岡野昭仁 『Walkin' with a song』感想
昭仁さん初のソロアルバム『Walkin' with a song』聴きました。正直ここまで感情を揺さぶられるとは思いませんでした。良すぎて戸惑ったもん、もはや。全曲好き。
感想綴っていきますね。
1.インスタント (作詞・作曲・編曲:n-buna)
昭仁さんがソロの配信ライブでヨルシカの『だから僕は音楽をやめた』を歌っていましたよね。あれは本当に意外だったし、音楽のベテランの昭仁さんが歌うことで生々しさが色濃く出ていてめちゃくちゃ衝撃的だった。
それにn-bunaさんといえば、『夜明けと蛍』『透明エレジー』『ウミユリ海底譚』などなどの私の青春を彩ったボカロ曲を作られた方なので、今回のアルバムの特に楽しみな一曲でした。
AメロBメロ、低音でポツポツと噛み締めるように歌っていく昭仁さんの声を心地よく聴いていたら、サビの「夏の風ぇーーー!!」で吹っ飛んだ。どっひゅーーんって。本当に聴いててめっちゃ気持ちいいサビ!なんて伸びやか声なんだ。
よく晴れた日の海辺を走っているような圧倒的な清涼感。「海が綺麗」「故郷の空」などなどのキーワードも島で育った昭仁さんを連想させるようで、一曲目を飾るのに相応しい曲だと思う。
本当に綺麗なんだ こっちの台詞だよ。
2.ハイファイ浪漫 (作詞・作曲:Eve 編曲:Numa)
Eveさん、私的には『ドラマツルギー』の印象が強い。n-bunaさんと同じく、青春を彩ったアーティストの一人です。
そんなボカロ世代には刺さりまくるであろう曲。というか、ここまで高低差ぎゅんぎゅんで、二転も三転もする曲をアラフィフにして歌いこなしちゃう昭仁さんこそがボカロみたいな存在なんだけれど。
貴重なラップまで聞けちゃう!『INNERVISIONS』と『ミュージック・アワー』のラップ大好きだった私、テンション爆上がりでした。もっとポルノでもラップやろう!?
「夢のまにまに」の「にっ↑」ってところは、今まで聴いたことのなかった昭仁さんがそこに居て頭ん中バグった。まさに岡野昭仁の新境地!
3.Shaft of Light (作詞・作曲・編曲:辻村有紀)
ディスパッチャーズの動画で、最終調整を終えてこの曲を聴き終わった昭仁さんと辻村さんが「かっこいいぃぃ…!」と声を合わせて呟く、そんな場面があるんだけど、まじでそうなるの!!聴き終わったら。
深海に潜っていくような不思議な浮遊感のある、とにかく幻想的な曲。囁くような声も、ハモリも、ため息も……本当に色んな声、声、声で構成されていて、そんな声たちにも負けず、むしろ輝きを放つ昭仁さんの声の神々しさよ!(時々微かに聞こえてくる辻村さんの歌声も非常にいい)
後半で昭仁さんのフェイクをたっぷり堪能できるのが嬉しい。
4.指針 (作詞・作曲:柳沢亮太 編曲:トオミヨウ)
以前からSUPER BRAVERの曲は昭仁さんと通ずるものがある、と感じていました。配信ライブの『人として』のカバーも曲のメッセージ性と昭仁さんの歌声・人柄が最高にマッチしていて素晴らしかったけど、そんな柳沢さんの詩が昭仁さんのために提供されるわけで!!絶対に合わないわけがない、と期待しかなくて。
ディスパッチャーズに出演した時にこう仰られていた柳沢さん。
「歳を重ねたからこそ思える感覚みたいなのを歌っていただくのを聴きたい」
「そこはかとなく漏れてくる優しさ、大きさみたいなものが自分なりに表現できたら」
柳沢さんに大拍手送りたいです。本当に指針の歌詞は、歳を重ねた昭仁さんが歌うからこその説得力と、”漏れてくる優しさ”を素晴らしく表現している!
