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ナラッキーに行った

歌舞伎町という湿った街の奥にある、古びた茶色い建物、玉城ビル。もともとはキャバレーやらカラオケやらで栄えていた廃墟らしい。

ここにきたのは、chim↑pomさん主催のイベント「ナラッキー」に来るため。歌舞伎町の廃墟でやる、奈落がテーマのイベント!?なんだそれぜったいおもしろい。好奇心だけでふらっと歌舞伎町へ。

ビルとビルの隙間に入って、ここが入り口。
開けるのに勇気いるよう…


なんだかお化け屋敷に入るような緊張感で、ぎぃっと扉を開けて、中へ。前日に雨が降っていたこともあるけれど、なんだかそれだけじゃない湿っぽさと、重い空気。不思議な重力を感じながら進むと、でた!奈落だ!

30年間閉鎖されていた吹き抜けらしい。
上に乗るとギシギシ…

ここの吹き抜けの下から、サーチライトで新宿の空を照らしている今回の作品。今にも解体しそうなその建物をまっすぐと通る、「背骨」のような存在だった。

この奈落でパフォーマンスがあったようで、その時の映像が流れていた。特に素敵だったのがアオイヤマダさんのヌードの写真。

若い生命体としてのアオイヤマダさん。つやつや、はりはりしている。そして柔らかくて曲線美が美しい。その背景には廃れた、直線的な、息をしていない建物。その対比がなんとも不思議で、お互いを引き立てていて素敵だった。

つやつや、はりはり

いちばん攻めてるな〜と思ったのは、ドクターフィッシュの展示。ドクターフィッシュに皮膚を食べてもらう場所があり、そのドクターフィッシュたちは1階のレストランのメニューとして出るらしい(!)食う、食われる関係、らしいです。やばぁ。

さすがに食えない

展示の不思議さとか、照明とか、作品が作り出す雰囲気はもちろんあるけど、なんだかそれだけではない不思議な重たさのあるビルだった。

何人がここで酒に溺れて、ただ欲望のままに過ごして、キラキラした夜と引き換えに地獄の朝を迎えたんだろうな。なんだかここで過ごしたひとたちの汗も、涙も、吐瀉物も、魂まで全部全部染みついたような、湿っぽーい匂いの建物でした。

だからこそパフォーマンスが輝いて、このイベントがあるから玉城ビルの存在感が引き立って。不思議で素敵なイベントでした、ナラッキー。

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