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4.日本語教員試験(施行試験)

ご存じでしたか?
実は現在、日本語教師になるために免許ってないんですよ~。

まあ、まともな日本語学校とかに就職するには、
①文化庁の認める420時間以上の日本語教育に関する研修を受講したこと。
②日本語教育能力検定試験に合格していること。
③四年制大学で日本語教育を専攻したこと。
という基準は一応あるんですけどね。

そんなのも経験も必要ないから、日本語教師しませんか?なんていう人材募集もちらほら見かけます。現状「資格」とか「免許」とかはないので、「私は日本語教師です」と言ったその時点から誰でも日本語教師になれるからです。

ところで、文化庁国語科の「令和4年度の日本語教育実態調査報告書_国内の日本語教育の概要」によると、日本国内の日本語教師44,030人の割合って、ボランティアが49.0%、非常勤36.1%、常勤に14.9%なのだそうです。てことは、今の日本語教育を支えている半数はボランティアなわけですね。
つまり、報酬も受け取っていない、当然、教育の成果に責任を持つ必要もないボランティアが、今の日本語教育を支えているわけです…善意で。
まあ、日本語教師の職場環境等待遇はブラックですからね(…遠い目)、どこかに常勤なんぞで勤めたら、すりきれるまでこき使われる。非常勤でもキツイ。
楽しく教師するために報酬をあきらめてボランティアするか、ブラック環境に身を置いてでもプロとしての教師業をするかのどっちかを選べという感じなんでしょうね、一般的には。

でも、登録日本語教員という国家資格ができるんですよ。多分来年から。
全国的に日本語《教員》の質を保証するため…らしいんですけどね。
でも「日本語〈教師〉」が全て国家資格化されるわけじゃなくて、「日本語〈教師〉」の中で、法務省告示機関の日本語学校とかで《教員》として働きたい人が「登録日本語《教員》」にならなければならないというだけなんですよ。…んんん?待て待て。
なんかおかしくないか?それって「日本語〈教師〉」のごくごくごく一部じゃん?日本語教育をあらかた半分支えているボランティアや、私のようなフリーランス教師の質はどーでもいいのか?全体の半分の質は、放っておいていいのか?

さて、この「登録日本語《教員》」になるための「日本語教員試験」の「施行試験」が12月にあるんです。興味が湧くじゃないですか。一体どんな試験なのかなと思って受けてみることにしたんです。
で、今ごろになって試験範囲を確認しようと「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案(仮称)の検討状況について」2023年1月, p. 19を見て、うげげげとなりました。

【社会・文化・地域】
(1)世界と日本の社会と文化 (2)日本の在留外国人施策 (3)多文化共生 (4)日本語教育史 (5)言語政策 (6)日本語の試験 (7)世界と日本の日本語教育事情
【言語と社会】
(8)社会言語学 (9)言語政策と「ことば」 (10)コミュニケーションストラテジー (11)待遇・敬意表現 (12)言語・非言語行動 (13)多文化・多言語主義
【言語と心理】
(14)談話理解 (15)言語学習 (16)習得過程(第一言語・第二言語) (17)学習ストラテジー (18)異文化受容・適応 (19)日本語の学習・教育の情意的側面
【言語と教育】
(20)日本語教師の資質・能力 (21)日本語教育プログラムの理解と実践 (22)教室・言語環境の設定 (23)コースデザイン (24)教授法 (25)教材分析・作成・開発 (26)評価法 (27)授業計画 (28)教育実習 (29)中間言語分析 (30)授業分析・自己点検能力 (31)目的・対象別日本語教育法 (32)異文化間教育 (33)異文化コミュニケーション (34)コミュニケーション教育 (35)日本語教育とICT (36)著作権
【言語】
(37)一般言語学 (38)対照言語学 (39)日本語教育のための日本語分析 (40)日本語教育のための音韻・音声体系 (41)日本語教育のための文字と表記 (42)日本語教育のための形態・語彙体系 (43)日本語教育のための文法体系 (44)日本語教育のための意味体系 (45)日本語教育のための語用論的規範 (46)受容・理解能力 (47)言語運用能力 (48)社会文化能力 (49)対人関係能力 (50)異文化調整能力

…うわあ、これを受けるのかあ。きっついなあ、興味本位で申し込むんじゃなかったなあ…って、これ、よく見たら私も過去に受けた現行の「日本語教育能力検定試験」と大して変わらないんじゃね?
え?結局、今よりどこが良くなるの?

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