なにをもって趣味と呼べるのか
「ご趣味は??」
昔のお見合いさながらの質問であるが、わたしにとってはこの質問がなにより恐ろしい。
どの程度のものを趣味と呼んでいいのか。まずそこから疑問である。
気になる作品は映画館に足を運ぶくらいには好きだが、映画を語れるほど詳しくもないし有名な作品をすべて網羅しているわけでもない。
読書も同じくで、嗜む程度というところが落ち着くだろう。
なにを食べても大抵のものはおいしい!と食べられるからグルメとも言い難い。
うーん…趣味、むずかしい。
と思っていた半年前のわたし。
そんなわたしにも、これは趣味と呼べるのでは?!と思えるものに出会った。
そう、刺繍である。
ある日フラっと立ち寄った100円ショップで刺繍キットが目に入り、なんとなくやってみようかなと買った事がはじまり。
チクチクと少しづつ縫い進める作業、バリエーション豊かな縫い方、糸の配色で変わる印象…。どれもわたしの性格に向いていたのだろう。なんの苦も無く楽しむことができた。
なによりじぶんで描いたイラストが形になっていくのがかわいくて仕方がない。(自画自賛)
まだまだ伸びしろしかない腕前だが、この半年で10作品は完成しすこしは上達しているはず。できあがった作品を眺めてはニマニマとかわいさを噛みしめている。
しかし困ったことがひとつ。
刺繍をするのはいいが、そのあとをどうしようかというのが目下の悩みの種である。
上級者のかたはきっとブローチにしたりポーチを縫ったりしているのだろうが、いかんせんミシンが苦手。(というより縫い始めるまでの過程が多すぎて面倒くさがりのわたしには手に負えない)
なので完成品はとりあえずこのように周りをバイアステープでひっつけ、コースターのように仕上げている。
これでいいのか。
まぁだれにプレゼントするわけでもないので今はこれで良しとしている。
もう少し上達したらじぶんだけのブローチとかワッペンとか作りたい。
あと、「お母さん恥ずかしいからもうやめて」と言われるまでは子どもの服にかわいく刺繍したい。
そんな目標を立てながらも、やはりこれは趣味と呼べるよな…?と疑心暗鬼になっていることを父に話すと、
「だれが決めるわけでもないんやから、詳しいかどうとか、頻度のこととか関係なしに、じぶんが趣味(好き)と思うならそれでいいんとちゃうか」
とふだんあまり真剣な話をしようとしたがらない父から思わずありがたいお言葉をちょうだいした。
その理論でいくと、刺繍だけでなく映画鑑賞も読書も食べることも、わたしにとって趣味のひとつと数えていいのだろう。
父の言葉を聞いて趣味に対する勝手な疑問や抵抗感がやや薄くなった。
”やや”というのは、じゃあこれらを人に対して「わたしの趣味です!」と声を大にして伝えるにはわたしの人間としての器がまだ広がりきっていないのかもしれない。
やはり趣味、むずかしい。永遠の課題となりそうだ。
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