【書評】二級市民の中の、マイノリティの世界 〜 『ポラリスが降り注ぐ夜』
新宿二丁目=ゲイの街というイメージが、いまだに更新されていなかった自分に気づかされ、はっとした。2024年はまだ始まったばかりであるが、私が今年最も衝撃を受けた一冊になりそうな予感の『ポラリスが降り注ぐ夜』(李琴峰著・ちくま文庫・2020年初版)。物語の舞台は新宿二丁目のバー「ポラリス」。そこは “女性”が安心してありのままの自分をさらけ出せる場所である。戸籍上の性別が男性でも、店長の夏子の言葉を借りるなら<男性としての特権を放棄し、二級市民になることを心から願っているなら>