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神様のアルファベット

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高校生の大翔と陽菜は、ある日偶然から、自宅近くに知らない神社があるのを見つけた。 ほとんど存在を忘れられ荒れ放題になったその神社には、一風変わった身なりと権能の神様がいた・・・。
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#小説

第22話 RSA暗号をひねり出す

 それは、昨日の朝のこと。  新しい絵馬をたずさえ、塵劫神社へ行くべく部屋を出ようとした…

ききゅう
6日前

第21話 法律家から“数学のサイクロプス”へ

「“おいら”?」 「花魁とはちゃうで?」 「ああ・・・、そうじゃなくて・・・。」  陽菜が…

ききゅう
13日前

第20話 回るあまりと循環するシャッフル

「とりあえず、ここまでをおさらいしとこか。」  高木がホワイトボードをいったんぜんぶ消し…

ききゅう
2週間前
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第19話 数字をシャッフルする

「なるほど。その“リフルシャッフル暗号”とやら、公開鍵暗号だけやなくて、RSA暗号のたとえ…

ききゅう
3週間前
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第18話 トランプで実装する公開鍵暗号

「ほな、行きますよぉ。」  陽菜はトランプの山を構えて、指をずらした。左右$${26}$$枚ずつ…

ききゅう
1か月前
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第17話 そもそも暗号って何かわかってる?

「千坂、ようこそ文芸部へ! 君も晴れて、文芸部の部員や!!」 「残念ながら、帰宅部を辞め…

ききゅう
1か月前
3

第16話 未明の怪異

 深夜。  塵劫神社の境内を懐中電灯の灯りが照らし出した。  境内の入り口の左端。真夜中だというのに、その人物は野球帽を目深に被っていた。  野球帽の人物は参道からすぐに離れ、絵馬殿へまっすぐ向かう。  懐中電灯をすこし持ち上げると、下から2段目の同じ吊り金具に3枚、絵馬がかけられている。もっとも手前にかけられた絵馬には、新しい謎かけが書かれていた。 次の数を素因数分解せよ $${432652837}$$ 「・・・・・・。」  野球帽の人物がそれを見つめていると、背後から

第15話 法律家のたしなみ 後編

「フェルマー? フェルマーって、たしか・・・。」 「昨日も名前出て来たえ。“フェルマーの…

ききゅう
2か月前
3

第14話 法律家のたしなみ 前編

「素因数分解?」  陽菜が小首をかしげた。 「おう。ネットで調べてみたらな、素因数分解って…

ききゅう
2か月前
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第13話 見果てぬ夢

 視界のすぐ下を、地面が目にも止まらない速さで後ろへ流れる。四つん這いのまま全力疾走でも…

ききゅう
3か月前
3

第12話 数学が嫌いになった理由

 大翔は自室の机に向かい、腕組みをして考え込んでいた。  机の奥の方には、お菓子棚からと…

ききゅう
3か月前
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第11話 くり返すあまり

「そうや、思い出した! あまりはくり返すねん!」 「うん? どういうこと?」 「見てみぃ!…

ききゅう
3か月前
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第10話 情報を活かせるかどうかは工夫次第?

 叔父の豪との電話を終えた後、大翔は筆記用具をカバンに入れ、塵劫神社へ向かった。  家か…

ききゅう
3か月前
3

第9話 戦国武将とトランプと暗号と

「え、暗号?」 「おう。RSA暗号、言うてな。インターネットのセキュリティを支える大事な技術や。」 「え、マジで?? どういうこと?」 「なんやお前、暗号に興味あるのんか?」 「うん、ちょっと。」  大翔が最初に“暗号”という言葉と概念を知ったのは、幼い頃に見た何かの映画だった。タイトルはまったく覚えていないが、ニヒルなスパイが活躍するストーリーで、クライマックスで暗号を解読するシーンが出てきたのだ。敵国の警察の気配を感じながら、それまでに集めた情報をつなぎ合わせて、みごと