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「もしドラ」を読んでみた!

 岩崎夏海著「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」、通称「もしドラ」。
本書は2009年に発売された小説で、アニメ化、漫画化、映画化もされています。経営学者のピーター・F・ドラッガーが発明した『マネジメント』の入門書として親しまれており、発行部数はなんと300万部超え!凄いですね。

皆さんは「もしドラ」を知っていましたか?
お恥ずかしながら、私は知りませんでした・・・。
店頭に並んでいても、絶対に手に取らないであろう表紙のイラスト。
今回は会社の研修で読む機会がありましたので、感想を投稿します。
興味のある方はお付き合い下さい。

 舞台は都立高校の弱小野球部。主人公の女子マネージャーが、ピーター・F・ドラッガーの『マネジメント』を実践して甲子園出場を果たす物語。
ストーリーは、正直面白くありません。それは次の理由から。
・高校2年生の7月中旬にマネージャーとなり、僅か8ヶ月で甲子園出場
・『ノーバント・ノーボール作戦』というイノベーション
・読者に泣いてほしいがためだけの親友の死
・主人公の野球嫌いの設定と、ラストのひと悶着
・バントをしない戦法だったのに、決勝戦でバントした
唯一感動したシーンは、打席で相手を油断させる戦法。一球目に打てないと思わせるくらい大きな空振りをして、二球目に打ち返すというもの。決勝戦で実践し、『逆転さよなら』となったシーンです。戦法がすごい訳ではありません。過去に主人公が実践しており、その時の会話が伏線となっています。その会話を読んだときは、思わずうるっときてしまいました。

ストーリーは残念でしたが、『マネジメント』を理解するための入門書としては、参考となる小説でした。
ではどの辺りが参考となったのか、2つ挙げてみます。

 人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。人は弱い。悲しいほどに弱い。問題を起こす。手続きや雑事を必要とする。人とは、費用であり、脅威である。
 しかし人は、これらのことのゆえに雇われるのではない。人が雇われるのは、強みのゆえであり能力のゆえである。組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある。

岩崎夏海著「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」P120~121

本書では、全ての登場人物が弱みを抱えています。
しかし、弱みを克服することなく、強みを伸ばすことにのみ注力して、みんな結果を出しています。
今までの私の考え方は、一番に弱みへフォーカスを当てていました。克服方法を模索し、作業レベルを均等化することが重要だと考えていたからです。
強みを伸ばすことは二の次でした。出来ていることよりも、出来ないことを出来るようにして、初めて次のステップへ進めるものだと考えていました。
弱みを無視することは出来ません。しかし、強みを伸ばすことの方が生産的で成長に繋がるということを、本書を通して学ぶことが出来ました。

 企業の第一の機能としてのマーケティングは、今日あまりにも多くの企業で行われていない。言葉だけに終っている。
 消費者運動がこのことを示している。消費者運動が企業に要求しているものこそ、まさにマーケティングである。それは企業に対し、顧客の要求、現実、価値からスタートせよと要求する。企業の目的は欲求の満足であると定義せよと要求する。収入の基盤を顧客への貢献に置けと要求する。マーケ
ティングが長い間説かれてきたにもかかわらず、消費者運動が強力な大衆運動として出てきたということは、結局のところ、マーケティングが実践されてこなかったということである。消費者運動はマーケティングにとって恥である。

岩崎夏海著「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」P124

本書では、部員たちが練習をサボることを『消費者運動』だとしています。ボイコットをすることで改善を求めていると解釈し、魅力的な練習メニューを作成。これが見事に成功し、部員たちは参加するどころか、練習にのめり込むようになりました。
サボることを『消費者運動』に例えられており、「なるほど」と思いました。やらない人、意見を言わない人など、その人に問題があると決め付けてしまいがちです。しかし本書を読んで、考え方を改めました。その人に全ての問題がある訳ではありません。管理者のマーケティング不足により、やる気の出る、意見が言いたくなる環境にしていないことの方が問題だったのです。勿論、全ての人に当てはまるとは思いませんが、これからは考え方を変えて、問題に対処していきたいと思います。

 他にも「マネージャーに必要な資質である真摯さ」や「マーケティング」、「イノベーション」と考えさせられるところはありました。
私の理解力不足なところもありますが、どこか無理やり感があり、感銘を受けるまでには至りませんでした。また何度か読み直すと、違った理解があるかもしれませんので、またチャレンジしてみたいと思います。

長文となりましたが、最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。


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