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聴こえの障がいと補聴器・人工内耳入門

昨年度、人工内耳の手術を受けた3歳の男児の担任をしていた。

生まれながらに聴覚がほぼなく
体の成長を待って手術を受けた男児。

聴覚の取得は手術を受けたあと
同じ年齢の児と比べると1年半の遅れがある。

言語の取得も1年半遅れ。
そのことで、クラスの他の児と比べると成長はかなりゆっくり。

でも彼はとても優しくて
クラスの人気者だった。

機械は体に入っているものの
外側の機械を装着しなければ聴覚は繋がらない。

時々彼は自ら機械を外して
無音の世界に閉じこもっていた。

高価な機械を投げつけるから担任としてはヒヤヒヤ。

でもある時から
機械を外すことを嫌がるようになった。

ずっと聴いていたい
そういう心の変化だったのだと思う。

彼が思うようにした。
でも、無理矢理機械を外そうとする大人もいた。

なぜ今外さなければいけないかを
きちんと説明すると納得して渡してくれる。
強引に外そうとすれば怒って暴力を振るうこともあった。

クラスの友だちは絶対に無理矢理外さない。
担任も無理矢理は外さない。

プール遊びをするから
防水カバーをつけなければいけないから
一回外して渡してね
そう伝えると納得して渡してくれた。

機械のゴムが切れちゃったから
ママにお願いしなくちゃいけないから
ちょっとだけ預かってもいい?
ちゃんと説明してお願いすると渡してくれた。

自ら無音の世界に閉じこもりたい時は自分で外す。

どうしても外さなければいけない理由があれば
説明を受けた上で納得したら渡してくれる。

なぜこれが必要で
これがなくなると無音になるか
それを彼がきちんと理解したのは4歳の誕生日を過ぎたあたりだった。

1年半のハンデを彼はたった半年ほどでリカバリーした。
すごいことだと思う。

なんとなく理解して
療育の方と納得するまで話し合い
がむしゃらに彼に向き合った1年間。

この本を当時の私が読んでいたら
もっと彼のことを理解できたと思う。
子どもの育ちに関わる全ての大人に全力でおすすめしたい。

保育士、幼稚園教諭。
我が子のクラスに難聴児がいるというパパやママ。
ぜひ手に取っていただきたいです。

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