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中学受験算数あれこれ vol.2 割り算の工夫と分配法則の理解

中学受験算数では、基礎の計算を正確かつ素早く解かなくてはなりません。そのため、中学受験においては計算を工夫して解くことが求められたりします。

今回取り上げるのは、先に書いた記事『平均正答率73% 6年生 5月模試 基礎計算編』に書きもらしたことを書いていきます。

工夫する四則計算において、最も正答率が低かった問題が、下記の計算です。

5.76 ÷ 0.4 + 0.576 ÷ 0.06

先の記事でも書きましたが、工夫する四則計算は工夫しなくても筆算すれば問題なく解くことができる計算です。

この問題を生徒たちに解説している時に、不正解の理由として、単純な計算問題以外にも、間違えた工夫をしている可能性があることに気が付きました。

工夫すると下記のようになります。

 5.76 ÷ 0.4 + 0.576 ÷ 0.06
=(5.76 × 10) ÷ (0.4 × 10)+(0.576 × 100) ÷ (0.06 × 100)
=57.6 ÷ 4 + 57.6 ÷ 6

×10や×100をすることに首をかしげる子供たちもいたりしますが、小数の割り算をする際に小数点を動かすことと同じことをしているだけです。
割り算の場合、×10や×100をしても答えにずれは生じません。

ともあれ、ここまで式を書き進めた後、57.6でまとめて計算するとこんな形になります。

 57.6 ÷ (4 + 6)
=57.6 ÷ 10
=5.76

これは不正解になります。

この不正解の理由は、割り算が足し算や掛け算とは違い、分配法則が成り立たないためです。

分配法則とは、たとえば足し算で言うと、
3 × (2 + 4) = 3 × 2 + 3 × 4 が成り立つような法則です。

しかし、割り算ではこのような法則は成り立ちません。
例を挙げると、以下の計算を考えてみましょう。

10 ÷ 2 + 10 ÷ 5

これを計算すると、

5 + 2 = 7

しかし、割る数をまとめて計算しようとすると、

10 ÷ (2 + 5) = 10 ÷ 7

となり、答えは全く違うものになってしまいます。

このように、割り算では割られる数が等しくても、割る数をまとめて計算することはできないのです。
だから、正しく計算するためには、57.6 ÷ 4 と 57.6 ÷ 6 をそれぞれ計算してから、その後足し算する必要があります。

 57.6 ÷ 4 と 57.6 ÷ 6
=14.4 + 9.6
=24

答えは24なので、これで正解になります。

ここで注意が必要なことがあります。

それは、割る数が等しいときは、割られる数をまとめて計算することができるのです。

例えば、

12 ÷ 4 + 8 ÷ 4

この場合、割る数がどちらも4なので、割られる数をまとめて計算することができます。

 (12 + 8) ÷ 4
= 20 ÷ 4

答えは5になります。

改めて、割られる数が等しい場合と割る数が等しい場合について説明します。

割られる数が等しい場合:割られる数が等しいだけでは、割る数をまとめて計算することはできません。
例えば、先ほどの問題で説明したように、

10 ÷ 2 + 10 ÷ 5

この場合、割られる数がどちらも10ですが、割る数をまとめて計算することはできません。

割る数が等しい場合:割る数が等しい場合には、割られる数をまとめて計算することができます。
上記で示した例のように、

12 ÷ 4 + 8 ÷ 4

割る数がどちらも4なので、割られる数をまとめて計算することができます。

 (12 + 8) ÷ 4
= 20 ÷ 4

答えは5になります。

このように、割られる数や割る数が等しい場合にどのように計算ができるかを理解することが重要です。

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