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台湾のなんでやねん

◆なんでやねん
 『ツッコミ』と聞いて多くの人が連想するであろう言葉『なんでやねん』。動きにも発言にも使える万能な言葉ですが、実は中国語には『なんでやねんは』ないんです。
 まさにこの便利さこそが日本語の特徴なんだと思います。便利なツッコミ『なんでやねん』ですが、実は『誰に』言っていて『何』に対しての疑問なのか全く明確ではないんです。この曖昧さがあるからこそいろんな場面で使えるんですが、ここに言語の違いが出てきます。例えば英語でも「I am Ota」のように『私は』が必要になりますが、日本語で「私は太田です」なんて自己紹介しないですよね。中国語でも主語と動詞が必須になります。なので『なんでやねん』と言いたい状況だと「お前何言ってんだよ」や「お前何してんだよ」と対象と事柄を明確にしなくてはいけなくなります。
 こう言った言葉の違いから、日本語だと簡潔に言えることが中国語だと長くなったりなんか固い言い方になったりするので結構気を付けないといけません。

◆ツッコミって何?
 言語の違いを説明しましたが実はもっと根本的な問題があり、それが『ツッコミ文化が無い』と言うことです。なので以前も書いたように人によっては僕が冗談を言ってる相方に怒ってるように感じたり話の妨害をしてる人に映ったりします。更に日本のようにどんな言葉でも言い方やタイミングでツッコミになると言うことはなく、ちゃんとツッコんでると思ってもらえるような言葉にしないといけないんです。
 例えば日本なら「多いな」、「遅いな」でツッコミになりますが中国語だとこれはただの感想になってしまいます。なので「多過ぎるよ」、「遅過ぎるよ」とこの「過ぎる」という言葉を足して常識とのずれを分かりやすく言わないといけません。なので毎回この言葉がツッコミだと思ってもらえるかを確認したりツッコミだと思ってもらえる新たな言い方を考えたりと、ツッコミの言葉を発明している気分になります。
 最初のころは正直一人で孤独にやっていて精神的にきつい作業でしたが、今では漫才をやる台湾人も増えいろんなツッコミの人に相談出来るようになったので、以前よりかなり楽しく出来ています。

 最近はツッコミになるフレーズではなくとも言い方でツッコミになるかもと試したりして台湾来た頃からは想像できない感じで楽しくやれていて周りの芸人やお客さんに感謝です。
それでも漫才をよく見る人と漫才を知らない人との認識レベルの差は絶望するほどに大きいので、これからも『ツッコミがない文化』と言うものと向き合っていきたいと思います。 

 今回はツッコミの言葉について書いたので、次回はどうやってツッコミの言い方を練習したのかや気を付けないといけないことについて書きたいと思います。

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