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島本の葉っぱ

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習作の小片。 500字~1,000字程度のもので、シーンの切り取りのようなもの。
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2024年7月の記事一覧

(短編小説)「開演!」 1,200字

 館内に本ベルが鳴り響くその舞台袖では円陣が組まれていた。間もなく、一美の所属しているア…

島本葉
2週間前
21

かき氷(掌編小説)【シロクマ文芸部】約800字

「かき氷、食べるか?」  梅雨が明けてぐっと暑さが増した。外に出るのも少し躊躇してしまう…

島本葉
3週間前
19

(短編小説)絵本『ラクダのネクタイ』 約3,000字

1.指輪を貴女に 「だめだ、緊張してきた」  待ち合わせの時間までもう少し。わかっているの…

島本葉
3週間前
8

(掌編小説)「白線渡り」1,000字

「今落ちただろ!」 「アイスの棒踏んでるからセーフだよっ!」 「ずっりぃ!」  いつものよ…

島本葉
3週間前
24

スイカ(掌編)【シロクマ文芸部】約2,100字

 海の日を境に暑さがぐっと増した気がする。  あまり冷房の効かない下宿にいるよりはと、徒…

島本葉
3週間前
14

夏の共犯(掌編)【シロクマ文芸部】約1,100字

 夏は夜中に目を覚ましてしまうことが多い。冷房を入れようか、窓を少し開けて夜風で凌ごうか…

島本葉
1か月前
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水曜日のひとつ結び(掌編 約1,300字)

水曜日のひとつ結び「おはよう、結愛《ゆあ》ちゃん」  松原先生はとても優しくて大好きな先生だ。園バスを降りるといつも下駄箱のところで立っていてくれて挨拶をする。  ──今日も髪型かわいいね。  その言葉を待ってみるけど、先生はもう次のお友達に挨拶をしていた。  よくわたしの髪型を褒めてくれる松原先生だけど、やっぱり水曜日はそのことに触れてくれないのだった。  ※  わたしの家は水曜日の朝が一番忙しい。  理由はママがいないからだ。看護師をしているママは、火曜日の夕方