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#詩 2023年4月③


桜ひらひら
みうしない
燕ぱたぱた
駅のとたん
春つづき

#五行歌

2023年4月16日



「あかいろひいろ」



やさしくリセットしましょう
繊維は断ち切らないように

もらった絵の具の数が少ないなら
パレットに溶かして混ぜまぜして

血液よりもずっとはやく流して
酸素供給間に合っているから

たまに脳髄をはみ出して
お空をぐるりと一周して

還ってくる引き連れて
明色 喜色 哀色 悲色

2023年4月17日



「シャングリラ探して」



今日も旅するノートのなか
ケイ線の隙間をときに無視したり

どんどんずんずん進んでく
つらつらすらすらぐだぐだと

白紙でも方眼紙でも原稿用紙でも
スマホパソコンタブレット ござれ

はあーっと息をはく曇りガラス
下手くそな文字 小指球で消して

行き先なんてわかんないシャングリラ
探して

2023年4月18日



「藤の袴」



蘭とは隠しきれない
芳しさ
綴じ込めて

躊躇いがちな
あなたは
藤の袴を身に纏い

幸いを諦めた秋の夕暮れ
夜に溶け息も絶え
人知れず失せていく肢体

思い出とは何かと問うことも無く
果つる薄紫
澄み渡り

ただ香りだけを残して
薫ずる


2023年4月19日



「あなたの素顔」



マスクは外したはずなのに
あなたの素顔がみつかんない

満面の笑みを浮かべているはずなのに
あなたの素顔は行方不明

喉の奧は枯れ果てた
表情筋と口角たちのストライキ

仮面のすき間からのぞかせる
もはや視線だけを頼りに

懸命にただ懸命に届けようと
ありがとうと声なき声を

笑顔聞こえて

2023年4月20日



「おかあさん」


駅の改札前
視線が突き刺さる
まるでドラマみたい

泣きじゃくったあなたを介抱する
酔いつぶれたあなたと街を歩む

あなたの死にたいをきいて
私は怒りながら少し安心する

もっとどうしようもない
死にたいがあったから

背中をさすり指で髪をとく
そばにいることしかできないから

2023年4月21日



「あなたに逢えない週末」



あなたに逢えない週末は
世界に私しかいなくなってしまうから

あなたは月で太陽で、ひかり
水の底まできらめきは刺しこんで

あなたが笑うたびに引力
私の中の不純物を解き放ってくれる

あなたのいない14日間長いよ
あと何度生まれては死んでを繰り返すんだろう私

あなたに逢えない週末
寂しい

2023年4月22日


#詩

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