怪談25「逆さまの女性」
これは母親の話で、まだ母親が大学生の時の話です。
その日はちょっと用事があり、地元のある劇場に出かけていました。
そして用事を済ませ帰る時のことです。
母親が劇場から出ようとすると、晴れていたのに急に激しい雨が降りだしました。
もう超、天気の良い日だったため、傘も持ってきていない。
でも、空は晴れているわけですからちょっと待てば雨は止むだろうと思い、劇場に入ると、雨は止みました。
「やっぱりね~♪」と思って外に出ようとしたわけですが、またそのタイミングで雨が降る。
「はぁ?」とちょっとイラつきながら劇場に戻りました。
そうするとまた雨が止む。
これを数回繰り返したところで「ん?」と思ったそうです。
実は最初に劇場から出ようとしたときは、劇場にも外にも人がけっこう居たらしいのですが、今、気が付いたら誰もいない。
まるで、世界に自分だけしか存在していないような状態。
ちょっと気味が悪くなったのですが、とりあえず劇場の奥に入れば人もいるだろうと戻ってみる。
劇場を出ようとした時はまだ人がけっこう居たのですが、改めて探してみると、誰もいなかったそうです。
受付にも、どこにも・・・。
つまり「無人」なわけです。
ここで「あ、なんか変な事になってる・・・」と思ったらしく、もう雨にぬれてもいいので劇場から出ようと考えたそうです。
劇場の入口に戻ると外は相変わらずの晴れ。
そして劇場から出ようとすると、また晴れているのに激しい雨が降り出しました。
しかし、とりあえずこの場から「逃げる」ことを決めていたため、ズブ濡れになりながら劇場を出たそうです。
そしてその劇場の前にある信号まで走る。
傘があるわけではないので、とりあえず持っていたカバンを頭の上にして信号が変わるのを待とうとしました。
その時、初めて気が付いたそうです。
その信号機の上に「女性」がサバ折りになって逆さまになっていることに・・・。
雨が激しく降っているのに、その女性だけはハッキリ見えたそうです。
しかも血だらけ。
年齢も自分に近い感じの女性だったそうです。
そして目が合った。
「ひえぇ」となったそうですが、信号が青になったので、それ以上見ないようにして、走り抜けたそうです。
信号を抜けたところで、雨が急に止み、そして今までいなかった人々が急に現れたそうです。
そして振り向いて信号機を見るも、その女性はもう見えなかったそうです。
という話なわけですが、これを聞かされた後、数年経ったころに面白いものを発見しました。
それは地元のある情報誌で、毎年夏になると「怪談」コーナーが設けられる雑誌です。
その情報誌の怪談コーナーを読んでいると、こういった話の内容が書かれていました。
「地元の某劇場の前の信号機に血まみれの女性が逆さまになってひっかかってる」というもの。
まさに、母が体験した話の女性と場所も見た目も一致するわけです。
ということは、もう数十年もそこに引っ掛かってるわけですが、そもそもそのあたりでそういったものが出るようになるきっかけになりそうな事故はないわけです。
はたして、そこに血まみれで引っ掛かってる女性はいったいどこからやってきて、どうして引っ掛かってるのか?疑問の残るお話です。
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※余談ですが、おったんはこの日本刀傘と同じものを持ってます(; ・`д・´)。
これ、握る部分が日本刀っぽくなっていて、太くて、かなり安定性があり、重宝しています。
かなりオススメ(そのかわり、恥ずかしくない方のみ)。
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