怪談5「水害の後に・・・」
私の実家がある田舎の地域は、当時、ひどい水害に巻き込まれ、私の実家の8件となりからその地域一体、ずらり家が倒壊した。
私の実家も危なかったのですが、そのときは、たまたま流れてきた大木が家にひっかかり、その大木が防波堤のような役割をして大きな損害は免れ、床下浸水までで収まりました。
その時は、私の実家の地域と、そこからすこし離れた地域の二か所で水害が起こりました。
そのもう一つの地域も、いくつも家が流されたりしました。
当然、何人も亡くなっています。
印象に残っている話は、当時の職場の受付にいたおばさんの家が流されるとき、隣の家の一人暮らしのおじいさんの手を引っ張って、急いで逃げようとしたが、水流が激しく、手が離れ、おじいさんは流されてしまい、後日遺体で発見された話と、私の実家近くで、流された家のおばさんが泥の中で逆さまに埋まり、足だけ泥から出た状態でなくなっていた話です。
それ以外のところにも死者がある程度でました。
水害が終わり、ほどほど片付けた終わった後から、その二か所の地域で幽霊騒ぎが起きます。
その噂は当時、けっこうな広がりを見せ、私の当時の職場のパートのおばさんなども「18時以降に帰りたくない、幽霊が出る」なんて皆おびえていました。
当時は霊感なども無いひとでも、その地域で多く幽霊の目撃例があり、本当にみなおびえていました。
そんなある日ですが、霊感MAXの母親を隣に乗せて、夜遅く、その地域の道路を通った時でした。
田舎なので、街頭なんてたいしてありませんから、車のライトだけなのですが、その程度では足りないくらい視界の悪い場所です。
車を進めていると、突然、自転車が横から飛び出しました。
「うわ!」と叫んで、急ブレーキを踏む。
タイヤの滑る音が聞こえ、なんとか停まりましたが、見渡すと自転車なんてありません。
そもそも、その地域は横道もない一本道で、民家はすべて水害で流れていきましたので、家もない。
ましてや、もうそこから先は山で本当にそんな夜中に自転車が飛び出るようなことがあるわけもない。
「あれ?」と私が口に出すと母が「あ~、このあたりは「出る」よ~今、急にみんな亡くなったからね~あんまり死んだこと認識してないみたいだね~」と言っていました。
母には、その自転車がはっきりと見え、亡くなった方だと認識できているようでした。
今でも、時々、その二つの地域では幽霊の目撃談が出てきます。
まさか、いきなりそんな水害が起こるとは思ってもみませんでしたが、後から聞いた話、その二つの地域は昔から「水害が起きるから家は建てちゃだめ」と噂されていたそうです。
でも、地名などからは、そんなことがわかるようなヒントもありません。
地名だけではなく、その土地の情報なんかも調べないと危ないんだなと当時思いました。
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