連続小説「アディクション」(ノート31)
ギャンブル依存症から立ち上がる
この物語は、私の誇張された実体験を基に妄想的に作られたフィクションですので、登場する人物、団体等は全て架空のものでございます。
〈「追放」〉
とはいっても、フロアがまた1つ下になって、しかもプログラムの一週間の半分はメンタルヘルスグループのものを受けるので、まぁ休み時間の雑談が、あかねんやあおたんと出来なくなり、代わりに淡河さんや魚さんとしなければならないという苦痛以外には何の問題もないというか、それ以上にスタッフが島貫から、島野さんに戻るということで、自分にとっては非常に喜ばしいことでした。
6月15日の「最後の日」のミーティングの時に、挨拶がてら、以前話した3分スピーチに近い内容の話と、皆さんへの印象が変わり、分かち合いは鬱病でも依存症でも関係なくできるという話をしたら、なんと森永さんが「そのとおりです!」と、賛同までしてくれました。当然のごとくスタッフに「割って入らないでください」と注意されましたが。
ここにいる人たちは、基本的に根が優しく穏やかな故に、他者に付け込まれ、そして自分を責めてしまうという、本来なら最も救われなければならない人たちで、ホントに何とかメンタルが回復して自分らしく生きて行って欲しいなと願わずにいられませんでした。
そして、最も救われてはいけない人たちのフロアに戻るわけですがw
さらになんと、私と入れ替えで玉井さんがメンタルヘルスグループに動くことになりました。例の「魚さんつきお茶会」で聞いたのですが、
「我々は松井玲奈と生駒里奈みたいなもんですかね?」
「玉井さん、そういう交換留学では無いと思いますが、ってか復職のメドでもついたのですか?」
「実はそうなんです。友人が3か月後にバーを開業するので、ぜひ手伝ってほしいと言われました。」
「なるほど。それはおめでとうございます。いい話ですね!」
「まぁ、条件とか色々とこれから詰めるんですけどね。どんだけ取り分があるか、自分を安くは売れません。」
「それは大事ですよね。」
「そういうわけで、アディクショングループをよろしくお願いします。」
「はい?」
「だって、まとめる人がいないもん。」
「別にまとまらなくてもいいし、そのためにスタッフが居るのでは?」
「あ、イベントですよ。そこはスタッフ最近丸投げなんですよ。で、今度のサマーフェスタでラーメン作りやるのでよろしくお願いします。後のことは屑星さんに任せるとスタッフにも言いました」
「欠席裁判かよw」
「スタッフも、それしかないなと言っていましたし。」
「才所さんも、島ちゃんもそんな忙しいんかいな。」
さて、そういうわけで、最も救われてはならない人たちのフロアに戻りました。
「おかえりなさい」と、島野さんに不気味な笑顔で迎えられました。
「で、ラーメンよろしくお願いしますね。」
「いきなりラーメンの話ですかw」
「今回は、ラーメン屋さんと同じように、まぁ麺は外注するけど、スープと具材は手作りでやることになってますから。よろしくお願いします。」
「はい、大丈夫ですよ。親が屋台のラーメン屋やっていましたから。」
そうなんです。私はちゃんとラーメンが作れるのです。実は私にとって最大の喜びがこの企画だったのでした。
〈「兄弟船」〉
私がメンタルヘルスグループから「追放」されて、一週間が経ちました。
この間、相羽さんと柳田さんは、あおたんを通じ「兄弟船」となってしまったようです。
まぁ、ルールで「恋愛禁止」はありますが、「営業禁止」はないので、問題なしってことなんでしょうか。
一方で、「あかねん争奪戦」を、玉井さんとノブさんとの間で激しく繰り広げられておりました。そして例の「祝勝会」の翌週、玉井さんとノブさんがあかねんを呼び出し、「ねるとん方式」で対決したのですが、結果は
「ごめんなさい」
まぁ、お友達からということで、その日はオールで飲み明かしたらしく、その翌日なんとあかねんが二日酔いでクリニックを休んでしまいました。
で、スタッフの島貫が前々から、玉井さんとノブさんの言動に目をつけていて、二人を呼び出して問い質したのですが、
「屑星さん、行ってきました」
「僕も来ちゃいましたー」
どうやら、呼び出し食らって色々と聞かれたことにブチ切れ、言いたい放題言い返したこともあり、その後二人とも「院長診察」を受診され、めでたくアディクショングループに「追放」ということに相成りました。
「うーん、あおたんの方にしとけばこんなことにはならなかったなぁ」
「ノブさん、そういう問題かw」
「でも、お二人とも、ホントにあかねんは恋愛対象なんですか?」
「広瀬すずがタイプならそうなります」
「中条あやみがタイプならあおたんってことになります。」
「ほう。お二人は広瀬すずなんですね」
「屑星さんの渡辺直美とは別世界です」
「玉井さん、余計なことはいわなくて結構です。でもまあ楽しくやりましょう」
何か玉井さんとノブさんも「兄弟船」のように見えてきてしまいました。
「そういや、おたけさんももうすぐ卒業するみたいですよ。」
「何かいいとこ見つかったんですか?」
「結構大きな結婚式場のプランナーで採用決まったみたいです。」
「おお、あれ以来、運気がアップしたんですね。まぁギャンブルだけはやらないようにしてほしいですがw」
人の動きは目まぐるしく変わる一方で、
「お、玉井、やっぱ戻ってきたか」
「淡河さん、やっぱ、って何よ」
「ん、そっちは玉井の弟分か?」
「まぁ、そんなもんですかね。あ、こいつは湯口暢久でノブっていいます。」
「よろしくお願いします。」
「そうですか、私はここのフロアのリーダーをやってます淡河(おごう)と申します。」
「淡河さん、リーダーなんてウソを言わないでくださいよ。」
と、やりとりしていたら、背後で鼻息を荒くしている人も例の如くいました。
「僕は石原さとみかなぁ」
「魚さん、タイプの話はもう終わりましたが、もんちゃん雰囲気似てますね。」
「てことは倉骨さんは、吉岡里帆がタイプなのかな?」
「玉井さん、吉岡里帆は盛りすぎです。島野さんはくしゃみもしませんよ。」
と、事務スペースからくしゃみの音が聞こえてきたのでした。
今回はここまでとします。
GOOD LUCK 陽はまた昇る
くずぼしいってつ