皆の意見は分かった。クリスマスで食べる物は―――」

 議長は決定を言い出し会議は幕を閉じる。

 「チキンが半額~~!お?ピザも!…あっ!あっちにケーキが半額で!半額なら全部買っちゃおう!」

 12月25日の夜8時。金欠の女性は大型スーパーで半額になったチキン、ピザ、ケーキを購入する。女性の脳内に以前、クリスマス最後の夜は売れ残った物が半額になると記憶が残っていた。議長は半額ならば全て購入出来て解決と判断した。

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