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連続小説「アディクションヘルパー」(ノート4)

人生全て「運」。実力も運のうち。

この物語は、私の誇張された実体験を基に妄想的に作られたフィクションですので、登場する人物、団体等は全て架空のものでございます。

〈第7話「清掃」〉

ここ「魁進ケアスクール」では、講義終了後毎日、受講生で校内の清掃をすることになっております。

教室、廊下、トイレを班に分けて、ローテーションして、研修期間中、全員が全ての箇所を清掃できるように上手く振り分けられていました。

清掃のやり方については、「藤藤コンビの」藤原先生から動画解説を含めた説明があったのですが、私はこういうのは全然頭に入りません。

手順を覚えること、まあその、「手続き記憶」というものが、私はたぶん他の人よりはかなり欠落してきて、読み書きの記憶の「意味記憶」の能力とは真逆であるという自覚があります。

私は飲食店で店舗掃除はしていたので、覚えてしまえば簡単なんですが、そこに至るまでがかなり大変なんです。

で、ちんぷんかんぷんな状態で、この日割り当てられたのが、こともあろうに少人数というか2人で担当する「男子トイレ」掃除でした。

ただ、もう一人の相方が、隣の席の田辺さんということがラッキーで、率先して分かりにくいこととか、細かいことまで講師に聞いてきちんと咀嚼し、覚えてきてくれたので、田辺さんの言われるままに作業し、無事に終わりました。

「いやー、助かりましたよ。」

「いえいえ、どういたしまして。」

「こういうの覚えるのは苦手なんですよね。」

「得意な人もいるし、そうでない方もいらっしゃいますよね。」

「私は本当に作業手順とか覚えるのダメなんですよ。」

「そうなんですね。授業とかでは飲み込みが早い人だなと感心してましたが」

「その分、こっちがダメですので」

「きっと、そういうことを皆で補い合うことができれば、いい訓練になるんでしょうね。」

「お、素晴らしい。実に模範的ですw」

「屑星さん、褒め殺しですかw」

「いやすみませんw本当に助かりました。」

私が感じたのは、ここにいる方は本当によくできた方ばかりだな、ということでした。

例の「正力クリニック」との比較になってしまうのですが、いやそもそも比較とかしてはイカンとも思うのですが、嘘をつく、人を責める、利己主義、やる気がない、というような気配がここでは全く感じられないのは、少し感覚が麻痺してるのかなぁ。

介護職を目指すという方々って、人格的にも誠実で真摯で利他的でというような要素が備わっているといたら、私にとっては茨の道だなぁ、と思ってしまいました。

調理師専門学校で、結局皆に嫌われたのもそういった人格面もあったのかなあと逡巡したりします。

ただ、これも何となくなんですが、ここにいる人たちは、そういう私みたいな人間でも受容できる懐の深さがあるのかなという感覚も知らずしらず持ち合わせてきました。

アドラー心理学被れの私はふと、「人は他者の存在無しでは幸せになれない」というフレーズが思い浮かび、今はここで学ぶ仲間を大切に思うようにしよう、と肝に銘じたのでありました。

〈「外部講師」〉

ここ「魁進ケアスクール」は、スタッフが講義を行う他、外部から介護や医療や福祉などの専門家を招いて講義を行う取り組みをしております。

そして、ほぼ常勤講師に近い頻度でこちらに来て、我々に講義をする方もいらっしゃるというわけなんですが、

直感的に、これは私とは合わないなと思うと大抵そうなるというか、既にそういう直感が私を支配して、その支配のもと言動に繋がってしまいます。

基本的に、声のトーンが高い、命令口調で言う、私の言う事は正しい、そして私の一番相反する「プロ意識を持て」というような発信をするタイプの人には、本能的に反発してしまうものなのです。

これは、公務員時代から変わらない性分で、そういうことで色々と損をしていると他者に忠告されると、その他者にすら反発し、最後は孤立してしまうという「好循環」に繋がったりしますw

誤解の無いように申し上げますが、それで私の方からその人を嫌うということは一切ありません。そもそも人を嫌いにならない人間です。ただまあ、間違いなく嫌われてるだろうなとは思います。

そういうわけで、医療現場の第一人者と思われる外部講師の蓬莱(ほうらい)先生とは、そんな感じでよく「指導」されました。

ただ「介護職も医療職も対等です」というフレーズは、私にはどうしても薄っぺらく思えて、現実本当にそうなのか、そして現に病院は介護職を「看護助手」として募集してます。

その疑問に対して、

「それは偏見です。不愉快です」

と言われたのを発端に、その後無意味な言葉の応酬が繰り返され

「では、偏見です。そのような偏見を私は持ってます。」

(それのどこが悪いんだよ)

と私が捨て台詞を吐いたところで打ち切って、他の受講生の大切な講義の時間を10分くらい潰してしまいました。

まぁ、介護職の右も左も分からないような者が、こういうことを言うのはおこがましいと思われて仕方ないのですが、

(そういうことを言わなきゃ、学校に来た価値が見い出せない)

というものの見方をしている私です。

休憩時間中、他の受講している皆さんには、時間を潰したことを詫びましたが、蓬莱先生には、生意気なことを言ってすみませんと言う気持ちがありませんでした。そりゃあ嫌われるわなw

そういうわけで、今後の実技研修などで、私はこの人に色々と追い詰められるのですが、実はそれはそれで楽しいんですよね。今後も登場しますので、皆さんお楽しみにしてくださいw

今回はここまでとします。

GOOD LUCK 陽はまた昇る
くずぼしいってつ












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