曲の始まりはゆったりとお散歩してるみたいに穏やかな感じだけど、サビ近くでガラリとドラマチックな雰囲気に変わって、強く訴えかけるような昭仁さんの声に胸を打たれます。そして最後また穏やかな感じで終わっていくのも好きだなぁ。
5.芽吹け (作詞・作曲:小原綾斗 編曲:小西遼、小原綾斗)
このCDを聴くにあたって 先に歌詞カードを読んでいたのですが、歌詞の印象と実際の曲の印象に一番ギャップのあった曲かも。イントロ流れた瞬間本当にびっくりした。
全体的にゴージャスで、おもちゃ箱をひっくり返したような、パレードが開幕したような。童心を思い出させるような何かがあるようで……うーん不思議な曲だ。
昭仁さんのファルセットがこれでもかってくらい多用されていて、昭仁さん自身はファルセット苦手らしいけど、もうすごく美しいのよ。特に2番サビ最後の「牧歌的で持っておくれ」の「れーーー」はもう神よ。今のとこ、多分一番リピしてる曲です。
6.光あれ (作詞:n-buna 作曲・編曲:澤野弘之)
『Shaft of Light』と『その先の光へ』もそうなんだけど、そっか、リリースされてもう2年も経つのか……としみじみ。
この曲、正直このアルバム出るまで、あまり聴いていなかったです。インパクトを欲していた当時の私には、どことなく王道な感じのするこの曲は何か物足りないなと感じていて。
でも、今回このアルバムを聴いて、良さに気づくことができたなって思います。通して聴いてると、この曲がくるまで結構変化球というか、昭仁さんチャレンジしてるなーって曲が続くんですよね。でも、この『光あれ』の昭仁さんの歌声は「そうそう!!これ!!昭仁さん!!」って叫びたくなるような、しっくりくる感じがある。
TVアニメ『七つの大罪』のオープニングテーマだったこともあって、罪というワードが随所に散りばめられているのも印象的。特に 今、貴方と過ごした時間が僕の罪になる というフレーズ、一体どうやったらこんな言葉が出てくるんだろう。
7.GLORY (作詞:市川喜康 作曲:山口寛雄 編曲:篤志)
ここまでの昭仁さん、ずっと青筋バリバリで歌ってる感が強かったので(笑)、この曲はここらで一息つこうぜって感じのゆったり感があって、聴いてていい感じに肩の力が抜けていきます。
都会へ出てきたばかりの昭仁さんを彷彿とさせる曲で、ちょっと懐メロっぽいニヒルな雰囲気がお洒落でいいな。『東京ディスティニー』が好きな私にはたまらんテイスト。
あの道の先 ただひとつ 確かなGLORY のメロディがすごく好きです。つい口ずさんでしまう。
8.その先の光へ (作詞:スガシカオ 作曲・編曲:澤野弘之 )
『GLORY』からの流れがめちゃいい!!『GLORY』はネオン輝く夜更けの街並みってイメージだけど、『その先の光へ』ではその街が朝焼けに輝いているのが見える。
この先昭仁さんがソロライブをするなら、ぜひ生で聴きたい曲だなぁ。最後の「Wow…」のとこを会場にいる人たちみんなで大合唱出来たらわたし胸熱で泣きます。
『光あれ』と同じく『七つの大罪』の主題歌で、こっちの作詞は昭仁さんの親戚のスガさんなんだけど、その罪さえ抱きしめて というフレーズが『光あれ』の 今、貴方と過ごした時間が僕の罪になる と繋がっている感じがしてまた胸熱。偶然なのかな。
9.MELODY(作詞・作曲:高木祥太 編曲:BREINEN)
この曲を初めて聴いた時の衝撃は忘れられない。ラジオで勝手にカラオケ祭りしちゃうくらいにずっとポルノに憧れていたKing Gnuの井口さんと、そんな彼の熱意と才能に動かされた昭仁さん……という、漫画みたいな超絶エモいコラボレーションなんだけど、そんな過程を知らない人達は「声が合うからコラボしたんじゃない?」って思うんじゃないかというくらいに、二人の声の相性が良すぎるんです。
引っかかりなく透き通った井口さんの声と、艶々していて一癖も二癖もある昭仁さんの声。対象的なのに、いや、対照的だからこそ、なのかな。二人の声が重なるところは、もはや一つの声なんじゃないかと錯覚してしまうほど。
そして何より、歌詞の良さ。「歌を抱えて、歩いていく」というコンセプトを一番はっきりと表現しているんじゃないかな。
特にラスサビの メロディ 愛しいかな 操られたのはキミもそう? の部分を昭仁さんが歌っているのがエモい!MVでは昭仁さんが井口さんに向かって指を指しながら歌っているので余計にエモい。
歌に操られた人と、そんな彼の歌を聴いてまた操られてしまった人。なんてタイトルの物語ですか、これ。
10.歌を抱えて (作詞・作曲:岡野昭仁 編曲:江口亮)
フラゲ日にTLでこの曲についてのツイを何度も見かけたので、これは相当心して聴かねばならない曲なのだろう…とドキドキしていました。
歌詞を見て、びっくりしました。もうほとんどお手紙じゃん、と。
亡くなったお父さんのことを歌った曲。ポルノグラフィティにも、ありましたよね。『デッサン#2 春光』__こっちは晴一さんの歌で、私も大好きな曲です。でも、この『歌を抱えて』は『デッサン#2』よりももっともっと具体的に、お父さんのことを歌っている。聴いてもいいのだろうか?と正直、戸惑うくらいに。
だけど最後まで通して聴くと、これは絶対に歌となって残るべき曲なんだ、と強く思いました。
思い出がひとりぼっちになってしまったよ と昭仁さんは歌っています。『歌を抱えて』で一番胸が締め付けられたフレーズでした。
食卓に並びきらないほどの魚料理。夕方のキャッチボール。空腹を凌いだあとのレストランのカレーライス。それらは昭仁さんと昭仁さんのお父さんの二人だけのもので、私たちには想像することしかできません。
それでも、こうして昭仁さんが歌にしてくれたから。形になって、これからもずっと残り続けるから。私たちの心にも、深く深く刻まれて……。昭仁さんの思い出は”ひとりぼっち”ではなくなるんじゃないかなって。見当違いかもしれないけど、そう思うんです。
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まじでお世辞なしに全曲好きなんだもん、びっくりだよな。ソロアルバムの持つ力とはなんなのか、を思い知らされたような気がしました。
各クリエイターさんたちが、それぞれが持つ昭仁さんのイメージだとか、昭仁さんへの願望だとかを曲にして、それを昭仁さんが高らかに歌い上げたんだからそりゃ満足感半端ないわけだ。
そして、最後の一曲も。一人だからこそできることって、こういうことだったんだね。
岡野昭仁に出逢えたことは、私の人生においてラッキーだったことの一つ。改めてそう思えさせてくれたこのアルバムに出会えて、本当に良かったです。
これからもこのアルバムを大切に抱えて、昭仁さんと一緒に歩いていけたらいいな。
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