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私の中の祖父

私が生まれたときから、祖父はいなかった。

母が3歳のとき、病気で命を落とした。戦争から帰ってすぐだった。

私の知る祖父は、軍服を着た写真の祖父だけだ。

でも、先日、実家に行って帰りがけに微笑んだら、母が

お父さんに似とる。

と言った。私の笑顔が似ているらしい。そう言っている母の顔は少し涙ぐんでいた。

母も物心つく前のふとした記憶しかない。

ひょいと手をつないでくれて、持ち上げられた記憶。

少ない記憶を何度も思い出して大切にしている。

私はそんな母にどうか幸せになってほしいと願っている。

それだけのために行動していると言ってもいい。

1番大切なのは家族。

それだけは、頭の中心部にある。

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